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「旗幟を鮮明にせよ」とトランプに迫るドイツ国防大臣

2016-11-12 01:05:37 | 欧州情勢複雑怪奇

ドイツが困惑しているとすれば日本もそうではないのか、と思う人が多いと思うけど、私は今回は日本政府は、少なくともその一部はトランプの可能性を読んでいたと思う。

そう思ったのは、これ。米国大統領選の当日、谷内・国家安全保障局長がモスクワを訪問しているんだよね。

谷内・国家安全保障局長がロシア訪問 首脳会談控え
http://www.asahi.com/articles/ASJC83HZJJC8UTFK006.html


政府は8日、谷内正太郎・国家安全保障局長が同日から10日までモスクワを訪問し、ロシアのパトルシェフ安全保障会議書記と会談すると発表した。

 訪問は、ペルーで19~20日にあるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて行われる日ロ首脳会談の地ならしなどのためとみられる。パトルシェフ氏はプーチン大統領の側近。首脳会談では、北方領土問題や経済協力がテーマになる。

 

時期的にプーチン訪日の地ならしという理由は成り立つだろうけど、この人がこの日に出かけた意味はもっと深いだろうというのが私の考え。パトルシェフさんは、プーチンの側近なんていうそういう曖昧な言い方じゃなくて、ロシア連邦安全保障会議の書記、つまりロシア連邦の安保政策の責任者のポジションの人と書くべき。

 

■ トランプ勝利とNATO問題

トランプ勝利がもたらし得る一つの大きな問題は、NATOだと思うわけですよ。

価値観外交たらいうバカみたいなネオコンアジェンダを仕込んだNATOがロシアの国境付近に戦車置いてる、実のところ基地外みたいな状況が現状あるわけです。

で、米大統領選挙の際にも、NATOは30万人に「アラート」かけてる。戦争の体制を整えてるわけ。これって、いったい何をしようというんだよ、って話。

 

率直にいって、NATO各国の一部とその別働隊としてのカラー革命屋さんたちは、ロシアを崩せると信じ切ってるんだろうってことで、現在マジでかかっているステーク(かけ)はここなんだろうと思う。

ネオコンを含む米軍の一部には昔から核戦争は勝てる(winnable)と信じ切ってるグループがいると言われてたりもするから、なおさら話は大きい。

といって、まさかそんなことは率直に表には出てこないわけだけど、少なからぬアメリカ人たちがトランプを支持したのは、「NATO+カラー屋」(略してそう呼ぶ)の狂人ぶりを、現実のものとしてみたからであろうと思います。

ポール・ロバーツ・クレーグなんかは、トランプが好きなわけでもなんでもないが、ロシアとの核戦争の可能性を少なくするためにはヒラリーを選ばないことがマストだ、と何度も書いてますよね。

 

1カ月ぐらい前、米のダンフォード将軍が、上院の公聴会で、シリアに飛行禁止区域を今から設定するということは、ロシアと戦争するということです、とはっきり言った事件があった。(つまり、それがどんなに大きな話なのか、あんたら政治家たちはわかっているのか、と示唆したということ)

宴の始末(13) 「飛行禁止区域設定するって、ロシアと戦争だよ」by 参謀本部議長

ダンフォードさんは、前のデンプシーさんと違って対ロシア強硬派だったのに、ついに、本職の軍人としてはこう言わずにいられない事態になった、ってこと。

別の角度から見れば、政治家とその後ろのdeep stateだかなんだかに狂人グループがいるってことです。

 

■ 旗幟を鮮明にせよ by ドイツ国防大臣

そして、ドイツの国防大臣Ursula von der Leyen氏が木曜日にドイツのテレビで語ったという語りが相当興味深い。

「トランプ氏のアドバイザーは、彼に、NATOは単なるビジネスではないのだと学ぶ必要があると言ってほしい。これは会社ではない。」

「ドナルド・トランプ氏は、どちらのサイドにいるのか明確に言う必要がある。彼が、法と平和的な秩序と民主主義の側にいるのか、それともそんなものは気にせずベストな仲間を求めるつもりなのか」

Donald Trump has to say clearly on which side he is. Whether he is on the side of the law, peaceful order and democracy or whether he does not care about this and is looking instead for a best buddy,” 

German defense minister says Trump should be firm with Russia as NATO stood by US after 9/11
Published time: 11 Nov, 2016 08:25
https://www.rt.com/news/366440-trump-nato-russia-hardline/

 
彼女が言いたいのは、ロシア攻めを継続するのがNATOだ、それなのにプーチンと対話すると選挙戦で言いまくっていた、それは裏切りだ、旗幟を鮮明にしろ、ってことでしょ。
 
で、彼女がこの分離に使っているのが、いわゆる価値観外交のお題目であることは明白。
おととい書いた、

外交方針を変えようとしているトランプ

に対するドイツのNATO関係者からの突き上げってことですね。

このおばさんは前からネオコンだということは知れているんだけど、ここまで言っちゃうバカでもあったんだなと再確認した思い。

マジで、ドイツは怖いよ、ほんと。

 

ちなみに、ドイツの国防大臣がこういう人で、スウェーデンの国防大臣も女性。どうしてこういう指名をするのかというと、本職の軍人だと現場を知ってるから針が振り切れるまでイデオロギー(アイデア、机上の空論)で進めないからでしょ?

日本の安保審議の時の中谷さんがどうして穴ばかり開いていたかといえば彼は本職だから、現場の理解を捨てて適当なことを言うには限界があったからでしょう。そして、だからこそ現在私たちはあのバカみたいな女性が国防大臣なわけですね。

 

■ 日本は引いてると思う

というわけで、このドイツの国防大臣の発言やシリアで米軍が「誤爆」事件を起こした時に欧州各国も加わってたり、現在の北シリアで薄らバカなことをやってるのは米+フランス軍だし、ということから鑑みるに、NATOは、少なくともその一部はロシアとの戦争を目的にしている、または「辞さず」と思ってるんだろうと考えてみることは突飛ではないですね。

となると、本当は日本も呼びかけられてるはずですよね。前世紀の戦いぶりを見ても、極東方面でロシアをひっかけるのは日本の役目。

が、しかし、日本は今回はチャイナというデカい人もいるため、そうだそうだとは出られない。というより、前回(1917年から1930年代)だって基本はそうだったんだけど、前回は出たんですね。あはは。

しかし、今回はどうも自重してるくさいと私は思う。

それはやっぱり、これ以上中露がくっついたら、日本の安全保障的にきつすぎることになる可能性があるからかもしれないし、もっと大きいのは、欧州側の冒険の片棒を引き受けなければならない義理もないと、よーやく気が付いたからかもしれません(笑)。是非、後者であってほしい。

マトヴィエンコ上院議長訪日と東アジア版NATO

 

しかし、おそらく、上のダンフォード将軍の議会証言を見ても、正規軍としての米軍の、少なくとも一部は現在のNATOの動向をなんとかせな、と思っているんだと思われます。どこまで行っても噂の域を出ませんが、wikileaks等々のリークものは軍、情報機関の一部が関わっているだろうと考える人たちも結構いますし、実際それはあり得ることだと私も思います。

だから、日本にも自重を示唆したか、支持したか、指示したかしたんじゃないでしょうか。

つまり、日本とロシアの安全保障のエライ人同士が対話をしているということは、戦争準備じゃない、って意味ですから、あえて谷内さんにモスクワに出張ってもらうという行動を起こした、示した、ということではないか、と思うんです。

今後を見ないとなんとも言えませんけど、今日現在の私の考えはこんな感じですね。

前にも書いたけど、NATOは各国の軍が寄り集まっているところのはずなのに、意思決定が各国から離れてしまっているも同然なわけで、それはすなわち現代の関東軍なわけですね。

だからといって、関東軍を抱えたお前らならわかるだろう、大変なんだから、な、自重だ自重、と米軍さんに言われたかどうかは知りませんが(笑)。

 

 


日本人はなぜ戦争へと向かったのか: 外交・陸軍編 (新潮文庫)
NHKスペシャル取材班
新潮社

 

日本人はなぜ戦争をしたか―昭和16年夏の敗戦 (日本の近代 猪瀬直樹著作集)
猪瀬 直樹
小学館

 

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6 コメント

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『米軍人は孤立主義トランプ支持』 (ローレライ)
2016-11-12 06:21:30
アメリカ軍関係のサイト『ミリタリーコム』のアンケートでは『米軍人は孤立主義トランプ支持』でトランプ当選の演説でも『兵隊たち支持ありがとう(^人^)』と言っている『ラストベルトの労働者』以外にも大きな支持基盤がアメリカ軍にあった訳。
穿ち過ぎなんじゃないかと思いますが… (kingtong)
2016-11-12 17:29:11
訪露した元外務次官は、なるべく敵を作らないのが個人的なポリシーかもしれませんが、日本政府としてはそうではないでしょう。実際、トランプ氏に日米安保の重要性を訴えるそうですから、その点欧州の女性国防大臣と大差ない。
ロシアを目の敵にする欧州が中国には甘いのと同じで、日本は台頭する中国を敵視しているけどロシアを敵視する動機が少ない。一番近いけど一番縁のない隣国だし。日欧の温度差はそれだけの話だと思います。で、米国はそんな日欧を都合良く手懐けて自分の側に置いておきたい。
それはそうと、ネオコンが「ロシア崩し」に執着する理由もわかる気がします。だって、一度は成功したんだし。強欲な自信家なら、そりゃムキになるでしょ。日本人が中国を見下す理由と同じですよ(笑)
まんべなくいる軍関係者 (ブログ主)
2016-11-12 17:49:36
そうそう、大きな基盤があったと思います。アメリカとロシアは国中にまんべんなく軍歴のある人がいるという点で非常に特殊な国だと思うんですよね。
楽しみに待ちたいです (ブログ主)
2016-11-12 17:53:59
kingtongさん、

いろいろ考えてくださってうれしいです。私も自説を強く売り込むつもりは別にないんですが、可能性としてあるなとはまだ思ってます。

政府ってどこの国も一枚岩じゃないですから今度どうなるのか楽しみにしたいと思います。

日本とロシアの関係は一番縁がないというのは私はそうは思ってないです。一般人の交流が極端に少ないだけで、政府その他各種機関は過去100年うんざりするほど研究したり、諜報活動してると思います。
どうなるんでしょうね (kingtong)
2016-11-12 21:43:35
なんだか、人様のブログで自分の意見ばっかり書いてすみません。
そういや、戦前の日本軍は米軍に関しては無知だったけど、ソ連軍については超マニアだったんですよね。
マニアですよね実際 (ブログ主)
2016-11-12 23:29:24
いえいえ、反論とか異論とかいただくと、考え直したりどう説得すればいいのかなとかいろいろ考えるきっかけになるからうれしいです。

単純に、時間的な問題でいつもお返事できるとは限らないってだけです。

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