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「4島一括返還」から「北方4島の帰属」問題へ

2016-10-13 13:08:44 | 欧州情勢複雑怪奇

「逝きし世の面影」さんが、とても面白い記事をエントリーされていた。

北方4島の「帰属」 はぐらかす安倍総理、うろたえる岸田外相
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/04ae3f520136726ead4cab239171f895#comment-list

 

日本国内では過去60年ぐらいの基本主張はロシアといえば四島一括返還これ以外になし、だったものが、次第に、領土の帰属の問題、といったキータームに置き換えられて行っている様子と、9月23日に読売新聞が『歯舞群島、色丹島の2島でのロシアとの平和条約締結』という線もあるぞと示唆したことを受けて、この線が今の日本政府の押しで、それはつまりオバマ政権の方針だろうと「逝きし世の面影」さんはおっしゃる。

私もこんな感じで見てます。オバマ政権が推進しているんだろうな、と。

だけどそれじゃ恰好が付かないので、日本国内ではいわく安倍ちゃんが勇気を奮っているのだ、国士だ的な振り付けが行われ、その前提として、アメリカ一極の時代ではないのだな、みたいなノリもやんわりと演出される。

そもそも、日ソが話し合ったころもアメリカ一極の時代じゃないと思うんですが(笑)。つまり、アメリカが一極だった時代というのはこの25年の話なんですよね。

それはともかく、ではアメリカは何をしようとしているのか。領土問題前進とTPPをバーターにしているってことなんじゃないでしょうか。

つまり、TPPみたいな売国条約はさすがに国民的支持が難しい(と米が考える、ってのも面白いけど)ので、ここで安倍は大したもんだ的なムードを作って、それによって目くらましてして進めよう、と。

もちろんマスコミは既に国民の側に立ってないから問題はコントローラーのさじ加減。で、読売の様子からすればつまりそっちに行くことはディールができてます、ってことなんでしょう。

で、アメリカにとって実のところ歯舞、色丹を日本の主権下にするというのは、痛くもかゆくもない話。

だって、第二次世界大戦を終結するにあたってのポツダム宣言、従ってそこに含まれるカイロ宣言を考えれば、そして、終結にはソ連の力が必要だったという状況を考えれば、これ以上は外交的に無理でしょう。

 

さてしかし、交渉の相手方のロシアはこれを呑むのだろうか?

日本の記事からはロシアはどうするのか、ロシアから見たらどう見えるのかがほとんどない。

オッズとしては、乗らない可能性も捨てがたいと私は思う。ただ、そもそも2島は1956年以来返還を想定していると思えるので、まったくないということはないでしょう。国後、択捉と違って安全保障的に問題があるってところじゃないでしょう。

そもそもソ連、ロシアが拘っているのは、クリル諸島はロシアがだしぬけに盗んだから返すという話じゃなくて、第二次世界大戦の終結に伴いこうなった、という事実関係の認定でしょ。で、日本はマジでこれを拒んできた。

で、ロシアからすると、この議論に蓋をした状況が時間と共に日本国民の認識の中で解消される、少なくとも将来の紛争のネタにならないと見越せるのであれば、乗ってくる可能性もあるな、という感じはする。(しかし、現在の国際状況ではこのオッズは下がる確率が上がる)

彼らは政府の役人がどう思うかじゃなくて、当該地の大多数がどう考えるのか、大多数を率いることのできるinstitution(制度、機関、慣例)はあるのか、みたいなことを非常に重視していると思うんですよね。これは、古い帝国だからでもあり陸軍的な発想だなとかも思う。人々が望まないこと、誤解していることを無理に進めても長持ちしない、という発想。だからよく見てよく分析する人の必要性が大きく、従ってやたらに情報機関が発達する。帝国時代からずっとそう。

空爆すると勝てるとか思いがちなアメリカ人との違いはこのへんなんだろうなって感じ。それはもってユーラシア体験がない国の性(さが)ですわね、って感じ。あと、メディアを通したプロパガンダで勝利したがるというのも空爆の思想だと思うんですよね、私は。下の住民に意味がない。

 

日本人にとってのまったくの貧乏くじは、プーチンの来日によっても別に平和条約に向けて頑張りましょう以外何の進展もなく、つまり日本が自分で仕掛けた空騒ぎの延長に、安倍はすごい、素敵よ、国士だ、大したもんだ、世界も称賛している(ヤラセ記事はすぐできる)のバカなムードをマスコミが作り上げ、それを押し切って選挙をやって、信任を得ました~とかいってTPP、憲法改正ってところか。

 

■ フィリピンの動向

そこで思うのは、フィリピンのドゥテルテ大統領の動向は、オバマ政権の筋書きによるものなのではなかろうか、ってところ。

肝は、東アジア南部の緊張を下げることと、もうアメリカ頼みの時代ではないのだ、と日本の皆の衆に思っていただくことでは?

これによって、ロシアとも仲良くせなならんな、になって平和条約に前向きの安倍ぽんが映える。そこでTPP。やっぱりTPP。どうしてもTPP。って感じじゃないのかなぁ。

でも、表面的には東アジアの安定化に寄与するアメリカは~、とか言う、と。

あと、ネオコングループにとっては、日本とロシアの接近は、中露分断工作の一環だから、こっちはこっちで、まぁいいんじゃないかと思っているでしょう。
 

■ 安全保障的に

とはいえ、ロシアとの関係を良好にしようというのは日本の安全保障的に理のあることだと思う。安全保障って、アメリカのシンクタンクでぴーひゃら話して握手して、写真撮るみたいな話じゃなくて(笑)。

それは、サウジに混乱が起こる可能性のこと。カタールも一蓮托生。

サウジの天敵はイランなので、ここで限定的だとしても騒動が起こる可能性は常にあるわけで、そこからホルムズ海峡封鎖の話になるわけだけど、これに加えて、サウジの政体に動乱が起こる可能性がだんだん表面化する可能性がある。でもこの後者はなかなか表だっては話されているようないないような微妙なところ。ここに大きな変更があれば、アメリカの現在の体制が大打撃を喰らう可能性があるからでしょうね。しかし、どう見たって見える限りの将来においてサウジの現在が盤石な体制であるようには見えない。いや、中世のままで行くっつのもひとつの手だけど。

また、イスラエルもパレスチナとの間でなんらかの手打ちをすることになっていくでしょう。それもまたサウジ他に影響しないわけもないし、ヤケになって大動乱ってのだってあり得る。

つまり、直近でないにせよ、どうあれ起こり得る中東の混乱による影響を緩和するためには、過度の中東依存を是正し、北(ロシア)からの原油、ガスの輸入の体制を整えよう、ってのはリーズナブルな話でしょう。前にも書いたけど、オーストラリアじゃ多様化にならない。日本とグループ一緒だから。

 

別の見方をすれば、40年遅れでドイツの状態に近づこうという話とも言えますね。欧州の天然ガスパイプラインは冷戦中にソ連とドイツが作った。というよりドイツが持ちかけたものだと言われている。これによって、常にエネルギーの3割ぐらいはロシアからという体制が盤石になってる。

これはもちろん近隣からのパイプライアンだから経済合理性から十分に説得的な話でもあるんだけど、それ以上に、時期から考えれば、ドイツとロシアは外部要因に振り回されて再び戦争を起こすような真似はしないという意志の表明だったようにも思う。しかし、善意で平和的であることを追及したというよりも、ある種、経済の相互確証破壊状態をあえて作ったという代物のようにも思う。損得はお互い様になるという状況を作ることの方が善良な振舞いよりも強い、って感じ。

 


 

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2 コメント

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『ヒトカップ港開発』 (ローレライ)
2016-10-13 15:25:37
『北の沖縄』の『ヒトカップ港開発』が進むのは普通に推理される未来。北海道開発も進む!
まったく想像できない (ブログ主)
2016-10-13 16:37:40
現状まったく想像できないですが、沖縄と組みで考えるとそういう将来もあるだろうな、とは一応思います。

でもって北とつながるしか北海道の進展はないだろうってのは私も同意。

つか40年前にこんなことをやっていたら今頃日本は北東アジアのエネルギーハブだったんだろうなとかも思う。

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