崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

映画「楢山節」

2013年06月30日 06時11分51秒 | エッセイ
 昨日東亜大学開かれた絹代塾で映画「楢山節」を上映した。40人ほどが参加した。信州の山村でまだ元気に働くおりんが70歳の冬に息子に背負われ楢山へ捨て置かれるという、山に捨てられる老婆とその息子の心の葛藤を描いた人間ドラマである。映画を見てから田中絹代メモリアル記念館の理事長である平井愛山氏の講演があり、国の大きい負担となる少子化と高齢化社会の問題を指摘しながら糖尿病が重症化して人工透析をすることによる莫大な医療費がかかることを前提に糖尿病を重症化しないために、主に減塩(stop salt)をすすめる取り組みを紹介するものでとてもわかりやすかった。
 高齢者は非生産者の消費者であり、さらに医療費が掛る。無駄な医療行為をせず、「さっさと死ね」という風潮と発言を考えさせる企画であった。若者から見て老人は負担のように、あるいは老人差別をする人も多いが、彼ら自身がいつの間にかその老人になることを考えてほしい。姥を捨てた背負い子を持って帰ったその息子もそれに乗せられ捨てられる共通の運命を映画のメッセージを深く考えさせられた。韓国では古くからこの伝説があり、1963年「高麗葬」として映画化され東京国際映画祭などで上映された。この映画は日韓を超えて高齢化の先進国へ大きいメッセージを発信している。