私はずっとアンパンマンのマーチを英訳したいと考えているのですが、とても難しくて進んでいません。それは、英訳しても無味乾燥なものになってしまうのが明白だからです。もしかしたら、思い入れが強すぎるのかもしれません。
そんな時、NHKの「爆問学問」という番組で、爆笑問題がやなせたかしさんにインタビューしているのを見ました。運よく録画していたので、アンパンマンに関して話している箇所だけを書き起こしてみました。これこそ、私が知りたかったアンパンマンの心の部分です。
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太田:先生、お元気ですね、しかし。
やなせ:おれ?おれは元気が全然なくてですね。
太田:おいくつですか?
やなせ:いつの間にか92になっちゃってね。
太田:しわひとつないじゃないですか。整形してるんですか?
やなせ:これが不思議なことでね。あんまり皺ができたりそういうことにならないんですね。
田中:あと、唇の色とか、湿り具合とかが。
太田:キスしたい。
田中:かさついてない感じ。
太田:尋常じゃないですね。
やなせ:これがね、非常にまずいところでね。俺はしょっちゅう病気してるんでね。俺はもう、癌はやるしね。その他の病気もほとんどやりました。心臓は心筋梗塞やってるしね。膵臓も3分の1くらい…。
太田:不死身だね。
やなせ:爆笑問題と1回会いたいと思って、それまではまあ生きていようと。
太田:またうまい。
やなせ:まあそれは嘘なんだけど。
太田:嘘っていわなくたっていいじゃない。
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やなせ:今度の震災が起きて、なんだか分からず茫然自失していたらですね。
アンパンマンマーチを歌ってるっていうニュースが盛んに入ってきた。
子どもが一斉に歌いだした。そうするとですね、いくらかおれも役に立ってるかなと。
震災が起きた時、子どものショックっていうのは予想以上に大きいんですよ。それ以来全く笑わなくなった子どもができちゃって。両親がすごい心配してたらですね、そのアンパンマンのポスターを見た途端にその子どもが笑い出した。
お母さんが泣きだしてしまった。っていうような話があっちこっちから来るんでね。
太田:でも今回震災で、あー、自分がアンパンマンのように、困ってるところにピューっと飛んでって「僕の顔を食べな」って言えたらどんなにいいだろうって思った人いっぱいいると思うんだよね。
やなせ:どうする?アンパンマンのテーマソング歌うか?
やなせ:ワンコーラスだけ。
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「アンパンマンのマーチ」
なんのために生まれて なにをして生きるのか
こたえられないなんて そんなのはいやだ
今を生きることで 熱い こころ 燃える
だから 君は 行くんだ ほほんで
そうだ うれしいんだ 生きるよろこび
たとえ 胸の傷 がいたんでも
ああ アンパンマン やさしい 君は
いけ!みんなの夢 まもるため
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田中:先生、ちょっとシャウトじゃないですか?力強い。
太田:伝わってきた。これ、アンパンマンの原作者じゃなかったら、ただのあぶないおっさんだね。
やなせ:素人だから歌はうまかねえ。
田中:上手いとか下手とか超越していますよ、先生。
やなせ:もうすぐ死ぬとは思えないだろ。
太田・田中:いや死なない死なない。
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やなせ:世界中にスーパーマン、ヒーローはたくさんいます。
しかし、自分の顔を食べさせるヒーローはアンパンマンだけしかいない。
田中:いないですもんね。聞いたことないですもんね。
やなせ:正義の味方だったら、そこにひもじい子どもがいれば、その子どもに何か食べるものをあげるっていう方が一番正しいんだと思った。
つまり、怪獣をやっつけるというよりもまずお腹がすかないようにしてあげるっていう方が正しいんだと思った。
太田:ミッキーマウスがやったら大変なことになる。
田中:それはできないですね。
やなせ:つまり、正義というのは、自分をいくらか犠牲にしないとできない。
例えば、電車にひかれそうな人がいる。そこに飛び込んで行って助ける。
あるいは川でおぼれそうな子どもがいる。先生が飛び込む。先生が死んでしまった。
なぜ先生が死んでしまったか。子どもを助けようとする、つまり正しい行為のために亡くなった。
だから正義というのは自分が傷つくことを覚悟しなければできないという意味をちょっと含めたんですね。(笑)
太田:そこは笑うとこじゃない。
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田中:なんでそういう正義感は自己犠牲を伴うというんだっていう発想に先生はなっていったんですか?
やなせ:ぼくは老人なので、昔戦争に行った事がある。
正義というものは簡単に逆転するんだ。僕らが戦争に行く時にも、これは正義の戦いで、つまり困ってる民衆をたすけるために行くんだって言われて言われたんだ。
そのつもりだったんです。でも終わってみると正義は向こうの国にある。
すると、どっちでも正しいことは何かというと、
「ひもじい人を助ける」ことじゃない?それはどっちの国へ行っても正しいわけ。
だからですね。そういうヒーローを作ろうと思って、作ったんです。
太田:そういう思いがあったんだ。
やなせ:ところがですね。「やなせさん、これは何ですか。アンパンが空を飛んでいって助けるとか、こういうばかばかしい話は、今の子どもにはうけません。もうちょっと勇ましい話じゃないと。」って言われてですね、全部反対されたの。ところが、子どもは非常に素直に反応してしまった。
そして今、その子どもたちが大きくなって、30歳ぐらいになってます。彼らは「幼稚園の時に読んで、やっぱりアンパンマンが顔を食べさせる部分でグッと来た」って言うんです。
田中:えらいね。子どもは。
太田:俺はひいたもんな。
田中:大人になって逆にね。
太田:これは日本人だからうけるのかな。この自己犠牲っていう感覚は?
やなせ:今はね、自己犠牲の逆の時代ですよね。エゴの時代です。自分が良ければ他人のことはどうでもいいっていう時代なんです。それなのにこの自己犠牲の話がどうしてうけてしまうのか、それも小さな子どもになぜうけるのか。さっぱりわからない。
田中:計算外なんだ。先生も驚いたっていうことですね。
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太田:おれも戦争の事、全然若くて、ぼんやり考える事があるんですよ。
今のテロリストとかの自爆テロとか自己犠牲だと思うのね。その正義感が戦争の根底になってる部分になってることがあるじゃないですか。
やなせ:結構ハイレベルな話するじゃない。
太田:さっきアンパン2〜3個食ってきたからね。
やなせ:どんな善良な人間でもですね、自分が殺されそうになればやっぱり自分を守るためにやらざるをえなくなる。そうすると殺人が起きてしまう。向こうも全部、家族があり、子どもがいたりいろいろするわけですよ。
アメリカ兵にしろ中国人にしろ、なんにも憎くないんですよ。憎らしいと思わない。
向こうもやっぱり善良な人ですよ。それを戦争だと殺さなくちゃいけない。
戦争っていうのはどんなことがあってもやっちゃいけない。
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やなせ:ばいきんまんっていうのは、自分で言うのもおかしいんだけど世界的傑作じゃないのかと僕は思うんです。
つまりですね、我々は、人間、ばいきんとの戦いは永遠に続くんです。
我々はいい心と悪い心がある。
ちょっと怠けたいとか、ちょっと女にちょっかい出したいとかそういうのがあるんだけど、抑える。
そのバランスでいってるわけなんです。そういうことなんです。
そのためにばいきんまんというがいるんです。
ですから、アンパンマンとばいきんまんは絶えず闘ってる。次の週になるとばいきんまんは知らん顔して出てくる。アンパンマンは顔をつぶされたりはするんだけど
死ぬことはない。また作り直す。
つまり、片一方がなくなるとだめなんだ。
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「
君もアンパンマンになれる」