goo

危機の本質と操作について







◆先週、6月9日金曜日、衆議院第一議員会館で、「Veterans for peace Japan」設立記念シンポジウムがあった。経済学者の金子勝さんが、「戦時経済化するアベノミクス」という題で講演を行った。この講演に学び、わたしの観点も取り入れて、以下に、その講演の論点をわたしの視点からまとめたい。

・きのうの金子勝さんの講演「アベノミクスの戦時経済化」を聴いて、わたしの考え方も含めて、現在の社会体制の大枠を分析的に示したいと思う。

・現在の危機の本質は「経済システム」の運営の失敗にある。その失敗は、巨額の財政赤字(1066兆4234円:2016年12月末の国債と借入金、中央政府のみ)であり、国債はGDPの8%に達している。この比率は、二次大戦中の日本経済と同じであり、戦争をしないと経済がもうもたない、という理由で始めた二次大戦時と非常に近い状況にある。

・この経済システムの問題を、アベノミクスで解決する、という触れ込みだったが、アベノミクスは2年で物価2%の上昇をめざしたが、達成されていない。この物価上昇は、国債の金利払いとリンクしており、仮に、アベノミクスが成功すれば、物価に連動して国債の金利も上昇し、国債利払いが途端に巨額になり、「経済システム」の危機が深まる。その意味でアベノミクスは失敗というよりも、経済システムの危機の解決にそもそもならない。

・日銀は低金利を維持し(そもそも、金利をあげれば莫大な国債の利払いが発生する)、国債を持続的に引き受けることで(引き受けを止めれば、国債が暴落するから、永久に買い支えるという構図になっている)、財政破綻を先延ばしにしている。この低金利政策には二重の意味がある。一つは低金利であるから円安であるが、円安をやめれば金利が上がり、国債は暴落する。二つは低金利で円安を誘導し、それによって輸出企業の内部保留金を増やし、経団連企業の株価を上げる操作を行っている。その一方で、原発・武器輸出・カジノという国家プロジェクトにより、重厚長大産業が中心の経団連企業へ利益を誘導している。経団連企業は、税収で国家利権村を支える一方、国家プロジェクトに寄生しないと存続できないので、国家利権村内部の政権と経団連は相補関係になっている。

・したがって政権は構造的に民のことは考えない。また、アベノミクスでは金利の上昇は原理的にありえない。円高誘導も原理的にありえない。株式投資や投資信託に誘導しているのはこのためである。

・この意味で、アベノミクスは「今」だけに焦点をあてた享楽的な問題解決策であり、未来世代のことは一切考えていない。つまり、安倍政権の本質とは、「未来世代の永遠の搾取の上に立った現在の老人たちの享楽への奉仕」なのである。それは経団連に利益を誘導する問題解決策でもあり、重厚長大型の経団連企業の支配層は、古い発想しかできない。だから、新規に国家プロジェクトを立ち上げるという古い発想しか出てこない。国家利権村に組するとは、こういう国家利権村の老人たちの「執事」になることにほかならないのである。

・以上のような、経済システムの閉塞が社会の閉塞を作っており、ナショナリズム、つまり外敵を創る、という安倍政権の対外政策が、機能する背景になっている。これは、武器輸出で経団連企業を儲けさせるという方向とも重なり、それが機能するための社会体制が、秘密保護法・安保法制・共謀罪である。武器輸出の産業的な特徴は、ラインが常に動いていないと採算が合わない、在庫を貯めないようにしないといけない、という点にあり、これは、常に戦争を創り出さないと採算が合わないということを意味している。

・こうした国家プロジェクトを新規に立ち上げざるを得ない背景には、日本企業の国際競争力の劇的な低下がある。現在、競争力を持っているのは、産業用ロボット、自動車、LEDくらいしかなく、自動運転も、日本のIT企業と組んでいるところは一社もない。このため、企業はM&Aで競争力強化を図ってきたが、東芝、武田、キリンと大手はすべて失敗している。トランプも、日本の技術で関心を示したのは新幹線だけである。

・したがって、人口の大幅減とあいまって、大幅な経済成長ができる状況にはもうない。この現実を正面から見つめることが重要。国家利権村という日本社会の一集団のための、享楽的な未来搾取型の政治ではなく、雇用が地域のニーズに合致した「分散ネットワーク型の新しい産業」を創出しないともう無理な状況になっている。認識の転換を行い、平和な新しい産業を創っていく必要がある。

・「わがなきあとに洪水は来たれ」これが安倍政権の進めている危機対応である。

・安倍政権の操作は、この「危機の本質」への言及と批判を妨害する方向で働いている。それは、共謀罪の制定や反動的な言説・公判(集団自決はなかった裁判の稲田大臣)を、閣僚が繰り返し、言論空間を萎縮させることで、実現している。

・さらに、天皇制民主主義・科学技術・市場を、操作の手段と化すことで、経済システムの危機を、「全体的な危機」に変質させている。天皇制民主主義は、数の暴力と天皇制階級社会への推進によって利用され、科学技術は、原発・武器開発に仕え、市場は、低金利・円安の永続化と国家利権村のための市場に変質している。

以上、ざっくり。後日、「全体的な危機と操作」については、さらに詳しく検討してみたいと考えている。




コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 共謀罪成立の後に 公開講座『ル... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。
数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。
 
この記事のトラックバック Ping-URL
 


ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません
 
※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。