UNE VOIX de YVES BONNEFOY, 2008

2017年04月28日 | Yves Bonnefoy






UNE VOIX





Tout cela, mon ami,
Vivre, qui noue
Hier, notre illusion,
À demain, nos ombres,

Tout cela, et qui fut
Si nôtre, mais
N'est que ce creux des mains
Oû eau ne reste.

Tout cela ? Et le plus
notre bonheur :
L'envol lourd de la huppe
Au creux des pierres.





Et puisse être le ciel
Notre façon d'être,
Avec ombre et couleurs
Qui se déchirent

Mais dans la hâte même
De la nuée
Ont visage d'enfant
Qui vient de naître,

Foudre qui dort encore,
Les traits en paix
Souriante comme avant
Qu'il y ait langage.




Les Planches Courbes...
クリエーター情報なし
Gallimard



一つの聲      イヴ・ボンヌフォア





               

これですべて、恋人、
生きること、それは、きのう、
われらの幻想を束ね
あす、われらの影を結ぶ

これですべて、これはたしかに
われわれのものだったが、
水がとどまらないのは
この両手の窪みだけである

これですべて? われわれの
最大の幸福
それは石また石の窪みへ向かう
ヤツガシラの重い飛翔である








そしてわれわれの存在は
空であっていい
影と色彩は
引き裂かれているのだから

だが大きな雲の
迅速さそのものの中に
生まれたばかりの
赤ん坊の顔がある

ふたたび静まり返る雷
平和な表情
まるで言葉が存在する
前の微笑み


一つの聲(詩集『曲がった板』2008年から)


※ Yves Bonnefoy(1923-2016)、フランス、トゥール生まれ。
哲学を学び、一時シュールレアリスムの影響を受ける。1953年詩集「ドゥーヴの動と不動について」を出版して注目を浴び、批評家モーリス・サイエにより激賞された。詩論集やシェイクスピアの翻訳、さらに中世壁画の研究書やイタリア・ルネッサンスの美術についての美術論なども手掛け、多才な詩人として知られている。’58年発表の詩集「昨日は荒涼として支配して」はヌーベルバーグ賞を受賞した。他の著書に、詩集「文字に書かれた石」(’59年)、「閾の罠のなかで」(’75年)、詩論集「ありうべからざるもの」(’59年)、「マントヴァで見た夢」(’67年)、「赤い雲」(’77年)、評伝「ランボー」(’61年)、美術評論「ゴシック期フランスの壁画」(’54年)、「ローマ1630年、初期バロックの地平」(’70年)、「バロックの幻想」などがある。’81〜93年コレージュ・ド・フランス教授を務める。俳句にも関心が深く、「俳句の翻訳は可能か」、「俳句、短型とフランスの詩人たち」といった俳句論も書いている(『フランスの俳句 詩と音楽』2011年 所収)。2000年第1回正岡子規国際俳句賞大賞を受賞。













Rätsel von Hans Magunus Enzensberger, 2009

2017年04月22日 | Hans Magnus Enzensberger






Rätsel(Hans Magunus Enzensberger)




Ein Meer größer als das Meer,
und du siehst es nicht.

Ein Meer, in dem du schwimmst,
und du spürst es nicht.

Ein Meer, das in deiner Brust rauscht,
und du hörst es nicht.

Ein meer, in dem du badest,
und du wirst nicht naß.

Ein Meer, aus dem du trinkst,
und du merkst es nicht.

Ein Meer, in dem du lebst,
bis du begraben wirst.


Rebus, Gedichte. Suhrkamp verlag Frankfurt am Main 2009

Rebus
クリエーター情報なし
Suhrkamp Verlag Ag





謎(ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー)




一つの海は海よりも大きい
なのに、おまえは見ていない

一つの海、その中でおまえは泳ぐ、
なのに、おまえは感じない

一つの海、それはおまえの胸の中で音を立てている、
なのに、おまえは聞いていない

一つの海、そこにおまえは入浴する
なのに、おまえは濡れない

一つの海、それをおまえは飲む
なのに、おまえは気がつかない

一つの海、そこにおまえは生きている
おまえが埋葬されるまで

(詩集『判じ絵』2009年から)

※ ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー

1929年、シュヴァーベン地方のカウフボイレンに生まれる。エアランゲン、フライブルク、ハンブルク、ソルボンヌの大学で文学と哲学を学び、1955年にクレメンス・ブレンターノの詩をテーマにした論文で博士号を取得。1955年まではシュトゥットガルトのラジオ局に勤めた。作家としては47年グループに参加して作品を発表、また編集者として『Kursbuch』『Die Andere Bibliothek』などに関わり、月刊誌『TransAtlantik』の創立者となった。彼自身の作品は40以上の言語に翻訳されている。詩は皮肉や風刺を用いて市民の不安を表現するような社会批判的なものが多い。例えば「中産階級のブルース」では、様々なタイプの中産階級の生活が、「不平を言うわけにはいかない」「僕らは何を求めているのか?」といったフレーズを繰り返しながら描かれている。詩、エッセイのほかにも小説、映画、演劇、ルポルタージュなど様々なジャンルで活躍しており、いくつかの子供向けの本も著している。2009年6月、スペイン政府よりスペイン芸術文学勲章を受勲し、Excelentísimo Señorとして遇されている。