明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



1時に北斎の身体役をやってもらった爺さんのアパートに集合。爺さんの後輩であるトラックドラーバーSさんに着物を羽織ってもらい撮影する。爺さんにはパンツ一丁で股を広げ、大蛸に奪われそうな画帖を死守する北斎の身体をやってもらったのだが、今回はポーズこそ同じだが、合成する着物部分だけなので、裸である必要はない。 私の撮影は、完成形が私の頭の中にあるだけで、現場は馬鹿馬鹿しいことが多いが、今回は馬鹿馬鹿しさの記録を更新しただろう。しかしこういうことを経ないとできない画が浮んでしまうのだからしかたがない。またこういうことに付き合ってくれる仲間がいるというのは何よりである。撮影終了後、元トラックドライバーと現役ドライバー2人と4人でサイゼリアに向かい打ち上げ。ビールで乾杯の後、マグナムワイン。以前は読書しながら一人で飲んでしまっていたこともあったが、可愛らしい母娘の視線を感じ、携帯電話見ながら、つい“待ち合わせているアイツはいつになったら来るんだ”的な演技をしてしまって以来止めた。こんな打ち上げは、撮影が馬鹿馬鹿しいほど肴になる。アナログカメラの頃は現像するまで安心出来ず、落ち着いて飲めなかったが、その点デジタルは確認できるから安心である。楽しく飲みながら、帰宅後その数倍楽しい作業が待っているかと思うとまたワインも進むのであった。帰宅後即作業開始。こういう時は勿体ないくらい酒が醒めるのが早い。陰影を出さずに撮影した画像は蛸でも着物でも、切ったり貼ったりが樂である。無事、裸の北斎に着物を着せ終わる。 

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載6回「夏目漱石の鼻」

HP

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