UNE VOIX
Ⅰ
Tout cela, mon ami,
Vivre, qui noue
Hier, notre illusion,
À demain, nos ombres,
Tout cela, et qui fut
Si nôtre, mais
N'est que ce creux des mains
Oû eau ne reste.
Tout cela ? Et le plus
notre bonheur :
L'envol lourd de la huppe
Au creux des pierres.
Ⅱ
Et puisse être le ciel
Notre façon d'être,
Avec ombre et couleurs
Qui se déchirent
Mais dans la hâte même
De la nuée
Ont visage d'enfant
Qui vient de naître,
Foudre qui dort encore,
Les traits en paix
Souriante comme avant
Qu'il y ait langage.
Les Planches Courbes... | |
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Gallimard |
一つの聲 イヴ・ボンヌフォア
Ⅰ
これですべて、恋人、
生きること、それは、きのう、
われらの幻想を束ね
あす、われらの影を結ぶ
これですべて、これはたしかに
われわれのものだったが、
水がとどまらないのは
この両手の窪みだけである
これですべて? われわれの
最大の幸福
それは石また石の窪みへ向かう
ヤツガシラの重い飛翔である
Ⅱ
そしてわれわれの存在は
空であっていい
影と色彩は
引き裂かれているのだから
だが大きな雲の
迅速さそのものの中に
生まれたばかりの
赤ん坊の顔がある
ふたたび静まり返る雷
平和な表情
まるで言葉が存在する
前の微笑み
一つの聲(詩集『曲がった板』2008年から)
※ Yves Bonnefoy(1923-2016)、フランス、トゥール生まれ。
哲学を学び、一時シュールレアリスムの影響を受ける。1953年詩集「ドゥーヴの動と不動について」を出版して注目を浴び、批評家モーリス・サイエにより激賞された。詩論集やシェイクスピアの翻訳、さらに中世壁画の研究書やイタリア・ルネッサンスの美術についての美術論なども手掛け、多才な詩人として知られている。’58年発表の詩集「昨日は荒涼として支配して」はヌーベルバーグ賞を受賞した。他の著書に、詩集「文字に書かれた石」(’59年)、「閾の罠のなかで」(’75年)、詩論集「ありうべからざるもの」(’59年)、「マントヴァで見た夢」(’67年)、「赤い雲」(’77年)、評伝「ランボー」(’61年)、美術評論「ゴシック期フランスの壁画」(’54年)、「ローマ1630年、初期バロックの地平」(’70年)、「バロックの幻想」などがある。’81〜93年コレージュ・ド・フランス教授を務める。俳句にも関心が深く、「俳句の翻訳は可能か」、「俳句、短型とフランスの詩人たち」といった俳句論も書いている(『フランスの俳句 詩と音楽』2011年 所収)。2000年第1回正岡子規国際俳句賞大賞を受賞。