忍足伝のブログ

使用者の「労働コンプライアンス違反」は許さないをモットーとし、ブラック企業の悪事を専門家の立場から考察する。

よくよく考えるまでもなく非人道的な特別条項付き36協定

2016年11月01日 | 労働問題

36協定、よくよく考えると非人道的…前厚労相

平成25年12月17日、当時の厚生労働大臣であった田村憲久氏は閣議後の記者会見で次のように述べている。

(記者)

 ブラック企業の関係ですが、今回調査で8割の企業で違反があったということについて、どのような御見解かということを教えていただきたいのと、それから9月の会見の時には、大臣は「ブラック企業は許さない」というようなお話を敢えてされていたのを、今回はブラック企業という言葉は使われませんでしたが、それは意図的なのか、その辺の今後の対策を含めてどのような御認識でいられるのかをお教えください。

(大臣)

 前回と比べると、13%か14%ぐらい上がっているんですね。そういう意味からすると、今回電話相談を集中でやったので、そういうものからこちらも指導監督に入っていますから、元々かなり情報を得て、あやしいという言い方がいいのかどうか分かりませんが、企業に臨検に入っておりますので、そういう意味では上がったという見方もあるんですが、いずれにいたしましても上がっていることは確かなので、これに対しては我々としてはしっかり認識を持って対応をしていかなければならないというふうに思っています。決して良い状況にはなっていないというふうに思っておりますので、更にしっかりと指導監督を徹底していかなければならないというふうに思います。ブラック企業という名前を使わなかったというのは、別に敢えてというか、意識して使っていなかったわけではなくて、ブラック企業は許しませんという思いは変わりません。

これは、厚生労働省がブラック企業の疑いがある企業を調査した際に、調査対象の51111事業所のうち、何らかの労働基準関係法令違反が確認できた事業所が4189事業所(82.0%)であったことへの質問である。
その際、当時の田村大臣は

「ブラック企業は許しません」

という決意を述べている。それにも関わらず、今頃になって特別条項付きの36協定(注)について

「よくよく考えると非人道的だ」

などと悠長なことを述べているだ。
3年前に ブラック企業は許さないと強い決意を示したその姿は偽りであったのか。
また質問された調査においては、「違法な時間外労働」(2241事業所、43.8%)が多くの事業所で判明しており、その際に田村氏は非人道的だと思わなかったということになる。

長時間労働を指導・監督して、時には送検もする全国の労働基準監督署だが、そこを管轄しているのが厚生労働省である。その厚労省のトップが、このような認識でいたとは、呆れてしまう。
よくよく考えると非人道的であったのではなく、青天井で時間外労働(残業)時間を設定できる仕組みは明らかに非人道的だ。
働き方改革を推進すると現在の為政者は言い放っているが、まずは労働者のワークライフバランスを阻害する大きな障害である長時間労働を徹底的に是正しなければ、その改革とやらは絵に描いた餅で終わる事だろう。

(注)特別条項
臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合には、 「特別条項付き36協定」を結ぶことにより、限度時間を超える時間を延長時間とすることができる。
 

 

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