ディメンシアへの想い

認知症になってもフツーに暮らせる社会の実現に向けて医療・介護・生活に関する情報発信

抗酸化物質による認知機能改善効果を考える

2016-10-20 08:02:22 | コラム

フェルラ酸をはじめ抗酸化能を有する無数の化合物が、活性酸素に対する除去効果に基づいて、経口摂取後に認知症やその他の多くの疾患の予防や治療に有効とされている。

食品であれ医薬品であれどんな物質でも、経口摂取後は胃を通ってから小腸粘膜で吸収されたのちに、門脈という血管(静脈)を通って肝臓に運搬される筈である。

肝臓を通り抜けたのちに、物質は肝静脈から心臓に入って、心臓からの動脈を介して初めて全身の臓器に分布する。ところが、我々の体内の活性酸素は半分以上が肝臓で産生されているので、肝臓を通過する間に体外から摂取された抗酸化物質のほとんどは肝臓内の活性酸素と反応する筈。その結果、脳に到達した時点では、経口摂取した抗酸化物質の活性酸素除去能はすべて消失してしまう可能性がある。

一方、我々の体内には元々グルタチオン等の抗酸化物質や、SOD等の活性酸素除去酵素が存在するので、体外からの抗酸化物質が肝臓で消費されることによって、体内の抗酸化活性の肝臓での消費が抑制されて、その結果、より多くの体内抗酸化物質が脳へ到達する可能性は否定出来ない。この場合は、摂取した物質ではなくて、体内の抗酸化物質濃度上昇が脳内の活性酸素の除去に関与することになる。

活性酸素は常に悪者扱いですが、我々の細胞のエネルギー産生に必須であるとともに、免疫機能の維持にも必要不可欠な物質である。。過度に活性酸素を除去すると、かえって生体にはマイナスの効果が出現する可能性も十分に考えられる。実際の我々の体では、ほとんどすべての細胞内でわざわざ特殊な酵素を使って、必要な活性酸素を創り出している。

以上のような観点から、抗酸化物質の経口摂取による認知機能の改善効果については、科学的根拠に基づく理論構築や基礎実験による仮説証明が強く求められる。

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