中国の習さんがダボス会議に出たというのをあちこちで見た。ブルームバーグに英語通訳付きの動画があったのでそれも見た。ちゃんとしたこと言わはってるという印象を持った。
China Stock Volatility Wanes Amid Speculated State Intervention
https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-01-17/china-said-to-support-stock-market-as-xi-makes-davos-appearance
一般的には、
習氏は「世界的に直面している不確実性に多くの人が困惑している」とした上で、「世界を取り巻く多くの問題は、決して経済のグローバル化がもたらしたものではない」と述べ、反グローバリズムの動きを牽制(けんせい)した。
http://www.sankei.com/world/news/170117/wor1701170035-n1.html
とまとめられることになっているらしく、英米メディアはほとんど主旋律はこれって感じ。
しかし、それは微妙に論旨が違うと思うな。
習が言ったのは、多くの人は現在の混乱を経済のグローバリズムがもたらしたものというけど、多くの場合違うでしょ、と。耳で聞いただけでは不正確なのでダボス会議のサイトにあったスクリプトから訳してみるとこんなことを言っている。
例えば、中東や北アジアからの難民の波があって何百万人もの人が移動しないとならなかったり子どもが海を越えなければならなかったりしてる。これを作ったのは戦争、紛争、地域の混乱であって、解決法は和平をして和解を促進して安定を回復させること。
金融危機ももう一つの例ですね。これは金融資本が過剰に利益を求め、金融規制の方も失敗した結果です。
世界が抱える問題を経済のグローバライゼーションにのみ認めるのは現実とあってませんし、問題解決のためになりません。
https://www.weforum.org/agenda/2017/01/full-text-of-xi-jinping-keynote-at-the-world-economic-forum
この部分に関していえば、まったく正論だと思いますね。
そして、ここ数年、オバマ後期において主要メディアがずっと隠しているのもそこですね。あくなき戦争の継続問題と大きな大きな金融屋の強欲問題。
去年の米大統領選挙の帰趨を左右した一つの大きな要因は、実際にはシリアでの戦闘だったと私は思いますね。そこでアルカイダ(アルカイダのシリア支部だとしても)を支援している米国政府と米軍に気付いたアメリカ人は大勢いる。
そして、それらを放置するのは間違っていると断固戦うロシアというのが存在してしまったわけで、そりゃもう、Russia is on the right track(ロシアは正しい軌道に乗ってる≒正しい方向を向いている)と思う人が増えたのも無理はなくて、ここからロシアと手を結んでテロリストと戦おうとするトランプの方がオバマ・ヒラリーよりもずっと「正常」、ずっと希望ある人に見えた、と。
それを盛大に無視して、トランプが支持されたのは経済問題で痛手を負っている白人たちの不満だ、みたいなストーリーを主流にしていったのはもって大メディアの戦略。
確かに、最終的にはそれも大きいと思います。しかし、1年を通してすべての主流メディアが何を言おうと、絶対おかしいと倒れず、屈せず立っていたのは、やっぱり戦争ものから来る影響が大きかったのではないでしょうか。罪なき人々が殺されていく、移動させられている状況をなんとも思わない人ばかりではないんですよ、世の中。(そしてIS問題はまだ終わってない。イラクからシリアにかけて活発。)
ついでにいえば、資本主義 vs 社会主義ってのも偽の対立だと思うんですよね。本当に問題だったのは、実のところ資本主義的でさえないやろ、という点だったと思うわけですよ。
各国の中央銀行がどこかに集まって議題こなして、各国の金利調整してるという仕組みとか、オフショア金融にまわってるお金がだーーーっと一定の通貨で特定方向に売買するとか、これのどこが自由な市場やねん、ってことだと思うわけです。今なんか、特定の国には財政ファイナンスOK状態ですからね。日本ですが(笑)。もちろんこの代償はあるわけです。
というわけで、ターゲットがロシアになろうが中国になろうが、西側メディアは嘘ばっかりついちょるな~というのは変わらないという話ですね。
というか、中国に関するものの方がもっとおかしいし、修正される機会もあまりないというのがおそらく現状。
ロシアは自らメディア戦を戦ってるので、かなり修正されてきた。いやそれどころか、アメリカ人、欧州人の中にロシアにシンパシーを抱く人が劇的に増えて心配になるぐらい。
このへん、誤解に誤解を重ねても押し通す西側メディアは一体どこまで行くつもりなのか、つか行けるのか、ってのが今後の焦点の一つでしょうね。この部分がステルス帝国の親衛隊だったんだなぁとあらためてそう思う今日この頃。
公共貨幣 | |
山口 薫 | |
東洋経済新報社 |
シベリア出兵 - 近代日本の忘れられた七年戦争 (中公新書) | |
麻田 雅文 | |
中央公論新社 |
中国側からの発信、私は浅井基文さんの翻訳を通じて、中国政府や中国ジャーナリズムの論議を読みます。日本では中国政府の言い分など分析する必要もないプロパガンダという扱いですが、とんでもないです。ああでもない、こうでもないといろいろな可能性を分析したり、推測したり、根拠も明らかにして理路整然たる、冷静なものです。英語に訳せる文章です。だいたい、ヒラリークリントンだって、国務長官時代、(日本より)中国のほうがよほど話が合う、主張がはっきりしてわかりやすいと言っていたと思います。日本政府の「白書」なんか、単に日本政府の願望を書いたに過ぎないものですが。英語でも発信してほしいけれど、誇り高い人たちですからね。
中国の政治家の言葉は中国関係者コミュニティみたいなところではマメに拾われていると思います。
まぁ一般紙は西側正統以外ダメだと割り切ってるのでは?
あと経済とか人の動向については日本は中国をよく知っている方だと思います。意外に繋がってる人も多いのでは? ロシアのような状況ではないでしょう。
まぁ日本だけじゃないですよ西側全体がドツボにはまってる。
>まぁ日本だけじゃないですよ西側全体がドツボにはまってる。
ここを猪ぃ説明願えませんか
私は私の思いが有りますが
Deeply Japanさんが上手にこなすと
思いますので~