弁護士NOBIのぶろぐ

マチ弁が暇なときに,情報提供等行います。(兵庫県川西市の弁護士井上伸のブログです。)

いい弁護士の探し方・選び方

2013年03月20日 | ⑥弁護士等法曹情報
いい弁護士には,2つの意味があります。

主観的にいい弁護士=自分にとって都合のよいことを言う弁護士
客観的にいい弁護士=自分にとってベターないしベストな解決をプロデュースする弁護士
です。

主観的にいい弁護士を探すには,たくさんの弁護士に相談して,自分にとって一番都合のよい回答をしてくれる弁護士が出てくるまで待てばいいです。
しかし,この場合,無能弁護士または金儲け至上主義弁護士の食い物にされ,少なくない財産を失うことを覚悟する必要があります。

本稿で言いたいのは,客観的にいい弁護士を探す方法です。
(「良薬は口に苦し」的弁護士も含む)
特に私は,消費者側の弁護士なので,消費者側の立場に立って本稿を書きます。
念のため,申し上げておくと,ここで書いていることは,いい弁護士が見つかる確率が比較的いいと私が思っている方法であり,100%いい弁護士が見つかる方法ではありませんので,その旨ご了承ください。

客観的にいい弁護士とは,
①人柄がよく(主として職業倫理が高いこと)
②有能で
③当該事件の処理に精通している
弁護士です。

しかし,①~③は一般消費者にはなかなか見極めが難しいです。

まず,いい弁護士を見極めるためには,
弁護士の習性ないし傾向をよく知っておくべきです。

ほとんどの弁護士にも言えることですが,弁護士は,なるべく楽して,着手金・報酬がたくさんもらえる事件が好きです。
なので,楽でおいしい事件にはがっつく傾向にあります。
楽でおいしい事件とは,過払事件,死亡事故・高度の後遺障害の交通事故,資産家の相続,資産家・高所得者の離婚,賃料滞納の建物・土地の明渡などです。
がっつくということは,受任に向かうよう相談者を煽ることです。
煽るパターンとしては,弁護士をつけないリスクを必要以上に煽る場合と(やらないと損する),弁護士をつけることによるメリットを必要以上に煽る場合(やれば得する)です。
こういう弁護士には注意が必要です。

これを見極めるには,何ら具体的根拠を示さずに,勝訴すると言ったり,勝訴の見込みが高いという弁護士かどうか,特に,弁護士を付けた上での敗訴リスク・回収不能リスクを具体的に説明しない弁護士かどうかです。
ただ,放っておくと,悪気なく説明を省くこともあるので,これらの点について相談する側から説明を求めるべきです。
時間制限がない状況でこれらの説明を求められて,きちんと説明できない,あからさまに不機嫌になる,弁護士は煽り弁護士の可能性が高いです。

弁護士の使命は,なるべく迅速に,なるべく妥当な結論で,なるべく依頼者に実質的に有利に,紛争を解決することだと私は思っています。
そういう視点を無視して,煽って紛争を拡大させる弁護士はいい弁護士だとはいえないと思います。

人格のいい弁護士の傾向ですが,自分が勝てないと思っている事件は断る,相談者・依頼者から「嘘をつけ」と言われても,「それなら受任しません」と言います。

弁護士選びで失敗しないには,事務所が大きいことを過度に信頼しすぎないこと,各種メディアで宣伝をしていることを信頼しすぎないこと,処理件数が多いことを過度に信頼しすぎないことです。

まず,宣伝を多くしているのは,弁護士の人格と有能性とはまったくの無関係です。
事務所が大きく,処理件数が多いのは,弁護士の有能さの一つの指針にはなりえますが,必ずしも,有能な弁護士が,大きな事務所を形成したり,処理件数が多いとは限りません。
中身のないが宣伝費を掛けまくっている営利的な弁護士も,事務所が大きく,処理件数も多い傾向にもあります。
逆に,弁護士1名の事務所,積極的に宣伝をしていない弁護士,処理件数が少ない弁護士でも,有能な弁護士はたくさんいます。

やはり,実際に弁護士に会って,話を聞いて,信頼できるか有能かを判断する姿勢が必要です。
自分の判断に自信がなければ,セカンドオピニオン・サードオピニオンを惜しんではいけません。

当該事件の精通度合を見るのは,素人にはなかなか難しいです。
やはり,面談時の具体的な説明,他の専門弁護士の協力体制,処理件数・処理結果などが重要な判断材料になります。

また,セカンドオピニオン・サードオピニオンなどしてもいいかもしれませんね。
だれでもできる分野の場合には,弁護士の多数意見が見込みとしては正しい傾向にあります。
ただ,専門性が特に高い分野(医療,行政,建築,知的財産,投資被害,消費者被害など)は,良くやっている弁護士と,あまりやっていない弁護士ではいうことが異なる場合があります。
(専門性が高い分野は,重点的にやっている弁護士に頼むのが確率がいいですが,超一流の弁護士は,自分の専門外でも結果を出す可能性が高いです。応用力が高く,研究熱心で,そのために手を一切抜かない弁護士です。ただ,こういう弁護士に出会える可能性はなかなかないですね。)

あと,いい弁護士を探す一番確率の高い方法は,弁護士に紹介してもらうことです。
業界のことは業界人に聞くのが一番確率が高いわけです。
ただ,弁護士は自分が信頼していない人に,安易に他の弁護士を紹介することはしません。
なぜなら,紹介する相談者が,紹介した弁護士に迷惑をかける可能性があるからです。
いい弁護士を探す方法で確率が高く,かつ,楽な方法は,信頼できて仲のよい弁護士を作ることですね。

人柄がよく人を見る目がある弁護士を友達にするか(これはなかなか難しい),顧問弁護士にすることが手っ取り早いでしょうね。

ちなみに,当事務所の顧問契約の説明は⇒当事務所の新しい形態での弁護士顧問契約
当事務所宣伝になって恐縮ではありますが(笑),当事務所はかなりリーズナブルな顧問契約を提供しているつもりです。

ちょっと話は変わりますが,私は投資被害(先物・証券)を重点的にやっており,得意分野と自負していますが,専門性の高い分野を極めようとすると,多くの普通の弁護士ではできないノウハウを身についていきます。
そうすると,他の専門性の高い分野に対して,自分の得意分野同様の力を出せる自信がないので,安易に受任することができなくなりました。
私個人は,医療事件,建築事件,知的財産権事件,行政事件は,一人でやる自信がないので,もし来たら他の弁護士に紹介するか,他の弁護士と共同してやるでしょうね。
ちなみに,うちのイソ弁さんには,医療事件を専門的にやってもらえればなあと思っています(ただし,医者側ですが。そういえば前いた事務所も病院側だったなあ)。
うちの事務所に医療過誤の患者側で相談に来られた場合には,神戸医療問題研究会を案内するでしょうね。
顧問契約をされている方の場合は,私が信頼している弁護士をご紹介することになるでしょうね。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
難しい (みほ)
2015-08-04 07:28:57
初めまして!
今、弁護士を探しています。
とても難しい難題(負ける可能性が高い)のものを依頼するときは、ケースバイケースで経験値を優先に考えたほうがいいのでしょうか、
難しいですね・・・
難しいですね (NOBI)
2015-08-11 00:03:38
負ける確率が高くても,和解で解決すると言う方法があります。

うまく相手方を説得できれば,負ける金額を減らしたり,請求する側でも一部取れたり,請求される側でも,全額払う場合でも分割払いにしてもらえたりする場合もあります。

そういう場合は,経験値(交渉術や引出の多さ)が重要になるかもしれませんね。ただ,経験値だけではない部分(例えば,理屈の切れ味とか相手方弁護士との相性とか)もあるので,一概に経験値だけではないです。

自分が負けると思っている事件については,まともな弁護士は受任自体を嫌がる傾向にあります。
負ける可能性が高い事件は,きちんとリスクを説明してくれる弁護士がいいでしょうね。
そのリスクをきちんと理解して,信頼関係が気付ければ,まともな弁護士でも和解狙いでなら受任する場合もあります。

よく,勝訴の見込み自体を楽観視しながら,「負けてもいいから受けてほしい」と言われることがありますが,こういう人の受任は,まともな弁護士は嫌がります。

あと,特に専門性が高い場合には,その分野に精通している人がいいと思います。
言ってることや勝訴の見込みが普通の弁護士とは違います。

いい弁護士を見つけても,必ず勝てるわけではなく,負けたら着手金は返ってきませんので,よくよく考えて依頼しましょう。

頑張って下さい。

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