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宴の始末(8) 継戦に未来はあるのか

2016-09-18 03:07:55 | 欧州情勢複雑怪奇

シリア情勢はひょっとしたら今週末が山かもなという気がしないでもない。まぁ何度目なのこれ、ってな感じで停戦が小休止、体制立て直しになっている状況が続いている。

とはいえ、全体的にいえば、rebel(反乱軍組織)を使って他国に侵略行為をかけている米側にはまったく大義がないことが自国民にもよく知られてきており、一方、アメリカに空爆されても抗議する術さえなかったイラク、シリア地区の人たちがロシア、イランの参入でやればやれるじゃん的になっているので、後者が優勢というか上り調子なのは間違いないでしょう。

ここで短期間に完全に盤面をひっくり返す力があるのは、トルコ軍ぐらいでしょう。全軍をあげてシリア侵略をする気があれば可能だと思う。が、そうなったらロシアが黒海側からせめて中東大戦争になるんでしょう。しかしそこでアメリカ、イギリスがほいほいトルコに従ったら、これって要するにNATOが明白な侵略行為によって戦後の国際秩序を完全に壊しましたという話になるので、さすがにそれを選択できるほど無謀に強気の国は世界にはないと思うな。

結局、最後は、あるいは肝は力じゃないんだと思うんですよね、私は。紛争処理に必要なのは力と大義と運用能力、みたいな感じでしょうか。

とか考えていると、今日は妙な記事を見た。


シリア停戦でロ大統領「米が約束履行せず」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM17H4D_X10C16A9000000/

【モスクワ=共同】ロシアのプーチン大統領は17日、米ロ間のシリアの停戦合意を巡り、穏健な反体制派から「ヌスラ戦線」(「シリア征服戦線」に改称)など過激派を引き離すとの約束を米国が依然として履行していないと批判した。中央アジア・キルギスでロシアメディアに語った。

 プーチン氏は米ロ合意の内容の公表をロシア側が望んでいるのに対し、米側が拒んでいることにも触れ「米国が公表したがらないのは、米ロどちらが(合意を)順守していないか国際社会で白日の下にさらされるからだ」と強調した。

 米ロが主導した停戦は12日に発効したが、米国が支える反体制派とロシアが後ろ盾のアサド政権軍の双方が相手の停戦違反を訴え、脆弱な状況に陥っている。シリア北部の激戦地アレッポなどへの人道支援も実現していない。

 

なにかとても普通。あちこちに細工はあるけど、主要な内容と見出しがあってるし、日本のロシアがらみの記事としては破格の素直さじゃないかと、ちょっと驚いた。いつもは諜報機関の報告書か、西側共通フォーマットの翻訳みたいな記事ばっかりなのに。

細工があるのは、ヌスラ戦線はアルカイダのシリア支部だとまでは書かないんだな、とか、「米国が支える反体制派とロシアが後ろ盾のアサド政権軍の双方が相手の停戦違反を訴え」とあたかも、互いに立場が同等みたいなことを書いているところか。

同等じゃないでしょう、まったく。

問題は、それにもかかわらずアメリカとその仲間たちは、あたかもシリアという国家がないかのように勝手に入り込み、そこでジハード勢という傭兵を使ってシリアの破壊を試みた、という点です。

が、そこを西側メディアは一度も問題視していない。すごい世の中ですよ、ほんと。

いつ、これを問題にできるんでしょうね?

あと、こういうことをやっておきながら、法に基づくだのルールに基づく秩序がどうしたこうしたと言ってまわっている各国首脳は、頭に虫が湧いているか、さもなければ、金に転んだ売国奴のどちらかだ、ってことでしょう。いずれにしても恥知らずであることには変わりはない。

 

■ F-16と対地攻撃機がシリア軍を攻撃

と、スプートニク英語版に、F-16と対地攻撃機がシリア軍を攻撃したことをロシア国防省が確認した、との速報が。

Russian MoD Confirms Two F-16 Jets and Two A10 Aircraft Attacked Syrian Army
https://sputniknews.com/middleeast/20160917/1045415141/russia-syria-army-attacked.html

戦闘機は米製でも誰が乗ってたのかが問題だけど、そこは不明。

rebelが爆弾投げたとかいう行動じゃなくて戦闘機が絡んでいるのでこれは正規軍マター。続報を待たないとだわ。

いずれにしても、米の国務省にも軍にもCIAにも「アサドは退陣」とかシリア空爆を望む人たちがいる中、ケリーはこの状況をラブロフとどう合意したのか実は中味がよくわからない。プーチンがわざわざ言及しているところを見ても、それは単に、アルヌスラはやっぱり諦めます、ではないんだろうと思う。

ロシア外務省も、文書を公表しろと言っている。

Moscow insists on publishing agreements on Syria to assess their implementation
http://tass.com/politics/900346
 

来週、ラブロフとケリーが今度はNYで対話するということだし、やっぱり週末がちょっとしたヤマではなかろうかと思う。

 

■ 続報

場所は、デリゾールの空港。シリア東部ですね。

スプートニクによれば、米国が率いる連合軍の航空機がイラク側からシリア領内に進入し、攻撃、シリア軍兵士60名死亡、100名程度が怪我をした模様。

 

規模的にいっても、停戦拒否派、徹底抗戦派の仕業ってことなんでしょう。

しかし、笑いごとじゃないけど、停戦なんかしてられるか、と、もう見境ない完全、明白かつ無法極まりない侵略軍になったっていいんだ、という強い意志をここで見せちゃうあなたは誰?って感じ。 いやぁ、たまげる。

ここで粘ってどんな未来があるというんでしょうね、アメさんも。 アルカイダと共に作る新秩序とか、永久戦争こそ我が闘争とか(笑)。
 

■ 続報2

ロシアは上のアメリカ主導連合軍(US-let coalitionって正式な訳語はなんだっけか?)がシリア領内でシリア軍を攻撃したことをうけて、国連安保理の緊急会合を求めた。

求めたってかこの人たちは召集する、って言い切れるんだよね、多分。

さすがにこの件は西側メディアも無視できず報道してる。

ということで、これはあれだ、安保理で、「アメリカさん、あんたらほんとにISのサポーターなんですね」と念押しして、その答えを公知にするために録画映像を出すってのがいいんじゃないの。

そこでアメリカの国連大使が、ISと作る21世紀 とか、ジハードこそ未来War is Beautiful(戦争は美しい)とか叫んだらどうしよう。でも、マジでこの人たちは自分たちは特別であるというスーパーな妄想に取りつかれている人たちなので、なんかすごいセリフが来るかもしれない。もう、こうなったら狂え、アメリカ、って感じ。

 

■ 続報3

ロシア外務省ザハロワさん。ロシア国内のテレビ報道で。

「以前なら私たちはヌスラ・フロントがこういうやり方で保護されていると疑ったものだった。しかし、今日のシリア軍に対する空爆があった今、私たちは、全世界にとって非常に恐ろしい結論に達した。ホワイトハウスはイスラム国を防衛している。」

だそうです。

Speaking on Rossiya 24 Television the Rusisan Foreign Ministry Spokesperson Maria Zakharova said: "If earlier we had suspicions that the Nusra Front is protected this way, now, after today's airstrikes on the Syrian army we come to a really terrifying conclusion for the entire world: the White House is defending IS [Islamic State or Daesh)."

https://sputniknews.com/news/20160917/1045418962/russia-white-house-daesh-terrorists.html
 
 
まぁ実際現実はそうなわけだけど、これはある種の挑発でしょうね。ホワイトハウスは、一方ではイスラム国と戦ってますといいながら、実はシリア侵略に余念がなかった。つまり目的としてはイスラム国と同じなわけ。
 
それを世界中に言えるのか、どうするオバマ政権って感じ。
 
 
意図不明なことが続いてたのでなんとなくこのあたりが山場かなとか思って書き出したら、ほんとにそうなってた。
 

 

 

 

 

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5 コメント

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『イラク基地からアルカイダ援護』 (ローレライ)
2016-09-18 06:43:46
イスラエル空軍がゴラン周辺でアルカイダを援護しているのも有名だが恐らくアメリカが『イラク基地からアルカイダ援護』と言うのは新しい事例。
『ISを援護した』 (ローレライ)
2016-09-18 08:28:20
『ISを援護した』「国際反テロ連合からの戦闘機がシリア軍に対して、今日4空爆を行いましたDayrアルZawr空軍基地にISISに囲まれ、「ロシア軍は声明で述べています。「これらのストライキで62人のシリア人の兵士が死亡し、百他人が負傷した。「

2つのF-16と2つのA-10ジェットが攻撃を実行http://blog.goo.ne.jp/aya-fs710/e/0567f6878c2d712419923fb5b0f98279シリア騒乱と修羅さん☆
今後の展開が気になる (sunny)
2016-09-18 10:23:15
オバマさんやケリーさんはシリアから手を引く流れにあるのかなという印象ですが、今回のできごとは、強硬派がそうはさせじとはむかっている感じですね。

本当に今週から来週の国連総会にかけてが山場になりそうです。 昨年は、プーチン、国連総会の演説の後、シリアに公式参戦しましたね。今年の総会はどんな展開になるのでしょうかね。

地図で調べたら、シリア軍が攻撃されたデリゾールの空軍基地は、イラクとの国境線とラッカや先日米空軍とシリア空軍との間でトラブルのあったハサカの間に位置する要衝地ですね。

シリア軍は、今春イスラム国からこの山中の基地を奪還していますが、米軍にとっては、シリアでの作戦展開上の障害になっていたのかもしれません。

ロシアはこの出来事を最大限利用するでしょう。  トルコがロシアの戦闘機を撃墜したときも、エイドリアンはイスラム国を支援しているというプーチンの言葉があちこちで引用されましたが、今回もアメリカがイスラム国を助けているというレトリックを使っています。




山を越えたら (kingtong)
2016-09-20 20:32:52
9月12日からの停戦合意の約束の一つに、停戦が一週間続けられたら、米露合同で旧ヌスラ戦線とイスラム国その他について情報交換をして共同で叩くというのがありました。
http://www.aljazeera.com/news/2016/09/syria-ceasefire-effect-russia-deal-160912125315496.html

米露の情報交換の話は今までもあったわけですが、なかなか進展しない理由は、やっぱり米国政府が本音では嫌がっているからでしょう。(でも建前上断れない)

オバマ政権が一見シリアに消極的だとしても、他の理由(内政とか)じゃないかと思います。実際、シリア領内に侵攻したトルコ軍の後から米軍特殊部隊がついてきて、宿舎に星条旗を掲げたら、激高した自由シリア軍に追い返されたという椿事もありました。手を引くつもりなら今さら特殊部隊は送らないでしょう。
http://www.middleeasteye.net/news/syria-us-fsa-threats-1094894190

停戦が48時間続き、さらに48時間延長され、最後に3日延長(これで合計一週間)となったところで、政府軍の孤立地帯を派手に爆撃。米露で非難の応酬をして、情報交換や共同作戦は御破算に…ホント、露骨で嫌になりますね。
でも、まあ、そうした成り行きは地元の人々には見え見えなわけで…長い目で見ればアサド政権は生き残って、イスラム国その他の連中は駆逐されるんでしょうね。


ちなみに、"US-let coalition"は「米有志国連合」でいいんじゃないでしょうか。
(新聞の見出しがそうなっていたので)
アップデートありがとうございます (ブログ主)
2016-09-21 00:38:56
sunnyさん、kingtongさん、情報アップデートありがとうございます。

そうそう、有志連合ですね。国連秩序を壊して、有志だけで米の一人国連を作ろうってなコンセプトですね。どこまで行くのやら。

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