DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

プーチン、エルドアンと会う@ソチ&流れと反動

2017-11-14 13:34:59 | 太平洋情勢乱雑怪奇

つい2日前ベトナムで、苦心惨憺の末トランプと会って共同声明を出したプーチンは、今日はソチでトルコのエルドアン大統領と会っていた。

Putin: Joint Russia-Turkey-Iran effort on Syria bears fruit, violence down
Published time: 13 Nov, 2017 18:34
Edited time: 13 Nov, 2017 20:46

https://www.rt.com/news/409770-putin-erdogan-syria-sochi/

ロシア、トルコ、イランのいわゆるアスタナ会議派とでもいうべきユニットによるシリア紛争の決着は、上手く行っており、シリア内の暴力は減っていると両大統領。この3国がギャランターとなって、紛争を抑える働きをしたわけです。

で、その状況に立って、シリア内部の対話を促すというのを最初からやっているわけだけど、これを国連の下に、という形にしたのがこの間の共同声明というところか。

これによって、ISなんかは論外で出て行け、撲滅されろ、なわけだけど、その他にも多数の「反体制派」がいるわけですよ。そのうちの大きな部分は、トルコ国境側のイドリブ県にいる。だから、これを支援している側としては、ここを残したいのでしょうね。でもって、誰がこれを支援しているかといえば、それが西側(米、欧州、日本)だと思う。

シリアを分割しちゃおうという外科的な人たちの試みは完全に挫折されたとはいえ、結局利害関係者が出て行かないことが問題。

でね。この利害関係者が誰なのかなわけだけど、多くの場合、トルコ、イスラエル、サウジが組んでこんなことをしたという話から説き起こされるけど、私はもう一つ上のレイヤーがあるだろうと思っているわけだす。

やっぱりレベノン、シリア、イスラエルという地中海東岸こそ、世界の中心だと認識した人々が世界制覇を狙って、インチキトンチキの話をでっちあげながらイスラエルを作ったという流れを無視すべきじゃないでしょ。問題は最低でもあと100年ぐらい前にさかのぼって掘らないと解明できなさそう。

エルドアンとの対話の内容を尋ねられたプーチンの報道官ペシュコフが、あの共同声明はロシアもアメリカもシリアから軍を撤退させるという話なのかとの質問に、「話はもっとずっと複雑で、公表されることもない」と言ったというのはなかなか意味深だと思ってみたりもする。

Following the Putin-Erdogan meeting, Kremlin press-secretary, Dmitry Peskov, was asked if Erdogan’s calls for US and Russia to withdraw troops from Syria were on the agenda. Peskov replied that the issues discussed between the two leaders were “a lot more complicated and are not to be disclosed.

そもそもこの会合自体、何でやってるのか誰にもよくわからないぐらいだし。一応、トルコはS-400の詳細を詰めて導入を急いでる、みたいなニュースが出てるけど、そんなんじゃないと思うな。

 

でもそんなこと、今シリア、イラク、リビアに生きている人々には関係ないんだから、彼らがちゃんとした生活が送れるよう、ここまでぶち壊した人たちは補償すべき。シリアが、国連にこの被害を見ろ、という訴えを再三出しているけど、これは活かされる可能性はありますよね。ただ、この組織がいつでもそうであるように、だからこそれはイスラエルが悪い、サウジが悪いといった糾弾の方向に行くんじゃなくて、テロリストを装った他国への侵入を禁止するための方策を考える、みたいな方向で採択するとかになる、というのはどうだろう?

サウジがある種の暴発を見せている状態だから、何も終わってないとは言えるし、終わりなどないものでもあるけど、でもトルコ、イラン、ロシアという一定の人口を抱えた現地の国持大名が落ち着いて行動することは安定と平和への大きな一歩だとしみじみ思う。

あと、プーチンとエルドアン、プーチンとローハニ、エルドアンとローハニといったリーダーたちが、ちゃんと会って、会談して、異論は異論で残しながらも交渉しているという姿を見せることはその国の人々にとってとても重要ですよね。

みんな潜在的には疑心暗鬼の世界にいる、その不安を野放しにしないで、不安を感じる必要はないと大枠を示しているようなもの。

風向きは大分変わったと思う。方向性としては、アイデンティティポリティクスを多用したdivide and ruleから調和と妥協へ、といったところ。反動はいつでもあるとしても。

 

■ オマケ

で、日本の中がとてもとっちらかっているのは、この流れに対する反動勢力だからなんだろうと思う。だけど自分が向かう方向を考えて反動しているのではないので(反動ってまぁそういうものだが)、ひたすら混乱しているといった具合。

 

■ オマケ2

またイランがない!

NHKの記事。


ロシア・トルコの大統領 シリア和平協議の進展に期待示す
11月14日 6時58分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171114/k10011222511000.html

確かに、今日会ったのはトルコとロシアだが、中心になっているユニットはロシア、イラン、そしてトルコの順番でしょう。どうしてもイランを抜いてくるこの意味は一体なんなんだろう。前にもあった。

その他奇妙に思ったのは、上述の通り、主要な参加者は、ロシア、イラン、トルコなのだがNHKにはイランの語がない。なぜ3文字がそんなに惜しいの?

シリア和平協議 停戦維持向け予断許さず/nhk

1月24日 5時51分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170124/k10010850511000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_012

シリアのアサド政権と反政府勢力の和平協議が、ロシアやトルコが主導して23日から始まりましたが、互いに相手を非難し、先月合意した停戦を維持していくための具体策で一致できるかどうかは予断を許さない状況です。

宴の始末-II (1): 「NATOはテロ組織をひろげてる」by トルコの国会議員

 

本意は不明ながらも、一再ならずやっているところをみると、イランを含めないことは偶然ではない。しかし、英語の記事を読んでいる限りここが気になったことは記憶にないなぁ。反イランから来るものではないように思う。だって、日経・FTとかイランで商売したがってるもの。日本がまた何か影でやっているということなのだろうか。

インドをアメ側に引っ張るために金出したのと同じように、イランに巨額の投資をして、中露+イランの結束を壊そうとしている、ということか? だから、国民の目には、ロシアと一緒に行動しているイランを伏せようとしている、とか?


 


コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« フィリピン大統領:南シナ海... | トップ | 北朝鮮議会、ロシアの国会議... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
『核の濡れ衣で東側』 (ローレライ)
2017-11-14 19:14:47
『核の濡れ衣で東側』なのがイランであるから、『ロシアとは濡れ衣連合』であるのはトランプ大統領でも変わらなかった。オバマはイラン懐柔を進めたが。
イランが重要すぎて (ブログ主)
2017-11-14 19:25:16
ローレライさん、

そうそう、オバマは懐柔したわけですよね、EUとかと一緒に。しかしトランプは親イスラエル政権であることが重石になってここをハンドルしきれない。どうするつもりなのか。湾岸まとめて考えるって感じなんだろうか。
現状、西側はアメリカの制裁が怖くて投資できない。フランスがちょっと出て行ったぐらい。ロシアだけでは無論足らない。中国はちょっとまちまち(多分)。みんな投資したいのにね。
Unknown (И.Симомура)
2017-11-14 22:57:45
「イランへの言及がない」との指摘で思い出しました.三年前の五月八日,NHKは朝の『今日はなんの日』というプログラムで,「1945年の今日5月8日は,ナチスドイツがアメリカ,イギリスをはじめとする連合国に降伏した日です」と放送したのだ.ロシア連邦やソビエト連邦の戦争努力への言及は一言もなかった.ナチスドイツは確かに同日夜11時過ぎ,米と英に降伏したのだ.調印場所はフランスのランスだった.英国は西ヨーロッパ夏時間をとっていたため、5月9日0時01分となった.ソ連赤軍への降伏はベルリンで行われ,ベルリン時間5月9日午前0時15分、西ヨーロッパ夏時間では5月8日午後11時15分、モスクワ夏時間では5月9日午前2時15分であった(一部Wikipediaより).NHKは当事国の夏時間制度や時差の発生することを巧妙に利用して,ロシア軍やソ連邦の多大なる貢献を貶めるべく,かかる放送をしたのではないか.私は『コンバット』を楽しみにして視て育った.あの世代の人ならば,欧州解放はアメリカによってなされたと考える者もいることだろう.いやナチスドイツはロシアを侵略しなかったと考える人もいるのではないか.まだまだある.主流新聞で,「ウクライナ内戦で大量の難民が発生した」との報道が行われた.しかし,難民の避難先がロシア領内であることを指摘しないのだ.分かっているのに,真実を知らせない.危険な存在だ.
冷戦で隠したもの (ブログ主)
2017-11-14 23:36:32
И.Симомураさん、
大変ありがごとうございます。現在、そういうお話がとても重要だと思っています。

なぜなら、現在のいわゆるアメリカ覇権なるものは、半分以上メディアによるナラティブ(物語)管理による支配、つまり人々の認識を操作して政治、経済を操ろうという仕組みだ、と私は考えているからです。

しかしながら、現在のフェーズを見るにこの嘘ではもはや成り立たないだろうと考える人も多くなり、だからこそ、それを防止するためにまた嘘がひどくなっている一面もあるのだと思います。

いろいろ書いてくださいませ。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

太平洋情勢乱雑怪奇」カテゴリの最新記事