地震リスク delphis manta blue

身近な地震リスク 減災を目指して

<復興を願い 2011.3.11東日本大震災>
<未曾有の巨大災害 記録>

東海地震に備えて(第四回)

2007-01-31 | 地震リスク
2003年3月に中央防災会議が公表した東海地震の想定被害額は最悪のケースで37兆円に上る。個人住宅の被害、企業施設被害、ライフライン被害等の直接被害が26兆円、生産停止による被害、東西間幹線交通被害等の間接被害が11兆円と予測している。ちなみに人的被害は死者9,200人と阪神淡路大震災を上回る。

個人住宅被害は最悪のケースで全壊棟数が26万棟と予測しており、そのうち22万棟は静岡県の全壊棟数である。2003年の総務省土地住宅統計によると静岡県の住宅は127万棟あり全壊率は17%となる。個人住宅の被害は半壊、一部損壊の棟数は予測していないため、全体の被害棟数はさらに大きなものとなることが推測できる。建築年代別では現在の耐震基準に満たないいわゆる耐震性が低いとされる1981年以前の住宅は50万棟あることからこれらの住宅に被害が及ぶことは確実だ。簡易的な試算をしてみた。50万棟から全壊棟数を差し引いた残りの28万棟に半壊、一部損壊が生じると仮定すると全体の被害額を推測できる。現在の平均建築価格は約20百万円といわれることから少なくとも約7兆円の被害額が計算できた。現在の耐震基準を満たした住宅でも地盤、地震エネルギーによっては倒壊する可能性もあり、また火災延焼は防ぐことができないことから住宅被害額はさらに大きなものとなることだろう。

間接被害である生産停止被害は3兆円と見積もられているが、直接被害の企業施設被害は詳細なデータが公表されておらず推測できない。各企業はBCPをすすめる上で、自社の被害予測を積極的に公開し被害軽減に向けた地震対策を推進すべきである。各企業は人的・物的被害の直接被害、生産停止等の地震発生後の間接被害を推測することにより、重点的でコストを考えた防災対策がとれるはずだ。前回述べたリスクファイナンスの動きはまだまだ中小企業までには浸透していない。

東海地震により確実に静岡県、愛知県等には被害が発生する。その被害を軽減する努力は個人、企業、政府、自治体が一体となって取り組む必要がある。政府、自治体は企業、個人に対し防災投資を行う環境をもっと政策面で支援することが重要である。未だに個人、企業が事前の防災投資をせず事後的な支援に期待しているとしたら、さらなる防災減税等を政策面で早く導入すべきである。(続く)


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地震についていろいろ

2007-01-30 | 地震リスク
今日の注目記事

原爆資料館地下に免震ゴム(中国新聞) - goo ニュース

原爆資料館は1955年建築で老朽化が進んでいる。中国新聞の報道によると「地下を掘削した上で建物を支えるくいを打ち、揺れを吸収する免震ゴムを埋め込む。震度6弱の地震にも耐える。」とのこと。

台湾地震で損傷 ケーブルが復旧 通信全面回復へ(西日本新聞) - goo ニュース

12月26日に起きた地震。復旧まで1ヶ月以上かかった。教訓として日本でも対策が必要だ。

津波予報の精度アップ 避難低調で政府が対策(共同通信) - goo ニュース

海溝型地震は津波を伴い近未来に必ずやってくる。津波対策は警報・注意報発表と同時に避難命令・勧告を迷わず自治体は発令し、住民は迷わず避難する周知が必要だ。


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今日の注目記事

2007-01-29 | 地震リスク
震災で子を失った母を追跡調査 英知大教授 (神戸新聞) - goo ニュース

地震の悲劇・・・

今日は雨が降りそうで結局は雨は降らなかった。関東にはまだ本格的な雪は降っていない。


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東海地震に備えて(第三回)

2007-01-27 | 地震リスク
東海地震リスク対策として有名な企業は東証一部の(株)巴川製紙所である。同社は日本で初めて地震災害時発動型ファイナンス(Contingent Debt Facility、C.D.F.)の導入を行った。静岡県を拠点とする同社は、東海地震発生時に、復旧投資等を速やかに実施するための資金調達が必要となる。その確実性を高めるためにこの地震災害時発動型ファイナンスを導入した。

日本政策投資銀行、三井住友海上火災、静岡銀行、みずほ証券とSPC(特別目的会社)によるスキームを作成、三井住友海上、静銀がシンジケート団として10億円を資金供給し、残り30億円を一般投資家からの資金供給を受け、その30億円部分を日本政策投資銀行が保証する。巴川製紙は事前にそのSPCとローン予約を交わし震災発生時に融資を受ける仕組みだ。SPC方式は過去に外資系証券会社を中心に証券業界、銀行業界ではバブル期以前に証券投資、金融デリバティブのスキームとしてバミューダ等に相次いで設立されており蓄積されたノウハウはあった。保険分野でもカタストロフィ債券(自然災害債券)のスキームは同様のSPC方式が一般的となっているようだ。

地震災害時発動型ファイナンスは、従来の保険会社が提供する首都圏や東海地方の企業向け地震保険の確保が困難になる中、また、地震による損害発生時の保険会社の査定時間、査定額が不確実な中、直ちに必要不可欠な震災復旧資金の一部を事前に手当てしSPCが安全資産で運用することにより、災害時のキャッシュフローを補完する役割を持つ。

巴川製紙の平成17年3月期決算短信(連結)の「事業等のリスク」には東海地震に備えて次のように書かれている。
〔平成17年3月期決算短信(連結)の「事業等のリスク」抜粋〕
(1)東海地震発生による影響
当社グループの生産活動の主体は静岡県静岡市で行っており、東海地震が発生した場合は、その規模によっては相当期間、生産、営業活動に影響を与える可能性があります。この対策として下記を実施しています。
①生産建物、設備に対して専門家による耐震強度の測定を実施し、その結果に基づき耐震補強工事を実施済みです。
②茨城県(電子材料事業)、北米(化成品事業及びIJ用紙事業)にも生産拠点を持っており、リスク分散を行っています。
③地震保険等により、財務的な損害対策及び資金繰りの確保を行っています。
④地震災害時発動型ファイナンス(Contingent Debt Facility、C.D.F.)の導入によって大震災罹災後、現預金の取崩や手形割引に頼ることなく直ちに40 億円の復旧資金を借入れることが可能となり、罹災後の流動性の確保に万全を期しています。

同社の経営者、社員の地震に対する危機管理能力の高さと実行力には尊敬の念をいだき見習いたいところだ。

地震災害時発動型ファイナンスがさらに発展してきている。昨年10月に日本政策投資銀行、三菱UFJ信託銀行、日興シティーグループ証券の共同で複数企業に対応できる震災時発動型融資予約スキームを組成した。震災時融資の原資となる資金プールに信託スキームを採用したことで複数企業に対応できる仕組みだ。第一号案件は静岡市に本社のある鈴与(株)で50億円の契約を締結した。

本来、リスクに対する商品開発は保険会社が提供するのが主流と思っていたが、今では保険会社より銀行、証券会社等の金融機関がその金融技術とリスク評価会社RMS社の地震リスク分析力の融合により企業の望む地震リスク対応商品を生み出している。今後のさらなる商品開発に期待したい。(続く)

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帰宅困難

2007-01-26 | 地震リスク
帰宅困難になるのかどうかを実験するため、都内から自宅までを実際に歩いてみたことがある。普段は運動するわけでもなく、せいぜいエレベーターを使わずに階段を上り下りするくらいであったが、実際に20km以上を歩いてみておよそ5時間近くかかった。もちろん昼間なので知った道をただひたすら歩くだけであったが、かなり疲れた。翌日は足は棒のようになってしまった。

首都直下地震が発生した場合には、鉄道、道路は寸断されることは確実であり、鉄道が復旧するのは最低1週間以上とみている。仕事で都内にいたら歩きしか帰る方法はないであろう。

埼玉、神奈川、千葉から会社に来ている人は歩いて帰るしかないので、実際に歩く訓練をして感覚をつかんでいたほうがよさそうだ。歩くしかないのだから・・・。革靴、ハイヒールで出勤している方、会社の机の下にでもスニーカー、運動靴を常時置いておくことをおすすめします。

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東海地震に備えて(第二回)

2007-01-24 | 地震リスク
日銀が公表している最近の静岡県金融経済の動向(2007年1月10日)によると、静岡県内の景気は、着実に回復を続けており、公共投資は減少している一方、輸出が大幅に増加を続けている。また、企業収益が高水準で推移するなか、設備投資は引き続き増加している。雇用・所得環境も改善を続けており、そのもとで、個人消費が緩やかに回復しているほか、住宅投資も増加している。以上のような需要動向のもと、企業の生産は全体として増加基調にあるとの内容だ。このような状況で東海地震が発生したらどのような影響が予想されるのだろうか。

静岡県内の主要業種は自動車・同部品、二輪車・同部品、電気機器、一般機械、紙・パ、楽器等であるが、各代表企業の地震リスクの考え方、地震対策はどのようなものかを有価証券報告書を中心に調べてみた。

静岡県内に生産拠点が数多くある鈴木自動車は地震リスクについて次のように分析している。「当社グループの日本での主要生産拠点は東海地区を中心に点在し、生産活動を行っている。また、当社の本社をはじめとするその他の施設も主に東海地区に集中している。万一、東海地震や東南海地震などの発生があると業績に多大な影響を及ぼす可能性がある。このような災害による被害の影響を最小限に抑えるべく、建物・設備等の耐震対策、防火対策、業務復旧計画の策定、地震保険への加入等、様々な予防策を講じている。」

ヤマハ発動機は「当社グループの日本国内における主力生産事業所は、予想される東海地震の地震防災対策強化地域内に集中しているため、主要建築物の耐震補強工事、被災後の早期復旧を可能とするための体制整備等の対策を進めてきております。被害最小化及び早期復旧の観点からこれらの対策については継続的に見直しておりますが、当社グループの想定を超える規模の地震が発生する可能性があります。また、当社グループが保有する建築物、在庫等に対する損害をカバーする地震保険に加入しておりますが、地震による損害はこれらの保険の担保限度額を超える可能性があります。」と分析している。

はごろもフーズは東証二部に上場しているが、同社の有価証券報告書には「当社グループの本社・工場、また多くの製造委託先の工場が立地する静岡県・愛知県には東海・東南海地震の発生が予想されています。地震発生にともない交通・通信等の社会基盤の被災も予想され、企業活動の遂行に支障が生じる懸念があります。」と記載されている。

以上のように有価証券報告書には概要が記載されているのみで、詳細までは開示されていないが、静岡県に所在する企業はいずれも地震リスクとして東海地震を念頭に対策を講じている。(続く)

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東海地震に備え(第一回)

2007-01-21 | 地震リスク
先週、「元静岡銀行行員が銀行金庫から大規模災害用備蓄現金2,000万円を盗む」の不祥事ニュースを聞いて、元行員の犯罪は別にして静岡銀行の事前のしっかりした大規模地震対策を垣間見ることができ関心した。同行発表のニュースリリースおよび新聞記事によると同行伊東支店の金庫内のキャビネットから東海地震等の大規模災害時の大量預金払戻に備え用意してあった備蓄金の一部を盗んだとのこと。

同行の地震対策はCSRレポート2006をみると災害時への対応として、①災害時の制度融資、②預金払出の便宜扱、③SEAS(緊急時移動店舗)、④BCPセミナー、地域防災への協力として地域防災組織への防災資機材の貸与・提供をすすめている。

日銀で7月に開かれた高度化セミナーのオペレーショナルリスクシナリオ分析WSで発表された「東海地震を想定したリスク分析と対応」によると同行の東海地震発生により想定される損害は「ポートフォリオへの影響」、「物的損害の発生」、「人的損害の発生」に区分される。「物的損害の発生」、「人的損害の発生」の削減を目的に「実行的なリスク管理」を実施し、年2 回の頻度で全行レベルで30 項目以上に及ぶ防災訓練を実施し、「営業店窓口における現金支払訓練」、「市場部門における資金繰り訓練」の実施、想定震度に応じた耐震補強工事、建替え工事、システム資産に対する対策として「免震・制震施設の導入によるシステムの保護」と「バックアップ体制による業務継続の確保」を行っている。「ポートフォリオへの影響」としてストレステストを実施し「非常時のリスク」をストレステストでシミュレーションし、バッファー資本として確保する金額の目安としている。これは「非常時のリスク」である東海地震のリスクを5 つのリスクカテゴリーに分類し、それぞれのリスクカテゴリー毎にストレステストを実施して合計額をバッファー資本の目安とし計算している。同行の試算では予想損失額は1,000億円程度と同行には大きな影響とはなっていない。同行は引き続き健全な銀行経営を確保することであろう。東海地震に備えBCPをさらに推進していただきたい。

静岡県の企業は東海地震に備え資金準備、工場・設備の耐震化、免震化等の対策が必要だ。昨年、日本政策投資銀行が調査した静岡県の企業調査は必見だ。(続く)






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「巨大地震の課題」と「企業信用の課題」

2007-01-18 | 地震リスク
将来発生が予想される巨大地震に備え、今解決しておかなければならない課題、問題点を最近のニュースから探してみた。同様に最近また発生した不祥事により信用をいっぺんになくし、経営危機に直面した企業のニュースをみてみた。不祥事は企業にとって地震リスク同様に経営危機に直面する重要な問題だ。企業にとって不断からの不祥事防止策、地震リスク回避による事業継続計画が重要な経営課題だ。

災害時も商品供給、企業相次ぎ復旧マニュアル(産経新聞) - goo ニュース

京町家の耐震性診断します 京都市、改修の助成拡充も(共同通信) - goo ニュース

被災者「使えない」 21都府県が独自補完(神戸新聞) - goo ニュース

ガソリンスタンドを災害時の拠点に 業界が防災対応強化(朝日新聞) - goo ニュース

りそな銀と再建策協議へ 不二家、業績悪化に対応(共同通信) - goo ニュース

不二家に立ち入り検査 農水省、JAS法に基づき(産経新聞) - goo ニュース




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鎮魂 阪神淡路大震災

2007-01-17 | 地震リスク
1.17の今日、地震についてどれくらい取り上げたかを新聞、テレビ番組、新聞広告、テレビコマーシャルについて調べてみた。阪神・淡路大震災から12年がたち、各メディアの取り上げ方、各企業広告ともやはり風化してきていると感じた。

小生は日本経済新聞をとっているので、日本経済新聞朝刊だけをみてみると、1面、社説には残念ながら記事がなく、社会面に「阪神大震災12年」、「千島沖地震の避難率8.7%」の記事があり、首都圏面に「緊急地震速報 川崎市、消防に活用」、「阪神大震災12年防災情報を放送 FM横浜」の記事があった。広告では損保各社の地震保険、東京電力の電気のチェック、NTTファシリティーズの防災ソリューション、尾西食品の非常食梅わかめご飯の地震関連広告が掲載されていた。次にテレビ・ラジオ欄をみると、午前までの番組欄に阪神大震災の文字があり取り上げた番組はNHK、日本テレビ、TBSのみ。午後はNHK、テレビ朝日のみ。特に特集を組んで番組を流すのはNHKのみで、午後10時からのNHKスペシャルが唯一の特集番組であった。民放はまったく特集番組を組んでいない。テレビコマーシャルでは赤防災ずきんちゃんの損保の地震保険が今流れている。

今日の各新聞社社説をみると、朝日新聞は「大火の備え 「緑の壁」で命を守れ」、産経新聞「阪神大震災12年 つねに防災意識の更新を 」、岩手日報「災害は近くやってくる」、河北新報「宮城・山形防災協定/頼りになる隣人目指して」、福島民報「学校耐震化を急げ」、神戸新聞「<震災12年>教訓を形に/「復興」の枠組みをどう整えるか」、山陽新聞「阪神大震災12年 地域の結束強化目指せ」、徳島新聞「阪神大震災12年   語り継ぎ明日に備えたい 」、琉球新報「大震災から12年・地震の備え再確認したい」と掲載されており、他に16日に掲載している新聞社もあった。しかし、社説だけでなくコラムも特集記事もない地震災害にあまり関心を示していないような地方新聞もあり、さらに阪神大震災と記事にした新聞社も多く、淡路のことばが抜けていた。やはり風化してしまったといえる。

風化させてはならない。阪神・淡路大震災の教訓を次の地震災害に役立てなければならない。

注目記事

共同住宅高層化へ特例 密集市街地を解消 大震災教訓に(朝日新聞) - goo ニュース

災害時も商品供給、企業相次ぎ復旧マニュアル(産経新聞) - goo ニュース

被災現場で支払手続き完了 富士火災、専用車を導入(共同通信) - goo ニュース

首都直下地震想定、帰宅困難者訓練 東京・千代田区(朝日新聞) - goo ニュース

阪神・淡路の被災12市、総生産回復せず 全国との格差拡大(神戸新聞) - goo ニュース

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明日は「防災とボランティアの日」

2007-01-16 | 地震リスク
明日は「平成7年兵庫県南部地震」が発生し神戸・淡路に戦後最大の被害をもたらした日。阪神・淡路大震災から早12年が過ぎようとしている。毎年1月17日はその阪神・淡路大震災に因んで「防災とボランティアの日」として記念日に制定されている。

9月1日の「防災の日」と同様に、各家庭、各企業では地震災害に備えて防災用品の再点検、避難路や安否確認方法の再確認、防災学習、防災訓練を行う機会となる。首都圏では巨大地震を経験したことがない人は多いはず。今朝の静岡東部を震源とする地震のように就寝中に襲ってくるかもしれない。寝ている周りに家具やガラスケースがあればそれは凶器となる。耐震性のない住宅はそれ自体が凶器だ。神戸の死者は一瞬にして圧死した。もし通勤電車で遭遇したら、デパートで買い物中に遭遇したら、いつ起こるかわからない地震に備え、ひとりひとりがイマジネーションしておく必要がある。

関東大震災後に朝日新聞社が懸賞募集し東京・銀座の関東大震災記念塔に刻まれている標語をもう一度心に刻んでおきたい。

「不意の地震に不断の用意」

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昨日の千島海溝巨大地震と津波

2007-01-14 | 地震リスク
昨日の千島海溝巨大地震は、幸いにして巨大津波の発生もなく、日本全国でも被害がなく終息した。しかし、その後も千島海溝では地震が続いているようだ。米国地質研究所(USGS)によると、昨日の本震(13日4:23GMT、M8.2(当初速報7.9を修正))からこれまで以下の地震が発生している。
USGS情報より
M5.0 2007/01/13 23:40:15 深さ10.0km EAST OF THE KURIL ISLANDS
M5.5 2007/01/13 19:37:33 深さ10.0km EAST OF THE KURIL ISLANDS
M6.0 2007/01/13 17:37:07 深さ10.0km EAST OF THE KURIL ISLANDS
M5.0 2007/01/13 12:32:31 深さ10.0km EAST OF THE KURIL ISLANDS
M4.7 2007/01/13 12:22:22 深さ10.0km EAST OF THE KURIL ISLANDS
M5.0 2007/01/13 12:10:04 深さ10.0km EAST OF THE KURIL ISLANDS
M4.9 2007/01/13 10:58:33 深さ10.0km EAST OF THE KURIL ISLANDS
M5.6 2007/01/13 09:38:02 深さ10.0km EAST OF THE KURIL ISLANDS
M5.8 2007/01/13 09:18:32 深さ10.0km EAST OF THE KURIL ISLANDS
M4.8 2007/01/13 08:29:24 深さ10.0km EAST OF THE KURIL ISLANDS
M5.2 2007/01/13 08:20:26 深さ10.0km EAST OF THE KURIL ISLANDS
M4.8 2007/01/13 08:14:25 深さ10.0km EAST OF THE KURIL ISLANDS

この地震についての解析が東京大学地震研究所で公開されている。
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/Jhome.html

一方、総務省消防庁が発表したこの地震と津波に係る被害状況「北西太平洋を震源とする地震による津波被害について(第4報)」によると北海道を中心に約11万人に避難勧告がだされ、各道県、市町村には災害対策本部が設置された。政府でも官邸に官邸連絡室、消防庁に災害対策室、内閣府に情報対策室が設置された。

津波警報、注意報が発令された沿岸の各都道府県のホームページを見ると、概ね防災情報で津波情報を掲載していたが、関東のある県では気象庁へのリンクのみの平常情報の提供をしているところがあった。県民は不安ではなかっただろうか。このような情報提供の方法は今後も問題だ。また相変わらず内閣府の防災ページには情報がなく、官邸も国民への情報提供はなかった。いざとなった時は気象庁、消防庁のホームページと各自治体のホームページしか公式情報がなくていいのだろうか。国民の安全を守るはずの内閣府防災担当は国民には情報提供しなくていいという感覚がわからない。内閣府防災担当廃止の必要性および近々に別行政組織の必要性(防災省)を痛感した。

今回も津波警報が出ていても避難しない国民、警報継続中でも帰ってしまう国民がいたようで勝手に「大丈夫」と判断している感覚はいいのだろうか。これは防災意識が低いということにつきる。前回のように警報が出され、たとえ大津波が来なかったにしても今回も来ないだろうと思う判断は間違っている。

今後も来るであろう巨大地震、巨大津波に備える第一歩は、国家、国民が危機意識を持つことであり、我々国民は、万一、緊急地震速報が出されたらパニックにならず、逃げずにその場で身の安全を図ること、大津波・津波警報が出されたら高台にいち早く避難し身の安全を図ることではないだろうか。速報、警報が空振りに終わったとしても被害も出ず安全が図れたと感じればいいことだ。親の防災行動が子供たちへの防災教育につながり、後世に継がれる大事なことだ。

昨日の揺れは東京では震度1であったが、小生の免震マンションはゆっくりゆっくり長く長く小さく小さく揺れた。地震速報のテロップが流れた時間に揺れているのがリビングのアレカヤシの葉の揺れでわかった。北海道でも横揺れを長く感じたとテレビで言っていたがこれが長周期地震動の問題だろう。東南海地震、南海地震では東京も長周期地震動の問題が深刻だ。

千島沖でM8.2 一時津波警報、11万人に避難勧告(産経新聞) - goo ニュース

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根室の地震が長~く東京で感じた!津波警報発令中

2007-01-13 | 地震リスク
今日午後1時24分ごろ発生した根室の地震。津波警報が発令された。太平洋沿岸の方は迷わず早く避難してほしい。

最大震度は3であったが、ニュース速報が出たところで東京が揺れだした。我が家は免震マンションであり、かなり長くゆっくり揺れた。これが長周期地震動の恐怖だ。

速報がでてきた。えっ!マグニチュード8.3!最大級のエネルギーだ!津波が心配だ。

気象庁発表文引用
「13日13時24分頃地震がありました。
震源地は北西太平洋 ( 北緯46.1°、東経154.2°)で震源の
深さは約30km、地震の規模(マグニチュード)は8.3と推定されます。」

USGS(米国)
http://earthquake.usgs.gov/eqcenter/recenteqsww/Quakes/us2007xmae.php#summary
time⇒Saturday, January 13, 2007 at 04:23:21 (UTC)
= Coordinated Universal Time
depth⇒10 km (6.2 miles) set by location program
M⇒7.9
Region ⇒EAST OF THE KURIL ISLANDS
Location⇒ 46.344°N, 154.427°E

津波情報
http://www.prh.noaa.gov/ptwc/wmsg



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2006年の地震・火山活動

2007-01-12 | 地震リスク
気象庁が公表している毎月の地震活動及び火山活動についての昨年1年分を総括してみた。

昨年は大きな地震、火山噴火もなく、ここ数年続いた状態とは違って静かな年となった。震度1以上が観測された地震の数は、1月86回、2月81回、3月109回、4月162回、5月109回、6月102回、7月121回、8月94回、9月97回、10月102回、11月135回、12月145回となっている。人的被害をもたらした地震は4地震で、4月21日発生の伊豆半島東方沖地震(M5.8、最大震度4、負傷者3名)、4月22日発生の宮城県沖地震(M4.6、最大震度4、負傷者1名)、5月15日発生の和歌山県北部地震(M4.5、最大震度4、負傷者1名)、6月12日発生の大分県西部地震(M6.2、最大震度5弱、負傷者8名)であった。

今年も穏やかでありたい。

硫黄島の地殻変動が急激におこっているようだ。火山活動はレベルが2の「やや活発な状況」とのこと。


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恐ろしい現実

2007-01-07 | 地震リスク
実家でテレビを見ていたら、TBSの報道特集で「損壊続々!マンション施工ミス…和解?訴訟?住民間に意識の差…」をやっていた。阪神・淡路大震災の宝塚にある被災マンションの11年に及ぶ再建と2005年3月に発生した福岡県西方沖地震によるとある被災マンションの再建に絡む疑惑等々。住民同士の闘争、業者との闘争があまりにも悲惨であった。今後わが身にも襲うかもしれない恐ろしい現実をみてしまった感じがした。宝塚マンションの管理組合理事長、福岡のマンション住民Aさんの言葉が忘れられない。理事長さんは今は一戸建てに住み、もうここには戻らないそうだ。他の所有者も全員売却したそうだ。Aさんは現在も命をとられそうになったマンション業者と闘争しているそうだ。

本日昼間のブログで書いた「進まぬ耐震化の現実」で取り上げた話題とたまたま同じであったが、このように現実の映像を見ると恐ろしさが伝わってくる。被災マンション再建・修復は地震被災の心労だけでなく、その後の再建・修復に至るマンション住民同士の闘争、マンション売主、販売業者との瑕疵担保責任追求の争い等の労力、心労が襲う。もうこのマンションに住もうとは思わなくなるだろう。マンションの安全性、マンション業者の信頼性を我々はどう判断していけばいいのだろうか。

住宅性能評価制度による行政または第三者機関による評価をもっともっと推進し、躯体の評価だけでなく管理状況を含めたマンション格付け制度の導入を検討してほしい。さらに被災後の行政または第三者機関による被災マンションの瑕疵の有無を調査する制度等が必要ではないだろうか。ふと思ったのがもし欠陥マンションが確認された場合に、その欠陥マンションで保険会社が住民に保険金支払いをしていたら、保険会社はマンション業者に損害賠償を求めないのだろうか。欠陥マンションを販売した悪徳マンション業者だけが得をするだけにならないだろうか。それにしても福岡のマンションを販売した大手業者は悪質だ。全国で20万戸を販売した大手業者と言っていたがどこの業者なのだろうか。このような業者が実は多そうな感じがしてならない。すべてとは言わないが。業界を挙げてこのような業者の排除と業者自身が情報公開を積極的にするべきではないだろうか。マンションだけでなく、戸建住宅の欠陥も多いと感じる。国土交通省の政策にも期待したい。


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進まぬ耐震化の現実

2007-01-07 | 地震リスク
残念なニュースを目にした。

巨大地震が来るとわかっていても工事予算を考えると尻込みしてしまう現実がある。しかし、命を失いかねない家に住み続ける勇気は小生にはない。テレビでみた阪神・淡路大震災でマンションが階途中でつぶれ両親を失った兄弟の姿を思い出す。また多くの命が失われる現実を放置するわけにはいかない。

マンションは共同住宅の名のとおり住民全員の同意が必要だ。阪神・淡路大震災のときのように被災後に再建することはなかなか容易ではない。住民の利害関係は複雑であり、国、地方自治体の支援は全く望めない。平時のうちに耐震改修するほうが得策だ。阪神・淡路大震災の教訓を生かすためにも平時からマンション管理のあり方を見直す必要がある。管理費、修繕費積立金には地震に備えた予算が計上されていないマンション管理予算の仕組みが、いざ耐震改修に必要な資金、万一、倒壊した場合の再建資金、補修資金の捻出が非常に困難になる。全く準備ができていない。

マンションの価値は利便性、住環境に左右されがちであるが、耐震性も含めた管理の状況、管理組合の財務状況を格付けするような制度を導入し、流通するマンション価格に反映できるような仕組みがまず必要かも知れない。

注目記事
耐震改修滞る2万棟、旧基準マンション 本社調査(朝日新聞) - goo ニュース

マンション、進まぬ耐震診断・改修(朝日新聞) - goo ニュース

※注目する報道発表資料
1月5日 東京都総務局
「復興まちづくりの支援に関する協定」の締結について
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2007/01/20h15100.htm


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