下げ花

2017年2月13日
僕の寄り道――下げ花

わが家族の墓がある静岡県清水の寺は、墓に供えたまま時間が経って古くなった花を捨てるための場所がない。そのための場所を作っていわゆる「ゴミ」を捨てられたくないのだと思う。花はゴミではないので気持ちはわかる。

さいわいにも脇に沢があって枯葉や引きちぎられた草が流れていくので、自然に還れと念じながら役目を終えた花たちを流している。いっぽう寺への道すがらで買った仏花(ぶっか)を束ねた輪ゴムやセロファン包装は、なかなか自然に還りそうもないので持参したビニール袋にまとめている。

墓参りを終えて庫裏へまわり、住職に挨拶しながら「ゴミが出たので捨てていただけますか」と言うのも「ゴミ」や「捨てる」という言葉が適切でない気がする。しかたないので、手に持ったビニール袋が見えるようチラつかせるていると、察した住職や奥様が「ああ、こちらへいただきましょう」とおっしゃる。

|都立染井霊園にできていた下げ花置き場|

あの墓を掃除して取り除いた古い花をなんと表現したらいいのかと思っていたのだけれど、どうやら「下げ花」と言うらしい。花屋さんの前を通るたびに見ていると、生花が仕入れた先から次々飛ぶように売れていくようでもない。傷んで売り物にならない花の入れ替えは大変だろうなと思うのだけれど、花屋でもそういう処分のことを「下げ花」と言うらしい。「ゴミを捨てる」のではないもうひとつのよい言葉を覚えた。


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