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ロンドン火災:本物とお人形

2017-06-19 11:24:21 | 欧州情勢複雑怪奇

アメリカの共和党幹部銃撃事件の頃、イギリスでは居住者が多数いる高層アパートの全焼火事が起こって、その余波がまだ全然収まらない。

なにかほんとに胸の痛む話というより、ショックといっていいような火災だったように思う。当初、政府の情報提供も発表も何か後手後手で、さらに、一段落しても何かもじもじしていて、なんとかして事態を小さくみせようとしているのではないのかなど言われて、政府や地域の区議会にデモがかけられていたりした。それは当然そうなるでしょう、といった感じだった。

でも、別にイギリス政府を庇うわけではないが、政府は政府でマジでショックでパニックしていたのじゃないかという気もする。

今日公開された建物内部の写真などを見ても、上層階は金属以外みんな焼けましたといった状況なので(外からの写真でもそれは察しられたが)、簡単に遺体を搬送できるような状況になかったことは明らかでしょう。それをどういったらいいのかわからず、多少時間を置いてから発表した、みたいな成り行きではなかろうか。

 

■ 本物とお人形

で、この数日で見分けられたことの一つは、君主たるエリザベスと労働党党首コービンの強さではなかろうかと思う。

コービンは、まぁ説明の必要もない。相対的に貧しい、または立場的に弱い人々の中に起こった不幸の現場をコービンが訪れた時、人々はその場その場で背負わされていた緊張感が崩れて、思わず涙が出てくるといった感じでコービンを見ていた。そりゃそうなるだろう、と私も思い、別に労働党を支持していない人も、まぁそうなるだろうと誰もが思う光景がそこにあった。味方が来た、という感じと言ってもいい。

 

それに対してメイ首相は、なんと初回現地を訪れた時、消防隊の人には会ったが、コミュニティーの人々、つまりまさにそこにいる生き延びた犠牲者の一群に会わずに帰った。

まぁ普通に、臆病者となじられるしかないでしょう。首相の安全を確保するためにどうしたこうしたと一応報じていたものの、あかんやろ、と誰しも思った。

そして、そこから幾何もない間に、ウィリアム王子を連れて、91歳になるエリザベス女王が現地を訪れ、人々の話を聞いて励ました。ばーちゃんに出来ることをメイはできなかったわけですよ。

London fire: Queen appears close to tears as she meets Grenfell Tower residents
http://www.telegraph.co.uk/news/2017/06/16/london-fire-queen-appears-close-tears-meets-grenfell-tower-residents/

Queen Prince William visit Grenfell Tower survivors

 

率直にいって、しかし、さすが君主。大したばあちゃんだ。ウィリアムだけでも十分だっただろうが、やっぱり自分が行って示すことがある、と思ったんだろう。混乱の最中に、動じず、物おじせず、大げさになることもなく、普通に、一般人の話をじっと聞けるというのは、メイを見ればわかる通り誰にでもできるものではない。

エリザベス女王の行動は、無言でメイを叱責しているとも言えるし、しかし、うがった見方をすれば、メイがバカなままだと、怒れる国民がコービンについて行って、政界として突如バランスが崩れるかもしれないわけで、トーリー(保守党)を叱咤したとも言えるような気がする。

 

そういうわけで、悲しみの間に、コービンとエリザベスは本物、メイはお人形であることが明らかになったってのが現在のイギリスの環境だと思うな。

 

■ とてもブリッツっぽいコービン

で、コービンはオールド労働党の党首なので、その線から読み解こうとする人が多いんだろうとは思うけど、その前に、この人は、結果的にとてもブリッツっぽい、またはブリッツが自己をそうであると思いたいそれであるような感じがする、という点からどうやら密かに好感をよんでいるらしい気配があることも重要だと思う。

現在の主流メディアは、ず~っと、いかな左派嫌いが見ても、それってちょっとアンフェアだろうと思われるような調子でコービンを貶めて来た。弱いリーダーシップだ、弱いリーダーシップだ、だからお前は降りろというキャンペーンをずっと張っていた。

が、それにもかかわらずコービンはきゃんきゃん騒ぐのではなく、一つ一つ丁寧に答えて、いい加減なことを書かれても屈せず前を向く、みたいな感じでこれをやり過ごしてきた。結果的に、それは、現在のアホな主流メディアと戦ってきた何よりの証拠となりおおせ、でもって、その態度は、周り中敵だらけでも信念を持って行動する、我慢するブリッツのイメージじゃないの・・・と思い出した人々が散見できる、というのが現状みたいだ。

ロンドンの火事が起こる前、総選挙でメイさんが負けた時、左派嫌いのピーター・ヒッチンズが、保守党はコービンみたいなのを探してこないと、早晩見放されるぞ、という意味でそんなことを書いていて、なるほどと思ったものだったのだが、今般の火災で猶更その感じが強められているのではなかろうか、と私は想像する。

で、これってまさしく、stiff upper lipの趣なんだろうと思う。stiff upper lipは、唇を固く引き締めた状態を保て→気を落とさず、油断せず、耐えろ、ってことで、困難の時にブリッツに奨励される態度と考えられているわけですね。
 
まぁ、コービンも別に風貌が悪いわけでないし、下品じゃない。あと、比較相対的に現在の保守党政権の面々が怪しすぎるってのもわかる。ブリッツ(特にむしろEnglish)が望む政治家は、現在の保守党首脳部のような、軽い感じの奴らではないだろう、などとも思う。困難の時に、ロシアが~だの、左翼が~だのと叫んでメディアを使ってインチキしようとするボリス・ジョンソンはブリッツのお手本ではないわけです。
 
 
とうわけで、コービンは結構な台風の目かもしれない。そして、それは多分フランスとは似て非なるものではなかろうか、と私のカンが言っている、とも書いておきたい。
 

 
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2 コメント

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『スラムタワー炎上』 (ローレライ)
2017-06-19 14:09:41
『スラムタワー炎上』に危機感持つ英王室の『常在戦場感覚』、『ジョンソンの替わりのメイ首相の重荷』で『逃げたジョンソンが悪い』。
そんなにひどいところとは思わない (ブログ主)
2017-06-19 14:42:37
スラム、ってほど酷いところではないと思います。

まぁ、日本の公営住宅に比べたら全然お金かかってると思う。フラットも広いし。

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