忍足伝のブログ

使用者の「労働コンプライアンス違反」は許さないをモットーとし、ブラック企業の悪事を専門家の立場から考察する。

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非正規の通勤手当をケチる使用者

2016年11月07日 | 労働条件

通勤手当、非正規も同待遇=加藤働き方改革担当相

通勤手当を非正規社員に支給しない企業は確かに多く、派遣労働者と雇用関係にある派遣元企業では、時給に通勤手当を含んでいる旨を労働条件で示しているケースが散見される。派遣社員を低賃金で働かせておきながら、通勤手当すら時給に含むとは、どこまで労働者軽視なのかと憤りを感じる。また、通勤手当は平成28年の税制改正で15万円まで非課税とされたが、通勤手当が支給されない非正規社員は非課税制度の恩恵を受けることができない。時給に通勤手当を含むケースでは、給与として通勤手当が支給されるために給与所得として課税されてしまう。これは使用者が労働者の権利を侵害していることになる。
正規社員と同じ職務を遂行している非正規社員に対して、通勤手当が支給されないという事態は、労働契約法第20条(不合理な労働条件の禁止)の規程に反する労働条件であり、改善されなければならない。正規社員と同じ職務でなくとも、社員として事業場に出勤して職務を遂行することには、何ら違いはないので、雇用形態により通勤手当を支給しないとの労働条件は、不合理そのものである。

雇用形態により、不合理な労働条件を強いられて就労している非正規労働者は少なくない。そして労働契約法が改正されたことを契機として、不合理に対して声を上げる労働者が、訴訟を提起して手当ての支給を求めている。最近では、物流会社「ハマキョウレックス」の契約社員が、会社が正社員のみに各種手当を支給していることは、労働契約法第20条に反していると訴訟を提起した。一審では会社に通勤手当(1万円)の支払いを命じ、大阪高裁では、通勤手当以外にも無事故手当を含む77万円の支払いを命じた。

「同一労働同一賃金」を議論する以前に、雇用形態により通勤手当が支給されていない事実は、我が国の雇用慣行がいかに使用者へ都合良く形成されてきたかが分かる。我が国では従来より賃金は「ヒト」に対して支払われてきた。それは終身雇用を前提とした賃金制度として長く是認されてきたが、規制緩和や構造改革によって非正規労働者が労働力人口の約40%を占める現代において、仕事の成果を無視した賃金制度は決して是認されるものではない。非正規の低賃金により恩恵を受けてきた使用者は、当然に非正規労働者が受けられるべき手当を負担しなければならない。賃金体系を使用者の身勝手により決定することは許されてはならない。

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