人権擁護法案第三条【人権侵害等の禁止】について-2

(コメント)(旧)人権擁護法案を読んでいてふと思いついたことがあります。銭湯で『背中などに彫物(ようするに刺青)をした人お断り』という注意書きが書いてあるのを見たことがあるのですが、こうした表示行為が人権擁護法案における『不当な差別、人権侵害』に該当するのか、ということです。まず、関連する条文をピックアップしたので、赤文字部分を中心に読んでみてください。



第二条【定義】
この法律において「人権侵害」とは、不当な差別、虐待その他の人権を侵害する行為をいう。

2この法律において「社会的身分」とは、出生により決定される社会的な地位をいう。

3この法律において「障害」とは、長期にわたり日常生活又は社会生活が相当な制限を受ける程度の身体障害、知的障害又は精神障害をいう。

4この法律において「疾病」とは、その発症により長期にわたり日常生活又は社会生活が相当な制限を受ける状態となる感染症その他の疾患をいう。

5この法律において「人種等」とは、人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障害、疾病又は性的指向をいう。


第三条【人権侵害等の禁止】

1 何人も、他人に対し、次に掲げる行為その他の人権侵害をしてはならない。
  一 次に掲げる不当な差別的取扱い
    イ  国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する者と
      しての立場において人種等を理由としてする不当な差別的取扱い

    ロ  業として対価を得て物品、不動産、権利又は役務を提供する者と
      しての立場において人種等を理由としてする不当な差別的取扱い


    ハ 事業主としての立場において労働者の採用又は労働条件その他労働
      関係に関する事項について人種等を理由としてする不当な差別的取
      扱い(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関
      する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第八条第二項に規定する
     定めに基づく不当な差別的取扱い及び同条第三項に規定する理由に
     基づく解雇を含む。)

  二  次に掲げる不当な差別的言動等
    イ  特定の者に対し、その者の有する人種等の属性を理由としてする
       侮辱、嫌がらせその他の不当な差別的言動


    ロ  特定の者に対し、職務上の地位を利用し、その者の意に反してす
       る性的な言動

  三  特定の者に対して有する優越的な立場においてその者に対してする虐待

2  何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
  一  人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由と
     して前項第一号に規定する不当な差別的取扱いをすることを助長し、又
     は誘発する目的で、当該不特定多数の者が当該属性を有することを容易
     に識別することを可能とする情報を文書の頒布、掲示その他これらに類
     する方法で公然と摘示する行為

  二  人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由とし
    て前項第一号に規定する不当な差別的取扱いをする意思を広告、掲示その
    他これらに類する方法で公然と表示する行為





(コメント)

条文を見てください。第三条第1項第一号のロに、『業として対価を得て(中略)権利又は役務を提供する者』とありますが、風呂屋もこれに該当すると思われます。つまり同条文は、『風呂屋は人種等を理由として不当な差別的取扱いをするな』といっているわけです。また、第二条第5項に『人種等とは(中略)信条をいう』とありますし、彫物は信条表現そのものですから、結局のところ同条文は、『風呂屋は彫物を理由として不当な差別的取扱いをするな』ということになります。他の客が嫌がるから、売上が減るからという理由で『彫物お断り』というのは、不当な差別・人権侵害です。

また、風呂に入ろうとした彫物をした個人に対して、『あんたはダメ!』などと発言をし、入浴を阻止する風呂屋の行為は、第三条1項二号イにある『特定の者に対し、その者の有する人種等の属性を理由としてする侮辱、嫌がらせその他の不当な差別的言動 』に該当します。

さらに、『お断り』の看板表示は、第三条2項二号にある、『人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として前項第一号に規定する不当な差別的取扱いをする意思を広告、掲示その他これらに類する方法で公然と表示する行為 』にも抵触します。

結論は、身体に彫物をしているという理由だけで、風呂屋が入浴を断わるなど差別的取り扱いをしたり、公然と表示するのは不当差別であり人権侵害なので、人権擁護法(案)違犯です。




・・・・・・・・・・・・・という理屈が成り立ってしまうの?と心配しました。

確かに、身体に彫物をしている人≠ヤクザなわけだし、彫物をしているだけで入浴お断りというのは不当差別だという理屈も成立しないわけではないけど、これってお風呂屋さんが可哀想ですよね。人権保護のためならお風呂屋さんが倒産の危機にあっても構わないっていうのもなんだか・・・・

小泉総理の中国人観光ビザ拡大のように『やって駄目だったら考えればいい』という考え方には反対なんです。・・・・私は。



そこで、電突してみました(昨日)。相手は法務省・公明党政策調査会・古賀誠事務所の三ヶ所です。法務省の人によると、法務省が作ったのはあくまでもたたき台であって、それを国会議員(自民党の部会など)が修正した結果はじめて法案になるのだから、現段階では法案もできていないわけで、法案の説明を求められても、法案そのものが存在しないのだから説明のしようがないそうです。
公明党政務調査会に電話したところ、担当者が会議中でした。古賀誠事務所に電話したら、意見を伺うことはできるが、質問に答えられる者がいないとのことでした。

・・・・結局全滅。(誰か銭湯業界団体からコメント取ってきて・・・)



あと、お風呂屋の掲示に限らず、人権擁護法案に抵触しそうな事柄がありましたら、お知らせください。一緒に考えましょう。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
« 第二次世界大... パソコン修理... »
 
コメント
 
 
 
ファッションタトゥーは? (esi)
2007-08-13 01:07:15
ファッションタトゥーでも、スポーツクラブは入会を拒否するんです。
あきらかに暴力団関係の人間ではないとわかる白人がとかげの刺青をしているだけで、入会できないんです。
これこそ人権侵害ではないですか?
 
 
 
質問申し上げます (はにゅ)
2009-11-30 23:49:26
はじめましてm(__)m

私は刺青が入ってます

仕事ではもちろん隠して働いていますが、突然、暴力団だ!と警察を呼ばれました

道端で4人に囲まれ、響き渡る声で罵られています

法務局の人権擁護課、警察への被害届も出してますが、改善の予知が見られません

もう死ねって事なんでしょうか・・・
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。