第7日目
ドイツ語では Z は「ツァ行」、S が母音をともなうと「ザ行」の音になりました。ただ S でも後に母音がこなければ、無声音の [s] でした。
ではドイツ語には「サ行」はないのか、というと ss と綴りを重ねれば、後ろに母音が来ても「サ行」の音になります。
küssen 「キュセン」(キスする)
essen 「エセン」(食べる)
besser 「ベサー」(英語のbetter)
Messer 「メサー」(ナイフ)
Wasser 「ヴァサー」(水)
ss と子音を重ねた綴りなので前の母音が短く発音されることは分かりますね?
前の母音が長いときはないのだろうか?
と疑問がわきますね。
「いい質問ですね^^」
前にドイツ語のアルファベートには英語と同じ26文字のほかに、英語にない特殊な文字が4つあることをお話して、そのうちのウムラウトの文字 Ä、Ö、Ü の3つを習いました。
残る最後の文字がこれです → ß
これは長母音に続く[s]の音を出すときに使われます。
Fuß 「フース」(足)
schließen 「シュリーセン」(閉じる)
aß 「アース」(英語のate、食べるの過去形」
このように ß と ss は前の母音が長いか短いかで使い分けられ、ふたつは同じものです。そのはずですが、ß の名称は「エスツェト」で、「エスエス」ではありません。
「エスツェト」ということは s と z です。
おかしいじゃないか!! と抗議したいところですが、実はおかしくないのです。
むか~しのドイツ語では s は縦棒で表わし、z は筆記体のように 3 のように書きました。
ですから 1 と 3 を合体させると ß という形になるでしょう? ( でも、分離すると ss になってしまいます。またキーボードに ß の文字がないときにも ss で代用します )
ss、ß は語の先頭に用いられることはありません
次は、語、綴りのしっぽに来たときに音が変わる子音についてです
○ ドイツ語の b、d、g は語の最後にきて、次に母音がないと無声音化して、それぞれ [p]、[t]、[k] の音になります
halb 発音「ハルプ」、意味「半分の」
Erdbeben 発音「エーるトベーベン」、意味「地震」
Krieg 発音「クリーク」、意味「戦争」
これは、ドイツ語では通常語頭が強く発音されるので、語尾で音が消失することからくるのです。 語末の b、d、g として記憶してね。
ただし、あとに母音を伴っていれば、それぞれ [b]、[d]、[g]の音に戻ります
halbieren 発音「ハルビーレン」(アクセントの位置に注意!!)、意味「半分にする」
Erde 発音「エールデ」、意味「地球」
Krieger 発音「クリーガー」、意味「戦士」
ここで、次のふたつの単語の発音をみなさんも考えてみてください
Mond と Sand
いかがですか?
前が「モント」で、後ろが「ザント」だと思いましたか?
あとの Sand の方は 発音「ザント」で正解です、意味は「砂」です。
しかし、前の Mond の方は少し注意が必要です、これは 発音「モーント」と幹母音を長く発音します。意味は「月」です。
子音と母音の構成が同じなのに、Mond の方は「モーント」と母音を長く、Sand は「ザント」と短母音として発音されます。母音長短のルールに従っているのは、もちろん後の Sand の方です。
Mond「月」はごく基本的な単語でありながら、初学者が長短を間違える格好のサンプルなので出しました。
なぜ後ろに子音が複数あるのに前の母音が長いかというと、「月」の英語 moon を想起して下さい。ドイツ語の「月」という単語は「Mon-」までなのです。では、しっぽの「-d」は何? というと、これは飾りです。こうした単語の成り立ちから「Mon-」の部分の母音の長音が維持されているのです。
Sand「砂」の方は英語と同じでしょ? 複数の子音が続くからその前の母音も「ザント」と短いのです。
Mond のような語源からして現在後ろに複数の子音をくっつけているのに前の母音を長く発音する単語にもうひとつ、これも基本的なボキャブラリーの一つで、初学者がよく間違える絶好のサンプルがありますから覚えてね。
それは 「くだもの」のドイツ語 「Obst」です。この単語の発音は「オープスト」です。
「Ob-」だけで「くだもの」という意味の単語でそれに飾りの「-st」がくっついて出来上がっているのです。
ところで先ほどのサンプル Erde の発音が「エーるデ」と長い理由ははっきりしません。英語も earth ですもんね。たぶん発音的に長く発音されたものが綴りの方で単音の「E-」を当ててしまったからずれたんだと思います。
この「Erde」が形容詞になると「irdisch」という形になり、発音も短く「イるディシュ」と発音します。(意味は「地球の、この世の」)
少し複雑に感じられましたか?
でも、あくまで原則は「長母音+単子音」、「短母音+複子音」です。そうでない発音が出てきたら、気にして覚えることにしてください。
今度は語の先頭に来て注意する子音の組み合わせについてです。
〇 sp- と st- 、この組み合わせが語の頭にあると発音がそれぞれ、「シュプ-」「シュトゥ-」になります。( 語頭の sp-、st- )
Stein 発音「シュタイン」、意味「石」
Stunde 発音「シュトゥンデ」、意味「時間」
Sprung 発音「シュプるング」、意味「ジャンプ」
Einstein 発音「アインシュタイン」、人名
注意していただきたいのはこのルールは語頭の場合に限ることです。
「昨日」という単語はもう習いましたが、何と言う単語でしたか?
そう、gestern でしたね、発音は? 「ゲスタァン」です。「ゲシュテルン」じゃないのでまちがわないでね~!!
今日出した「果物」の Obst もそうですよ、「オープシュト」って発音しないように気をつけてください。
Einstein の場合は、Ein + Stein という構成なので、st が見かけ上「語中」にあっても「シュ」の音を維持しているのです。
☆ ☆ ☆
それでは発音編、子音の説明にはまだ続きがあるのですが、ここで少し気分転換しましょう。
数字がすでにいくつか出てきました。ここでまとめをかねて、1から10までを覚えることにしましょう。
どうぞ発音してみてください。
1 eins
2 zwei
3 drei
4 vier
5 fünf
6 sechs
7 sieben
8 acht
9 neun
10 zehn
答えです。
1 eins 「アインツ」
2 zwei 「ツヴァイ」
3 drei 「ドらイ」
4 vier 「フィーア」
5 fünf 「フュンフ」
6 sechs 「ゼクス」
7 sieben 「ズィーベン」
8 acht 「アハト」
9 neun 「ノイン」
10 zehn 「ツェーン」
今の1~10の数字の発音で、まだ習っていない重要なルールが一か所隠れていました。気がつきましたか?
「8」のなかに出てくる「ch」の読み方です。アルファベート「c」の音価については前回触れましたが、辞書に出てくるサンプルはごくわずかしかありません。アルファベート「c」がドイツ語本来の単語に出てくるケースとしては「ch」などといった組み合わせ文字として使われます。そこで ↓
〇ドイツ語の「 ch 」の発音のルール
母音「a」、「o」、「u」と複母音「au」 のあとに「ch」が続くとき、「ch」は喉の奥をこするように「ハ」、「ホ」、「フ」と発音します。これは発音記号上はすべて [x] という記号であらわされます。
例の母音三角の左側、唇をすぼめる音、a、o、u、au のあとは[x]です。
acht 発音「アハト」、意味「8」
Tochter 発音「トホター」、意味「娘」
Buch 発音「ブーフ」、意味「本」
Bauch 発音「バォホ」、意味「おなか」
それ以外の母音、複母音が前にある場合は「ch」の発音は「ヒ」となります。発音記号では [ç] であらわされます。
Töchter 発音「テヒタァ」意味は Tochterの複数形
Bücher 発音「ビューヒァ」、意味はBuch の複数形です。
このように単数の時と複数のときで前の母音が変わると、続く子音は同じ ch でも、音が変わります。
euch これは前に「u」がありますが、この場合は発音「オイ」となる複母音「eu」でしたから、次の「ch」の発音は[ç]です。「オイヒ」(人称代名詞「君たち」が変化した形です)
Kirche 「ch」の前が子音であれば「ch」の発音は [ç] です 発音「キるヒェ」、意味「教会」
München これも同じですね 発音「ミュンヒェン」、地名です。
ただし、「6」のように組み合わせが「 chs 」となると、これはまた別の組み合わせルールで「クス」と発音されます。
Sachsen 発音「ザクセン」、地名です。
wechseln 「chs」でひとまとまり、「クス」と発音するので「chs」のあとは母音が続いても濁音化しません。 発音「ヴェクセルン」、意味「交換する」
本日はここまでとして、次回はまたたくさん練習問題をだしますね
さいごに数字の 11~20まで出しておきますから、次回の練習問題にそなえ、それぞれどのように発音されるか、ウォーミングアップしておいてください
elf、zwölf、dreizehn、vierzehn、fünfzehn、sechzehn、siebzehn、achtzehn、neunzehn、zwanzig
また、次回まで
バイバ~イ
2012年5月4日 (ヨハンはしばし今日から不在します、また連休があけたらお会いしましょう)
ドイツ語では Z は「ツァ行」、S が母音をともなうと「ザ行」の音になりました。ただ S でも後に母音がこなければ、無声音の [s] でした。
ではドイツ語には「サ行」はないのか、というと ss と綴りを重ねれば、後ろに母音が来ても「サ行」の音になります。
küssen 「キュセン」(キスする)
essen 「エセン」(食べる)
besser 「ベサー」(英語のbetter)
Messer 「メサー」(ナイフ)
Wasser 「ヴァサー」(水)
ss と子音を重ねた綴りなので前の母音が短く発音されることは分かりますね?
前の母音が長いときはないのだろうか?
と疑問がわきますね。
「いい質問ですね^^」
前にドイツ語のアルファベートには英語と同じ26文字のほかに、英語にない特殊な文字が4つあることをお話して、そのうちのウムラウトの文字 Ä、Ö、Ü の3つを習いました。
残る最後の文字がこれです → ß
これは長母音に続く[s]の音を出すときに使われます。
Fuß 「フース」(足)
schließen 「シュリーセン」(閉じる)
aß 「アース」(英語のate、食べるの過去形」
このように ß と ss は前の母音が長いか短いかで使い分けられ、ふたつは同じものです。そのはずですが、ß の名称は「エスツェト」で、「エスエス」ではありません。
「エスツェト」ということは s と z です。
おかしいじゃないか!! と抗議したいところですが、実はおかしくないのです。
むか~しのドイツ語では s は縦棒で表わし、z は筆記体のように 3 のように書きました。
ですから 1 と 3 を合体させると ß という形になるでしょう? ( でも、分離すると ss になってしまいます。またキーボードに ß の文字がないときにも ss で代用します )
ss、ß は語の先頭に用いられることはありません
次は、語、綴りのしっぽに来たときに音が変わる子音についてです
○ ドイツ語の b、d、g は語の最後にきて、次に母音がないと無声音化して、それぞれ [p]、[t]、[k] の音になります
halb 発音「ハルプ」、意味「半分の」
Erdbeben 発音「エーるトベーベン」、意味「地震」
Krieg 発音「クリーク」、意味「戦争」
これは、ドイツ語では通常語頭が強く発音されるので、語尾で音が消失することからくるのです。 語末の b、d、g として記憶してね。
ただし、あとに母音を伴っていれば、それぞれ [b]、[d]、[g]の音に戻ります
halbieren 発音「ハルビーレン」(アクセントの位置に注意!!)、意味「半分にする」
Erde 発音「エールデ」、意味「地球」
Krieger 発音「クリーガー」、意味「戦士」
ここで、次のふたつの単語の発音をみなさんも考えてみてください
Mond と Sand
いかがですか?
前が「モント」で、後ろが「ザント」だと思いましたか?
あとの Sand の方は 発音「ザント」で正解です、意味は「砂」です。
しかし、前の Mond の方は少し注意が必要です、これは 発音「モーント」と幹母音を長く発音します。意味は「月」です。
子音と母音の構成が同じなのに、Mond の方は「モーント」と母音を長く、Sand は「ザント」と短母音として発音されます。母音長短のルールに従っているのは、もちろん後の Sand の方です。
Mond「月」はごく基本的な単語でありながら、初学者が長短を間違える格好のサンプルなので出しました。
なぜ後ろに子音が複数あるのに前の母音が長いかというと、「月」の英語 moon を想起して下さい。ドイツ語の「月」という単語は「Mon-」までなのです。では、しっぽの「-d」は何? というと、これは飾りです。こうした単語の成り立ちから「Mon-」の部分の母音の長音が維持されているのです。
Sand「砂」の方は英語と同じでしょ? 複数の子音が続くからその前の母音も「ザント」と短いのです。
Mond のような語源からして現在後ろに複数の子音をくっつけているのに前の母音を長く発音する単語にもうひとつ、これも基本的なボキャブラリーの一つで、初学者がよく間違える絶好のサンプルがありますから覚えてね。
それは 「くだもの」のドイツ語 「Obst」です。この単語の発音は「オープスト」です。
「Ob-」だけで「くだもの」という意味の単語でそれに飾りの「-st」がくっついて出来上がっているのです。
ところで先ほどのサンプル Erde の発音が「エーるデ」と長い理由ははっきりしません。英語も earth ですもんね。たぶん発音的に長く発音されたものが綴りの方で単音の「E-」を当ててしまったからずれたんだと思います。
この「Erde」が形容詞になると「irdisch」という形になり、発音も短く「イるディシュ」と発音します。(意味は「地球の、この世の」)
少し複雑に感じられましたか?
でも、あくまで原則は「長母音+単子音」、「短母音+複子音」です。そうでない発音が出てきたら、気にして覚えることにしてください。
今度は語の先頭に来て注意する子音の組み合わせについてです。
〇 sp- と st- 、この組み合わせが語の頭にあると発音がそれぞれ、「シュプ-」「シュトゥ-」になります。( 語頭の sp-、st- )
Stein 発音「シュタイン」、意味「石」
Stunde 発音「シュトゥンデ」、意味「時間」
Sprung 発音「シュプるング」、意味「ジャンプ」
Einstein 発音「アインシュタイン」、人名
注意していただきたいのはこのルールは語頭の場合に限ることです。
「昨日」という単語はもう習いましたが、何と言う単語でしたか?
そう、gestern でしたね、発音は? 「ゲスタァン」です。「ゲシュテルン」じゃないのでまちがわないでね~!!
今日出した「果物」の Obst もそうですよ、「オープシュト」って発音しないように気をつけてください。
Einstein の場合は、Ein + Stein という構成なので、st が見かけ上「語中」にあっても「シュ」の音を維持しているのです。
☆ ☆ ☆
それでは発音編、子音の説明にはまだ続きがあるのですが、ここで少し気分転換しましょう。
数字がすでにいくつか出てきました。ここでまとめをかねて、1から10までを覚えることにしましょう。
どうぞ発音してみてください。
1 eins
2 zwei
3 drei
4 vier
5 fünf
6 sechs
7 sieben
8 acht
9 neun
10 zehn
答えです。
1 eins 「アインツ」
2 zwei 「ツヴァイ」
3 drei 「ドらイ」
4 vier 「フィーア」
5 fünf 「フュンフ」
6 sechs 「ゼクス」
7 sieben 「ズィーベン」
8 acht 「アハト」
9 neun 「ノイン」
10 zehn 「ツェーン」
今の1~10の数字の発音で、まだ習っていない重要なルールが一か所隠れていました。気がつきましたか?
「8」のなかに出てくる「ch」の読み方です。アルファベート「c」の音価については前回触れましたが、辞書に出てくるサンプルはごくわずかしかありません。アルファベート「c」がドイツ語本来の単語に出てくるケースとしては「ch」などといった組み合わせ文字として使われます。そこで ↓
〇ドイツ語の「 ch 」の発音のルール
母音「a」、「o」、「u」と複母音「au」 のあとに「ch」が続くとき、「ch」は喉の奥をこするように「ハ」、「ホ」、「フ」と発音します。これは発音記号上はすべて [x] という記号であらわされます。
例の母音三角の左側、唇をすぼめる音、a、o、u、au のあとは[x]です。
acht 発音「アハト」、意味「8」
Tochter 発音「トホター」、意味「娘」
Buch 発音「ブーフ」、意味「本」
Bauch 発音「バォホ」、意味「おなか」
それ以外の母音、複母音が前にある場合は「ch」の発音は「ヒ」となります。発音記号では [ç] であらわされます。
Töchter 発音「テヒタァ」意味は Tochterの複数形
Bücher 発音「ビューヒァ」、意味はBuch の複数形です。
このように単数の時と複数のときで前の母音が変わると、続く子音は同じ ch でも、音が変わります。
euch これは前に「u」がありますが、この場合は発音「オイ」となる複母音「eu」でしたから、次の「ch」の発音は[ç]です。「オイヒ」(人称代名詞「君たち」が変化した形です)
Kirche 「ch」の前が子音であれば「ch」の発音は [ç] です 発音「キるヒェ」、意味「教会」
München これも同じですね 発音「ミュンヒェン」、地名です。
ただし、「6」のように組み合わせが「 chs 」となると、これはまた別の組み合わせルールで「クス」と発音されます。
Sachsen 発音「ザクセン」、地名です。
wechseln 「chs」でひとまとまり、「クス」と発音するので「chs」のあとは母音が続いても濁音化しません。 発音「ヴェクセルン」、意味「交換する」
本日はここまでとして、次回はまたたくさん練習問題をだしますね
さいごに数字の 11~20まで出しておきますから、次回の練習問題にそなえ、それぞれどのように発音されるか、ウォーミングアップしておいてください
elf、zwölf、dreizehn、vierzehn、fünfzehn、sechzehn、siebzehn、achtzehn、neunzehn、zwanzig
また、次回まで
バイバ~イ
2012年5月4日 (ヨハンはしばし今日から不在します、また連休があけたらお会いしましょう)
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