明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



結局草鞋は履かせないまま着彩終了。北斎3カット目の構想はすでにあるが、5月の個展に北斎は2カットで充分だろう。次はまずは鴎外といきたいところである。鴎外の軍医総監姿でカラーは手漉き和紙に合いそうな気がして選んだ。背景の空は青空に白い雲。礼服の濃紺に合うのではないか。多分これは動かせない。本当はああだこうだ、スケッチでもしながらアイデを練りたいのは山々なのだが、最初に浮んだ物で決まってしまうことが多いので描かないことにしている。もともと描かなかったところ、宮沢賢治の時、要素が多く画を優先して縮尺はでたらめなので、何気なく描いてみたが、ニコライ堂の傾き、銀河鉄道の角度、賢治の立ち位置など、最初に描いた悪戯描きから抜けられず、結果的には満足はしたものの、描かなければ、2つ3つと、もっと別なアイデアが浮んだかもしれない、と思ってからは絶対描かないことにした。突然頭上からポンと降って来たボタモチに行く手を阻まれ、手は使っているが頭は使っていない感が常に不満であり、つい熟考の末的な見栄を張ってしまうのである。ボタモチに準じた方が結果良いことが経験上判っているので釈然としないまま、大人しく従うしかないのであった。

銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載6回「夏目漱石の鼻」

HP

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )