DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN

ブルース・カミングスの凄惨な朝鮮「内戦」

2017-05-03 20:35:27 | アジア情勢複雑怪奇

朝鮮の話は私は得意としてないんだけど、ともあれ北朝鮮の問題を巡って、結局は朝鮮戦争およびその前哨戦を見つめ直す話になるのだろうと思うので、これはやっぱりブルース・カミングスあたりを基本にすべきかと思い出した・・・。

とはいえ、この人は日本語で読めるものとしては、目が覚めるような、括目すべきキッパリ感で反日(笑)と分類できると思うので、ちょっと紹介するのが躊躇われる。

が、しかし、朝鮮で何が起こったかという点に絞って何かないかなと思って、何か誰か書いてないかしらと思ったら、なんと、思いもかけず2014年の東京大学教授久保 文明氏による日経の書評が手短にこのある種の問題の起点となった人の著作をまとめていた。全文読まれることをお奨めします。

朝鮮戦争論 ブルース・カミングス著 凄惨な「内戦」、歴史的文脈で解釈
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO72089630R30C14A5MZA001/


 本書は通常の朝鮮戦争史ではない。専門的にいえば「解釈史」とでもいえようか。この戦争の基本的展開や概要を語るのではなく、内戦という基本的性格を強調しながら、より広く長い歴史的文脈において朝鮮戦争を理解しようとする試みである。

そう。通常の専門史ではない、という意味は、つまり、「正史」に対する異論を挟んでるわけです。で、それが故に、ブルース・カミングス氏の著作は最初歴史修正主義者とか言われていたりしたらしい。

wikiにも、学会ではこれを修正派と呼んでいるという記述が見える。

ブルース・カミングス

が、過去何十年かの検証と、時間をかけて人目にさらしたことによって、ブルース・カミングスあたりが言っている、狭義の部分、1950年までに何があったかをデマ扱いする人は、明らかな政治的な発言者と愚かなジャーナリスト以外では多分もうあまりいないのではないか、と思う。まぁ言い方とか強調点の置き方とかそういうのはあるだろうけど(私にしても氏の全論に賛成とは言えないどころか国際政治の見方にもまったく疑問がある。米民主党系の人にありがちな浅さだとさえ思う)。だから、東大の先生は、これは論ですな、と逃げてらっしゃるのではないかと愚考してみたりもする。

で、ハイライト的なのはこの部分か。

 本書では、戦時においてきわめて残虐な行為が、北朝鮮によるよりも、むしろ韓国側およびアメリカ軍によってより大規模かつ頻繁になされていたことも、執拗かつ容赦ない形で多数の事例をあげながら指摘される。その点で、本書は、韓国・アメリカによる残虐行為に対する告発と断罪の書でもある。それだけではない。常識的には朝鮮戦争開始日とされる1950年6月までに、韓国の西南部地域においては、左派ゲリラ対策としてすでに10万人以上が殺害されていたことも詳述されている。まさに凄惨な内戦であった。

 

つまり、暴動というにはあまりにも過酷な、言ってみればシリーズ・オブ・暴動を軍が蹴散らしたという事態が発生していた。それはもう内戦だろう、という話でもあり、日本の敗戦と共に独立だと思っていた朝鮮の人と、新しいフォースとして乗り込んできたアメリカとそれに追随していく人たちの間における南半分の様子は内戦的だ、ともいえるだろうし、北と南で理念の違う国家建設になりつつあるムーブメントそのものが既にして内戦的だったとも言えるかも。

一般に、最後の南北対立が最もポピュラーで腑に落ちやすいかもしれないけど、しかし、実際にはそこじゃなくてアメリカが統治する予定で乗り込んでいった南側の動乱も、あるいはその方が(ここにも解釈問題が既に含まれる)問題だったってところが、上の解説を書いた人が指摘するように、現在の南朝鮮とアメリカ人にとって衝撃だ、ってことでしょう。

なんせ冷戦期の「正史」は、北の共産主義者を嫌った南の朝鮮の人たちがアメリカに助けを求めた、とかいう簡単な話で出来てるから。

 

■ ブルース・カミングス

4年前のだけど、ブルース・カミングスがマサチューセッツ州アンドバー法科大学院(日本語表記の正式名称は違うかも。すんませんよく知らない)のロングインタビューで上のような本の内容を離しているビデオ。

The Korean War, A History. With Bruce Cumings - Part 1

 

■ 最近の動向に触発されて、この話は地味に広がってる

私がこのあたりの、朝鮮戦争ってその前も凄惨なんだよというのを読んだのは、しかしながらこの著者の話ではない。カナダでなんでだったか忘れたけど何かの記事を読んだのがきっかけ。

なんでカナダかというと、多分一つの理由は、朝鮮戦争のミッションというのがカナダが誇りとする平和維持活動の最初だったから。そして、南朝鮮が先に独立した時、最初に独立承認をしたのが多分カナダ。(調べるのが面倒くさいので後で違ってたら訂正する。)で、承認したはいいけど、李承晩というのがとんでもない独裁者でがっかりした、カナダにとって苦い話なのだ、という流れで読んだ記憶がある。

だから、詳しい人はなにもアメリカにしかいないっつーもんではない。

あと、最近、アメリカが唐突に軍事行動をちらつかせたことに触発されたからなのか、上で書いたような経緯の話があっちこっちの国際政治がらみのサイトに貼ってあるのを見た。

総じていえば、当たり前っちゃ当たり前なのだが、ロシア、中国側から見てる人たちは、日本で私たちが信じてるのとは違うピクチャーがあるんだな、といったところ。で、これまで、それらの人たちの意見やら証拠、ロジックを、要するに、例えば日本に紹介する時に、左翼学者が、とか、共産主義者シンパが、ソ連シンパがこういっている、聞くに値しない、という形にして持ってきて否定する、とかやってたんだろうなぁとか、いちおうこっち(日本)から見ればそれは受け入れられないよなぁとかとか思いながら楽しく読んでる(笑)。

で、最近の動向としては、なんせアメリカが世界中で無理なことをしていることに腹を立てている人が多いため、これもまたアメリカの暴力かみたいな線だけで理解されている節もあって(いやそれはそうなのだが)、それはそれで危ういような、もっと複雑なのだがと、心配になる感じもちょっとある。

 

■ 私なりの興味関心

朝鮮の話がとても難しいのは、これはやっぱり原爆の問題と中国内戦問題と同期して理解すべき問題なんだろうな、というあたり。タイムライン一緒ですから。だからとても複雑で、さらに酷い。

で、そうであるなら、日本の敗戦の様子とも重なる。どうしてあんなに遅くまで敗戦を決断できなかったのだ、というのも原爆開発と絡むからという本が最近出たりしてますね。このへんはやっぱり検証されるべき。

 


 

 

『政治』 ジャンルのランキング
コメント (4)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« ロシアの最高裁、エホバの証... | トップ | 黒海側:トルコ、S-400を買う... »
最近の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
『韓国内戦文学』 (ローレライ)
2017-05-04 06:36:38
『韓国内戦難民』が流入した日本では『韓国内戦文学』と言える物が生まれ、闇に葬られた済州島蜂起が、一個の文学作品のかたちで復元して二十数年をかけて書き継がれた金石範(キムソッポム)の大作『火山島』などが挙げられる。『http://nozaki6.webcrow.jp/z0101.html在日文学素描
』さん☆
ロードナンバーワン (蔵権)
2017-05-04 13:43:43
今回の記事を読んであれはそういう伏線を内包していた話だったのかと思いました。

以前、貴ブログで大河ドラマはナラティブを形成する意図があるということを書かれていましたが、そうした視点で見ると、ストーリーを修正する、過去の伏せられてきた真実を少しずつ開示する動きなのかな、という思いを強くしました。
サンクスです! (蔵権)
2017-05-06 15:07:32
ローレライさんありがとうございます!
さっそくAmazonで注文しました。
ミとニ (通りすがり)
2017-05-07 16:01:31
カミングスとカニングスの表記あり。
m だから「ミ」が正解かと。
コメントならともかく、記事は要訂正かと。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アジア情勢複雑怪奇」カテゴリの最新記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL