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Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
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ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃

2014年08月31日 16時09分35秒 | 邦画1961~1970年

 △ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃(1969年 日本 70分)

 英題 All Monsters Attack

 staff 監督/本多猪四郎 脚本/関沢新一 撮影/富岡素敬

    美術/北猛夫 特技監修/円谷英二 音楽/宮内國郎

    主題歌/佐々木梨里、東京ちびっこ合唱団

        『怪獣マーチ』作詞:関沢新一、作曲:叶弦大、編曲:小杉仁三

        雷門ケン坊『怪獣ゲーム』作詞:坂口宗一郎、作曲・編曲:渡辺岳夫

 cast 佐原健二 中真千子 矢崎知紀 天本英世 田島義文 堺左千夫 鈴木和夫 沢村いき雄

 

 △特撮とボク、その42

 あ、42本目がこの作品になろうとは、語呂までぴったりで悲しくなる。

 当時、子供の楽しみなんてものは映画か動物園か遊園地くらいしかなくて、

 ことにぼくの住んでた田舎は娯楽なんてものはほかになかった。

 だから、

 どれだけ映画界が斜陽になっても、ぼくらは怪獣映画が封切られるたび、

 今度こそおもしろいにちがいないと、祈るような気持ちで映画館へ向かったものだ。

 でも、その数年間、東宝にも大映にもその祈りは打ち砕かれた。

 邦画界の斜陽の波は凄まじいものがあって、

 日活も大映も青息吐息で、東宝と松竹はなんとか継続していたものの、

 怪獣映画については、どれもこれもきわめて残念な代物になってた。

 この作品も例外じゃなく、なにより残念だったのが新怪獣ガバラだった。

 名前もそうだけど、顔がそこらのぶさいくなオヤジみたいでどうにもやるせなかった。

 当時、映画はどんどんだめになって、怪獣映画もそれに含まれるんだけど、

 もうひとつ、衰退の一途をたどっていたものがある。

 月刊の漫画雑誌だ。

 次々に廃刊になって、

 週刊漫画雑誌として創刊されるものもあれば、他の週刊誌に吸収されるものもあった。

 この作品が前売り券を売り始めたとき、景品につけられた下敷きがあったんだけど、

 それが『ぼくらマガジン』の下敷きで、

 これは『ぼくら』が廃刊になって週刊漫画雑誌になった頃の宣材だったんだろう。

 まあ、それはともかく、

 この頃、ゴジラもガメラも極端に世界は小さくなった。

 物語はわずか半日や数日で片の付くようなホームドラマみたいなものになって、

 もともとゴジラとは切っても離れないはずだった原子爆弾への怒りみたいな、

 そういった肩を張ったものは鳴りをひそめるようになってた。

 この作品も、現実逃避していた苛められっ子の少年が発奮するという、

 ただそれだけの30分ドラマのような日常のほんのひとコマに怪獣が絡んでいるだけの、

 観ているだけでつらくなるような内容だった。

 とはいえ、ぼくはそれでもちゃんと観てたわけだから、

 なんとなく当時のぼくを褒めてやりたいようなそんな気までする。

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怪獣総進撃

2014年08月30日 23時20分20秒 | 邦画1961~1970年

 ◇怪獣総進撃(1968年 日本 89分)

 英題 Operation Monsterland/Destroy All Monsters

 staff 監督/本多猪四郎 特技監修/円谷英二 特技監督/有川貞昌

     脚本/馬淵薫(木村武)、本多猪四郎

     撮影/完倉泰一 美術/北猛夫 音楽/伊福部昭

 cast 久保明 小林夕岐子 愛京子 田崎潤 土屋嘉男 佐原健二 黒部進 田島義文 森今日子

 

 ◇特撮とボク、その41

 物語の設定として、これほど当時の子供たちを喜ばせたものはないかもしれない。

 1994年、つまり、ゴジラが日本に初上陸してからちょうど40年後、

 国連科学委員会(U.N.S.C.)は硫黄島に宇宙港を建設し、

 ゴジラをはじめとする怪獣たちは、

 小笠原諸島周辺の海洋牧場の怪獣島、通称怪獣ランドで管理研究されている。

 まあ、管理研究といえば聞こえはいいが、要するに飼育されてるんだね。

 けど、これをスピルバーグが参考にして、

『ジュラシック・パーク』を製作したのかどうかはよくわからないけど、

 ともかく、当時としては画期的な企画で、

 往年の怪獣は、牙をぬかれ、爪をもがれた、優しくて子供好きなまま放牧されてるわけだ。

 で、この作品もやっぱり『ゴジラの息子』同様、漫画を持ってた。

 月刊誌『まんが王』の付録で、画は虫プロ出身の井上智と成田マキホの共作だ。

 昭和43年7月号の別冊付録だから、映画を観に行く前にちゃんと読んでた。

 この漫画は、おもしろかった。

 ぼくは手塚治虫が大好きだったから、とってもよく似た描線だともうそれだけで好きになる。

 で、何度も読み返して、ついに劇場へ行った。

 ま、そのときの感想は、正直な話、漫画の方がおもしろいな~というものだった。

 この作品は円谷英二の監修した最後の怪獣映画なんじゃないかっておもうんだけど、

 どうなんだろ?

 これ以後、円谷英二の名前があってもそれはたぶん名義貸しなんじゃないかな。

 そういうことからいえば、

 世界中を怪獣が破壊して回るのは最後の監修ということかすれば楽しめたかもしれないね。

 それくらいの感想になっちゃうのが、なんとなく悲しいね。

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怪獣島の決戦 ゴジラの息子

2014年08月29日 22時51分28秒 | 邦画1961~1970年

 △怪獣島の決戦 ゴジラの息子(1967年 日本 86分)

 英題 Son of Godzilla

 staff 監督/福田純 特技監修/円谷英二

     特技監督/有川貞昌 脚本/関沢新一、斯波一絵

     撮影/山田一夫 美術/北猛夫 音楽/佐藤勝

 cast 高島忠夫 久保明 前田美波里 平田昭彦 土屋嘉男 佐原健二 黒部進 深沢政雄

 

 △特撮とボク、その40

 小学生の頃、月刊の漫画雑誌があった。

 少年、少年画報、ぼくら、少年ブック…。

 ぼくは『少年』は毎月とっていたし、ほかの月刊誌もかなりの頻度で買ってた。

 そんな昭和43年12月、東宝チャンピオンまつりが始まる直前、

『少年』の1月号別冊付録に、この作品が漫画化されて冊子になってた。

 脚本をほとんどそのまま漫画にしたもので、画は中沢啓治だった。

 映画の予習のようにして、ぼくは一所懸命に読んだ、とおもう。

 特にゴジラがクモンガの脚をもって、

 ぐおっと振り回す絵は真似して描いたような気もする。

 まあ、そんなこともあったりして、かなり映画を楽しみにしてたんだけど、

 うん、つまりは、小学生でも落胆するほどの出来栄えだったんだよね。

「ちがうな~、これは」

 なにがどう、どこがどうちがうのかはわからなかった。

 たしかに、

 カマキリやクモがただ大きくなっただけのカマキラスやクモンガはよく動いてた。

 人力による操演は今となっては芸術的なものにもおもえるけど、

 でも、あきらかに昔のゴジラじゃなかった。

『南海の大決闘』のそれにちかかった。

 この頃になってぼくが『1967年の悲劇』としきりにいってるのは、

 こういう体験もあったからなんだよな~。

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大怪獣バラン

2014年08月28日 21時49分30秒 | 邦画1951~1960年

 ◎大怪獣バラン(1958年 日本 82分)

 英題 Varan the Unbelievable

 staff 監督/本多猪四郎 特技監督/圓谷英二(円谷英二)

     原案/黒沼健 脚本/関沢新一

     撮影/小泉一 美術/清水喜代志 特技美術/渡辺明

     造形/利光貞三、八木寛寿、八木康栄、村瀬継蔵

     合成作画/石井義雄 光学作画/飯塚定雄、茂田江津子

     音響効果/三縄一郎 音楽/伊福部昭

 cast 野村浩三 園田あゆみ 千田是也 平田昭彦 土屋嘉男 本間文子 熊谷二良

 

 ◎特撮とボク、その39

 ぼくがこの作品を初めて観たのは、テレビだった。

 当時の白黒テレビは画像も悪ければ音も悪く、

 カラーの怪獣映画に慣れてたぼくには、ちっともおもしろくなかったんだけど、

 もうずいぶんと大きくなってから、伊福部昭のBGMを聴いた。

 そのときの衝撃たるや、なんでこの映画が劇場で観られないんだ!てなもので、

 以来、ぼくは『大怪獣バラン』の再上映を待ち焦がれてたんだけど、

 まったく再上映されることはなかった。

 でもまあ、劇場では今のところ観られずにいるものの、充分におもしろかった。

 いや、すごかった。

 バランの飛んでくところはちょっとばかりお粗末ではあるけれど、

 そんなことは、物語と映像と音楽による全体の出来栄えからすればたいしことじゃない。

 自衛隊の記録映像と上手にミックスされた戦闘場面の迫力は、

 特撮映画中の白眉じゃないかっておもえるし、

 合成されてる作画の見事さといったらないし、ミニチュアの湖がまたいい。

 もちろん、

 日本のチベットといわれる北上川の上流岩屋に残る婆羅陀魏山神の伝承とか、

 なんとも超古代オタクの心をそそるような設定もいいし、

 祠に祀られた婆羅護吽の像もまたいい。

 けど、なんといっても凄いのが、伊福部昭の音楽だ。

『婆羅陀魏』は伊福部昭の傑作じゃないかっておもえるし、

『兵士の序曲』をもとにする行進曲のオンパレードには鳥肌が立つ。

 鳴き声がゴジラほどの哀愁がないのと、

 照明弾につけられたメガトン爆弾を呑み込んでの体内爆発という設定が、

 もうちょっとなんとかならなかったんだろかとはおもうけど、ま、仕方ない。

 あ、そうそう。

 特技助監督のチーフとして出目昌伸さんが参加しているのには、

 ちょっと意外な感じがしたけど、これは余談。

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大巨獣ガッパ

2014年08月27日 16時21分15秒 | 邦画1961~1970年

 ◇大巨獣ガッパ(1967年 日本 84分)

 英題 Gappa,the Triphibian Monster

 staff 監督/野口晴康 脚本/山崎巌、中西隆三 特技監督・原案/渡辺明

    撮影/上田宗男 美術/小池一美 音楽/大森盛太郎

    主題歌/美樹克彦『大巨獣ガッパ』作詞:一条ひかり、作曲:米山正夫

        ダニー飯田とパラダイス・キング『がんばれ仔ガッパ』作詞:中原良、作曲:大森盛太郎

 cast 川地民夫 山本陽子 和田浩治 藤竜也 小高雄二 桂小かん 町田政則 大谷木洋子

 

 ◇特撮とボク、その38

 ぶっ飛ぶことがある。

 主題歌だ。

 日活青春路線もあわやとおもえるような絶叫青春歌謡で、

 一度でも聞いてしまうと「ガッパ~あ!」っていう歌声が耳に残っちゃうんだ。

 でも、実をいえば、この主題歌だけは勘弁してちょとはおもうものの、

 映画そのものはそれほど溜め息つくほどでもない。

 1967年という年は日本の特撮映画が絶頂期を迎えた年だけれども、

 同時に、日本特撮にとっては悲劇の年でもあるとぼくはおもってる。

 東宝、大映、松竹、日活の各社がこぞって特撮怪獣映画を作り、

 どれもこれも子供だましような作品が仕上がり、

 それを観る羽目になってしまったぼくたちを大いに落胆させた。

 そうした中で、この作品はまだしも良質な作品だった。

 もちろん、特撮そのものは決して上手なものとはいえず、

 かなりがっくりとくるところが無きにしも非ずだけれど、

 物語がおもったよりもしっかりしてるものだから、さほど気にならない。

 ただこの話、よく知られているように、イギリス映画の焼き直しだ。

 1959年に制作されて61年に封切られた『怪獣ゴルゴ』がそれで、

 でも、そんな焼き直しの『大巨獣ガッパ』が、

 今度はハリウッドでさらに焼き直されたんじゃないかと、

 ぼくなんかはおもったりしてる。

『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク』がそれなんだけど、

 ただまあ、

 スピルバークがガッパを観ているかどうかってことは実はどうでもいい。

 だって、本家本元の『怪獣ゴルゴ』を観ればそれで済む話なんだから。

 けど、本家が男だらけの色気のない作品であるのに対して、

 さすが日活作品というべきか、こちらの作品は実に健康的な色気がある。

 山本陽子だ。

 もう、どんな格好してても、かわいい。

 いや、気品があって、可憐で、哀愁に満ちたまなざしをする。

 ただ、すでにこのとき、デビューして3年目で、女優としては充分な位置にいる。

 だから初々しさはちょっと感じられないんだけど、

 それだけカメラ慣れしてるってこともあるんだろう、

 実に、美しくその姿態を見せてくれる。

 こういうところは、さすがに日活なのかなっておもうわ。

 いや、そんな脱線話はともかく、

 結局のところ、怪獣といっても子を求める親の気持ちは共通よ!てな話なんだけど、

 ガッパはデザインからして巨大化した烏天狗のようにも見えるし、

 まあ、名前のとおり、

 河童に酷似した異生物かもしれないんだけど、

 南洋の島の伝説の巨獣というより、

 東北とかにある人跡未踏の地に棲まう巨獣の方がしっくりくるような造形ではある。

 でも、ま、1作でやめてよかったのかもしれないけどね。

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ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発

2014年08月26日 20時26分14秒 | 邦画2008年

 △ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発(2008年 日本 98分)

 英題 The Monster X Strikes back / Attack the G8 Summit

 staff 監督/河崎実 脚本/河崎実、右田昌万

     プロデューサー/鈴木忍、河崎実、叶井俊太郎、鈴木政信、塩田康一

     撮影/須賀隆 美術/内田哲也 音楽/福田裕彦

     主題歌/デブパレード『cosmic mind』

 cast 加藤夏希 和崎俊哉 夏木陽介 黒部進 古谷敏 堀内正美 井上純一 森下悠里

 

 △特撮とボク、その37

 チープな世界をチープに楽しめる怪獣といえば、

 もはや、ギララの右に出る怪獣はないんじゃないかってくらい、

 かつての『宇宙大怪獣ギララ』はすごかった。

 ま、それはいいとして、

 その『宇宙大怪獣ギララ』観たんなら、

 ついでにこっちも観とかないといけないよね。

 故意にチープに作り上げられた世界を提示されたとき、

 その陳腐さに眉をしかめるのはもってのほかだってことは、

 この手の作品を観る際の鉄則だ。

 あとは、作品で描かれてる世界が、自分の範疇なのかどうかってことを判断し、

 自分と笑いの価値観が似ているときにはおおいに楽しめばそれでいい。

 で、この作品なんだけど、

 あえて前作というが『宇宙大怪獣ギララ』に出演していた和崎俊哉に敬意を表して、

 博士役を演じてもらっているのは、いい。

 ギララも前作どおり踊りを踊るような(ギララ踊りとぼくは呼んでるが)破壊行為を繰り返し、

 舞台が洞爺湖サミットである以上、さまざまなお国柄の作戦が展開されるのも、またいい。

 加藤夏希がまじな演技に徹しているのも、

 どちらかといえば悪趣味ぶり世界との均衡が図られているようで、そうした工夫も受け止められた。

 黒部進がマイクを持って命令しなければいけないところ、

 ウルトラマンに変身する際のベーターカプセルを構えるのは定番とはいえ、それで満足だし、

 同時に、核ミサイル「はげわし」はウルトラマンに登場した「はげたか」なのもやはり満足だろう。

 けどまあ、

 特撮で育ってきたぼくたちは、自分の贔屓の作品はいろいろあって、

 みうらじゅんやリリー・フランキーや水野晴郎のフアンならばなおさら嬉しかったりするんだろうけど、

 こういうたぐいの話は、やはり、自分がどこまで乗れるかってことにつきる。

 それはおそらく、海外で上映されたりしたときもそうだったんだろう。

 ま、そういうことだ。

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宇宙大怪獣ギララ

2014年08月25日 16時54分18秒 | 邦画1961~1970年

 △宇宙大怪獣ギララ(1967年 日本 88分)

 英題 The X from Outer Space

 staff 監督/二本松嘉瑞 脚本/二本松嘉瑞、元持栄美、石田守良

     特撮監督/池田博 監修/光瀬龍 撮影/平瀬静雄 美術/重田重盛

     ギララ・デザイン/重田重盛 製作主任/内藤誠 音楽/いづみ・たく

     主題歌/ボニージャックス『ギララのロック』作詞:永六輔、作曲:いずみたく

         倍賞千恵子『月と星のバラード』作詞:永六輔、作曲:いずみたく

 cast 岡田英次 穂積隆信 藤岡弘 浜田寅彦 和崎俊也 原田糸子 柳沢真一 北竜二

 

 △特撮とボク、その36

 いまもってふしぎでならないんだけど、

 小学生のとき、ぼくの持っているギララ関連グッズは相当なものだった。

 プラモデルはもちろんのこと、メンコ、ブロマイド、そしてソフトビニール人形まで、

 ほかのがきんちょがギララのグッズなんてなんにも持ってないのに、

 ぼくだけはなぜかあらかた揃ってた。

 実にふしぎな話だ。

 というのも、ギララの映画はたしかに観に行ったものの、

 観てすぐにすっかりと内容を忘れ、

 ただギララが町を破壊していることしかおぼえてなかったからだ。

 にもかかわらず、ギララのプラモデルが欲しくて買ってもらい、組み立てた。

 ギララだけじゃなくて、

 映画の中ではAABガンマー号と呼ばれてる宇宙船アストロボートのプラモデルまで持ってた。

 どうしてなんだろうっておもうんだけど、

 たぶん、ギララとガンマ一号のデザインがなんとなく気に入ってたんだろね。

 で、あらためて観たんだけど、

 なんつうか、いかにも松竹らしい明朗快活な青春ホームドラマだった。

 SF的な世界観はあるし、怪獣も登場するんだけど、それだけのことで、

 地球本部も月基地も宇宙船内もどこもかしこもホームなんだ。

 登場する連中はみんな穏やかで、シャワーとか浴びちゃいながら健康的なお色気を出し、

 誰が好きだの嫌いだの、ご飯をいっぱい食べるだの食べないの、

 いったいおまえたちは地球が危機的な状況にあるのをわかってるのかっていいたくなるくらい、

 ほんわかしたSF怪獣青春ドラマを展開している。

 ギララが破壊する町もなんだかテーマパークの立体模型みたいだし、

 岡田英次理事長と穂積隆信教頭による学園ドラマみたいな雰囲気が濃厚だし、

 いつになったら藤岡弘は持ち前の熱血ぶりを披露してくれるんだろうっていう期待もむなしく、

 ほっぺたの丸い、おたふく風邪みたいなギララが泡になってカンテラの中に閉じ込められちゃう。

 主題歌にしてもそうだ。

 なんとまあ、明るく楽しい、爽やかな歌なんだろう。

 ボニージャックスで始まり、倍賞千恵子で幕を引くその凄さたるや、

 大映のガメラマーチに匹敵するくらい鳥肌が立った。

 実はぼくは大船調の青春ドラマは好きだった。

 森田健作の青春物がことに好きで、海の近くの撮影所に憧れたりもした。

 でも、それは青春ホームドラマなんだよね。

 ほんとに、ぼくはふしぎでならない。

 どうしてこの映画のグッズがぼくの部屋にいっぱいあったんだろうって。

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吸血髑髏船

2014年08月24日 02時25分33秒 | 邦画1961~1970年

 ◇吸血髑髏船(1968年 日本 81分)

 staff 監督/松野宏軌 脚本/下飯坂菊馬、小林久三 撮影/加藤正幸

     美術/森田郷平 特撮監督/川上景司、福田太郎 音楽/西山登

 cast 松岡きっこ 入川保則 岡田真澄 西村晃 金子信雄 小池朝雄 内田朝雄 山本紀彦

 

 ◇特撮とボク、その35

 いかにも往年の推理劇で、怪奇趣味はその味付けといった感じだ。

 題名の悪さがどうにもしようがないもんだから、

 内容は、一卵性双生児の姉が殺されて、

 その妹に霊魂が憑依して仇討をしていくと見せかけた姉妹と夫の復讐劇だけども、

 その半分くらいの種明かしが最初にされちゃうもんだから、

 まあ、興味を半分そがれた感じで観なくちゃいけない。

 行方知れずになってる顔半分にやけどのある海賊の親玉についても、

 あまりにも優しい教会の神父が出てきちゃったりすると、

 あれれって感じはいなめない。

 ただまあ、7000トンの船を借り切って撮影したというだけあって、

 船のロケセットはけっこうな現実感があったけどね。

 それと、

 西村晃と松岡きっこ(双子の姉の方ね)の復讐譚にはなってるんだけど、

 これが吸血鬼なのか悪霊なのか現実の生き残りなのかってのが、

 いちばんの興味を引くところで、これは上手に物語に活かされてた。

「おもったよりも拾い物」

 っていう感想は、観た者に共通してるんじゃないかしらね。

 あ、それから、

 松岡きっこのおっぱいがカラーで観られないのは残念なところではあるけど、

 この映画、わざわざ白黒で撮影されたから良かったのかもしれないね。

 種明かしになるからあれなんだけど、

 西村晃が吸血鬼に見えるのは、

 3年間も間、松岡きっこ姉の死体に自分の血を輸血し続けたからで、

 となると、題名の吸血ってどういう意味だったんだろねって話にならない?

 ほんと、この題名、よくないな~。

 もうすこし怖そうだけれどもサスペンス色の漂う題名ってなかったんだろか?

 それにしても、なにがいちばんいけないって、ポスターだろ。

 これ、だめだよ。

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吸血鬼ゴケミドロ

2014年08月23日 00時47分42秒 | 邦画1961~1970年

 ◇吸血鬼ゴケミドロ(1968年 日本 84分)

 英題 GOKE、Body-Snatcher GOKE、Body Snatcher from Hell

 staff 監督/佐藤肇 脚本/高久進、小林久三

    撮影/平瀬静雄 美術/芳野尹孝 特撮監督/小嶋伸介

    製作主任/内藤誠 渡辺寿男 音楽/菊池俊輔

 cast 吉田輝雄 佐藤友美 北村英三 高橋昌也 高英男 楠侑子 西本裕行 山本紀彦

 

 ◇特撮とボク、その34

 もともとは漫画家のうしおそうじの企画だったらしいんだけど、

 まあそれが紆余曲折あったみたいで、この作品が出来上がったらしい。

 そのあたりのことはここで書いても仕方がない。

 ただ、ゴケミドロっていう名前は、

 うしおそうじが好きでよく通っていた京都の苔寺と深泥池を足したものみたいだ。

 この映画でなにより強烈なのが、

 タランティーノも大好きな真っ赤な空で、ここを飛ぶ飛行機にカラスが3度もぶつかってくる。

 これは、凄い出だしだった。

 物語の展開は昔ながらののっぺらぼう話で、

 密室で襲われ続けた者がやっとのおもいで外に出ると、

 すでに世界すべてがお化けになってたってやつだ。

 でも、特撮はたしかにちゃっちいところがあるものの、

 飛行機のロケセットはちゃんと作ってるし、ラストのたたみかけは悪くない。

 空飛ぶ円盤が雲霞のように地球に迫ってくるラストなんざ、ちょいと圧巻だ。

 それと、一見地味に見えるキャストが凝ってる。

 なんていうか、文化的知識人たちが楽しんで演じてたみたいな匂いがして、

 ぼくはこういうのは嫌いじゃない。

 ただ、ふしぎなことがあって、

 ぼくはこの作品は小学校のときに封切りを観に行ったんだけど、

 どうにもおぼえてる内容と違うし、役者たちも違うんだよね。

 ぼくの憶えているのは森の中がもっと出てきて、

 崖みたいなところで登場人物たちがいがみ合ってるところへ、

 ゴケミドロに寄生された男が襲い掛かってくるような感じだったんだよな~。

 あの『ゴケミドロ』はなんの映画だったんだろう?

 ところで、内藤誠さんが制作主任をやってるんだけど、

 内藤さん、ギララでも制作主任してなかったっけ?

 この作品は松竹京都太秦撮影所で撮られたそうだけど、

 ギララを東京で撮るやすぐさま京都でこの組に参加したってことなのかしら?

 これは、たしかめないといかんね。

 それと、吉田輝雄のことだけど、

 この作品が撮られた頃はすでに松竹から東映に移籍してるはずだ。

 それがこの作品だけ松竹に帰ったのは、

 東映から佐藤肇が呼ばれて演出したのと関係があるんだろか?

 これについては、事の次第を誰か知ってるんだろうか…。

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マタンゴ

2014年08月22日 12時10分47秒 | 邦画1961~1970年

 ◎マタンゴ(1963年 日本 89分)

 英題 MATANGO、The Fungus of Terror、Curse of the Mushroom People

 staff 原作/ウイリアム・ホープ・ホジスン『闇の声』

    監督/本多猪四郎 特技監督/円谷英二

    原案/星新一、福島正実 脚本/馬淵薫(木村武) 撮影/小泉一 

    美術/育野重一 造型デザイン/小松崎茂 音楽/別宮貞雄

 cast 久保明 水野久美 小泉博 佐原健二 太刀川寛 土屋嘉男 八代美紀 天本英世

 

 ◎特撮とボク、その33

 今観ても、目をはなせないくらいおもしろい。

 この作品はなかなか観られる機会がなくて、大学に入ってからようやく名画座で観た。

 実をいうと最初に観たときは、それほど衝撃的じゃなかった。

 キノコのお化けはなんとなくちゃちいし、セットもセット然としてるし、

 とくに大学生ってやつはしゃらくさくて、いろいろと文句をつけたがるもんだし。

 てなわけで、斜に構えてたぼくはあまり認めようとはおもってなかった。

 ところが、どういうわけか、徐々に「これ、すごいんじゃない?」とおもいはじめた。

 なにがきっかけだったのか今となってはおぼえていないんだけど、

 いつのまにやら、

 本多猪四郎作品では『ゴジラ』と並んで凄いんじゃないかとおもうようになった。

 原作は読んだことがないからわからないんだけど、

 どことなく洋風な感じが残ってる気がするのは勘違いなんだろか?

 当時の東宝はやけにバタ臭くて、東宝映画の中だけがふしぎな洋風ニッポンだったりしたから、

 この映画が妙に外国風味なのはそういう伝統のせいかとおもってたんだけど、

 もしかしたら、原作の味がかなり残ってたのかもしれないね。

 伊豆大島と八丈島のロケが海岸や森の一部だからなおさら内地とはちがった雰囲気で、

 小泉一のカメラが上手に霧をとらえてたのは大きいだろう。

 それと、特撮っていうより造形の勝利だとおもったのは、ポリウレタンを使ったキノコだ。

 ポリウレタンは発泡ウレタンともいうんだけど、

 建材から衣料品、塗料、自動車製材とかいろいろ使われる。

 でも、

 これが合成されてゆく際の拡張力を利用してキノコの育っていくところを撮ろうとしたのが、

 なんといってもいちばん凄い。

 いや、膨張していく際の質感は抜群で、実写のちからはこういうところにあるんだよね。

 CGじゃダメなんだ。

 ところで、

 マタンゴなんていうちょっと厭らしげな名前は誰がつけたんだろうっておもってたんだけど、

 これ、実はモデルがある。

 もともとは土栗とか土柿とかっていわれるキノコなんだけど、

 福島県あたりの方言ではマメダンゴとかママダンゴとかっていわれるらしい。

 ちょっと変わった形をしてる。

 真ん中に人間の頭のような胞子の袋があって、

 それを包み込んでた外皮が膨れ上がって星状に裂け、まるで蛸の手足のように広がっていく。

 小さな宇宙人みたいな感じだ。

 なるほど、こいつがマタンゴか~って納得できる。

 いつか、しとしとと霧雨にけぶる梅雨の時期に、味噌汁にいれてやろうとおもってるんだけど、

 福島県まで行かないと手に入らないんだろか?

 それとも福島県の物産館に出かければ、マタンゴの佃煮とかって販売されてたりするんだろか?

 ま、それはともかく、

 そういえば、マタンゴの笑い声なんだけど、

 最初に観たとき、

「バルタン星人じゃんか」

 とおもったもんだ。

 けど、実はこれ、順番からいえばマタンゴ→ケムール人→バルタン星人になるんだよね。

 そりゃそうで、ぼくが単に映画を後から観ただけの話だ。

 あらためて「へ~」とおもったのは、別宮貞雄の音楽で、

 最初はいかにも当時のバンド曲だな~ってな感じで軽く捉えてたんだけど、

 いやいや、どうして、物語が進行していくに従って、なんとなく凄味を帯びてくる。

 うまいわ~。

 うまいといえば、役者もまたがんばってる。

 小泉博の抑えた演技もいいし、歯の抜けた佐原健二もいいし、小心者の土屋嘉男もまた味がある。

 けど、白眉は水野久美で、ふとしたときに『アナタハン』をおもいだした。

 ま、男好きするのは、八代美紀のしとやかさかもしれないけどね。

 ともあれ、総じて、おもしろい出来栄えでした。

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小さき勇者たち~ガメラ~

2014年08月21日 11時53分27秒 | 邦画2005年

 ◇小さき勇者たち~ガメラ~(2005年 日本 96分)

 英題 Gamera the Brave

 staff 監督/田竜太 脚本/龍居由佳里 特撮演出/金子功

    撮影/鈴木一博、村川聡 美術/林田裕至、春日佳行

    怪獣造形/原口智生 音楽/上野洋子 主題歌/mink『Eternal Love』

 cast 夏帆 津田寛治 寺島進 奥貫薫 石丸謙二郎 田口トモロヲ 正名僕蔵 渡辺哲

 

 ◇特撮とボク、その32

 好いも悪いも、

 いつからガメラはファンタジーになったんだ?

 とでもいいたくなってしまうような中身だった。

 ガメラの系譜からいえば、

 他社の怪獣映画よりも子供っぽさが濃厚な感じはいなめない。

 まあ、これは好き好きなんだろうから、

 原点に回帰したような感じとでもいえばいいんだろうか。

 ともかく、

 人間の味方と安易に決めつけずに、

 子供との絆に重点を絞った方が、

 佳境の子供たちの行動も納得できる気がするんだけどな。

 ただまあ、

 なんでこの映画を作ったんだろう?

 報道されたケヅリガメの撮影についての管理と処理についてもそうで、

 わざわざ作る必要がどれだけあったんだろう?

 っていう素朴な疑問は浮かばないではない。

 初期2作のガメラはとっても好きな怪獣だったんだけど、

 それは頼もしさと同時に、不気味な怖さを秘めていたからで、

 こんなに優しい健気なガメラを独立した作品として作ってしまって、

 はたしてよかったんだろかっていう疑問の方が、

 ついつい先に立っちゃうんだよね。

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宇宙怪獣ガメラ

2014年08月20日 16時56分24秒 | 邦画1971~1980年

 ▽宇宙怪獣ガメラ(1980年 日本 109分)

 英題 Gamera, Super Monster

 staff 監督/湯浅憲明 脚本/高橋二三

    撮影/喜多崎晃 美術/横島恒雄 音楽/菊池俊輔

    主題歌/マッハ文朱『愛は未来へ…』作詩:やまひさし、作曲:菊池俊輔

 cast マッハ文朱 小島八重子 小松蓉子 工藤啓子 高田敏江 桂小益 斉藤安弘

 

 ▽特撮とボク、その31

 あまりにも痛ましくて、観ていられない。

 大映の倒産から9年、ようやく徳間大映として復活したものの、

 あきれ果てるよりも涙が出てくるほどの出来で、

 いったいこの映画は作る意味があったんだろうか?

 宇宙海賊船ザノン号だけが(誰のデザイン?)新たに登場するほかは、

 宇宙戦艦ヤマトや銀河鉄道999まで登場させて、

 東映もモーションピクチャーカメラまで貸し出して、

 なんの得があったんだろう?

 あまりにも悲しい。

 いったいどれだけの観客動員だったんだろう?

 あまりにも辛すぎる。

 でも、

 考えようによっては、

 ぼくらのガメラと大映の怪獣たちが晒しものになったわけではない。

 おそらく、たぶん、もしかしたら、

 過去の大映のガメラとその戦いぶりをもう一度、

 封切館で観られる喜びがあったのかもしれない。

 そうでなければ、

 往年のガメラの雄姿を大銀幕で観ることは叶わなかったろうし、

 過去の作品を繋ぎ合わせてる分、

 ガメラの出てこない物語部分を観なくて済んだという結果にもなった。

 が、しかし、単なる繋ぎ合わせではなく、

 新しい物語、それもいろんなタイアップによって、

 どうにもこうにもせるせない物語が作られているため、

 なにが悲しくてこの映画に出たのだろうという役者さんたちの、

 あまりにももの悲しい演技を観なくてはならないというのは、

 往年の特撮を知るぼくたちには、涙をもってしか応えられない。

 ガメラのフアンや関係者たちを悲しみのどん底に叩き落としたこの作品を、

 この先、観直す機会は来るんだろうか?

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ガメラ対深海怪獣ジグラ

2014年08月19日 01時49分49秒 | 邦画1971~1980年

 △ガメラ対深海怪獣ジグラ(1971年 日本 88分)

 英題 Gamera vs. Zigra

 staff 監督/湯浅憲明 脚本/高橋二三

    撮影/上原明 美術・ジグラデザイン/矢野友久

    助監督/明瀬正美 音楽/菊池俊輔

 cast 笠原玲子 八並映子 坪内ミキ子 三夏伸 吉田義夫 坂上也寸志 佐伯勇 夏木章

 

 △特撮とボク、その30

 配給はすでにダイニチ映配になってて、

 大映日活ともにすでに青息吐息になった時代、

 この旧大映ガメラの最終作品は封切られた。

 当時、日本映画は雪だるまが坂を転げ落ちるように衰退していってて、

 子供心にも映画館の人けのなさは不気味だった。

 ただまあ、

 八並映子のビキニ姿とミニスカートはかなり刺激的ではあったけど。

 ていうか、ジグラのお粗末さにくらべて八並映子はどぎつかった。

 とてもじゃないけれど、

 日本月世界基地研究員とはおもえないようなお色気ぶりで、

 まあ実際、スタイルはいいし、

 その前後の映画の役どころはかなりセクシーなものだったしね。

 ちょっとびっくりするのは、

 この作品の封切りが7月で、大映の倒産は11月なんだけど、

 八並映子はこれに出演したあと『成熟』『穴場あらし』『悪名尼』の3本に出、

 大映最後の作品に主演していることだ。

 すごい勢いで映画出演を果たしてることになる。

 それにしても、鴨川シーワールドとのタイアップなのに、

「シャチに子供を食べさせるわよ!」

 とかいうセリフを吐いちゃうんだから、当時の映画は凄い。

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ガメラ対大魔獣ジャイガー

2014年08月18日 01時41分12秒 | 邦画1961~1970年

 ◇ガメラ対大魔獣ジャイガー(1970年 日本 87分)

 英題 Gamera vs. Jiger

 staff 監督/湯浅憲明 脚本/高橋二三

    撮影/喜多崎晃 美術/山口煕 助監督/小林正夫

    ジャイガー・デザイン/矢野友久 音楽/菊池俊輔

 cast 八代順子 平泉征 大村崑 夏木章 蛍雪太郎 田中三津子 炎三四郎(速水亮)

 

 ◇特撮とボク、その30

 大阪万博には、2回行った。

 ぼくよりもやや上の世代にとって人生の最大イベントは東京オリンピックで、

 さらに上の人達にとって最大のものは新幹線の開業だろう。

 でも、ぼくたちにとってエキスポ70ほど大掛かりなイベントはなかった。

 で、その大阪万博が危機に瀕する映画が、これだ。

 実をいえば、ガメラのシリーズは、もはや目も当てられなくなってて、

 バイラスもギロンも観ていて悲しいかぎりだった。

 たった半日の、

 それも限定された空間(宇宙や他の星もあったりするけど)だけで物語が展開し、

 当時のませがきのぼくからしても、ちょっと辛かったりした。

 ところが、このジャイガーの話はしっかりできてた。

 ウェスター島とかいうイースター島まがいの島にいる古代怪獣で、

 もういかにもムー帝国の魔獣みたいな感じで、

 アトランティス大陸に生息していたガメラとか、いわば宿命の仇になるのかもしれない。

 ま、そんなことはともかく、

 悪魔の笛とかいわれるトーテムポールなのか巨石なのかわからないけど、

 それで封じ込められていたっていう設定も、なかなかそそられるものがあった。

 おりからの超古代史ブームがジャイガーを生んだみたいで、

 そういうものに興味を持ち始めていたぼくは、大映の恰好の標的だったんだろう。

 けど、そういう設定だけじゃなく、

 人間にもこういう顔の人いるじゃんみたいなジャイガーは、

 なんとなく身近な感じがしたし、

 尾の先端にある針がなんとまあ卵を産み付ける卵管だったりして、

 そのためにガメラの体内にジャイガーの赤ん坊が誕生してるなんていう展開は、

 ガメラのシリーズの中ではこれ一本だけで、それはもうかなり鮮烈だった。

 ガメラがレントゲンを撮られたのも最初で最後で、

 なんとなく生物学的なそそられ方もしたりして、いやまあ、それなりにわくわくした。

 まあ、そんなこともあったりしたもんだから、

 ジャイガーがぶち壊しそうになるソ連館に、ぼくは当然、行ったのであります。

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ガメラ対大悪獣ギロン

2014年08月17日 20時25分29秒 | 邦画1961~1970年

 △ガメラ対大悪獣ギロン(1969年 日本 82分)

 英題 Gamera vs. Guiron

 staff 監督/湯浅憲明 脚本/高橋二三

    撮影/喜多崎晃 美術/井上章 ギロンデザイン/矢野友久

    助監督/小林正夫 音楽/菊池俊輔

 cast 船越英二 笠原玲子 甲斐弘子 浜田ゆう子 イーデス・ハンソン 夏木章 大村崑

 

 △特撮とボク、その29

 ガメラはよく宇宙を飛んでるけど、他の惑星に進出したのは初めてだ。

 が、宇宙も水中もなんだけど、

 なんで、ジェット噴射が長い尾をひいて、煙まで棚引かせてるのかがわからん。

 ま、それは愛嬌として、惑星の名前はテラっていう。

 地球と太陽を中心にして真反対になってまったく同じ軌道上にあるっていう設定だ。

 で、そこに銀色の宇宙ギャオスがいるんだけど、

 どうも大映の一連の特撮は他の映画会社よりも残酷な気がしないでもない。

 今度もギャオスの足がちぎれるのかとおもってたら、案の定、

 それもあったんだけど、それどころか、翼は左右ともにちょん切られるし、

 さらに頭を刎ね飛ばされたかとおもったら、胴体も輪切りにされる。

 いや、ギロン、残酷やで。

 だって、ギロチンから採られた名前でしょ?

 まいるな~こういう設定の怪獣は。

 さらには、笠原玲子と甲斐弘子が、

 子供の脳みそを食べて地球の知識を吸収しようとして、

 脳みそを食べる専門の拘束椅子から頭だけを出させて丸坊主にし、

 あわやってところで止められるとかに終わらず、

 その復讐劇になるのか、

 笠原玲子は子供のうちはなつミサイルで結果として殺されるわけで、

 いやほんと、もうすこし物語の内容はなんとかならなかったんだろか。

 バイラスのときもそうだったけど、時間軸はきわめて短く、

 たった半日か一日の話になるんだけど、

 もはや、すでに修正は利かなくなってるんだよね、この時代。

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