DK大衆食の旅3

路麺好きがそんな感じで巡る大衆食の旅。

かしん@京成稲毛【閉店】

2017年04月06日 | 大衆食堂
大型車やトレーラーがひっきりなしに行き交う。
京葉工業地帯の大動脈、千葉街道。

検見川を越え、東関道と交差し、いよいよ道幅も広くなったその少し先の薄暗き側道。



ちょっとしたヒーリングスペース。
日夜止まることのないドライバー達に束の間の休息時間を与えていた。



その脇に、高台に沿って建つ一軒の深夜食堂。



かしんである。

母娘で切り盛りする手作りの家庭料理がウリの定食屋。



長細き店内のカウンターに座り、酎ハイと定食を頼む。



3月末をもって閉店との事で、挨拶される地元のファンが続々と。
しばらくして



大変お待たせしました!と届いたハムカツ・唐揚げ定食900。

山盛りライスに生卵、手作りのお新香、



そしてこのハムカツ、唐揚げ。どれもはげしくうまかったのだけれども



自分の琴線に触れたのは味噌汁であった。

きちんと出汁を取った鰹節の良い香り。
そこに玉ねぎの甘みとしゃりとした食感が相まって。
真夜中のロードサイドでこの味噌汁が供されるという事実。誠に素晴らしい。



各家庭で毎朝出汁が取られ、食卓に並ぶ料理に用いられた日本という国は、いつくらいまでだったろう。
家庭料理を謳う店は多いが、今日び一から出汁を引く店などまず出会う事はない。

自分は汁愛好家である。
立ち食いそばが好きなのも、そういった手間を惜しまない店が未だ在るからだ。
そこに想いや愛情が込められている事を感じとるからなのだ。



そしてかしん。この味噌汁から立ち昇る湯気に、真夜中に日本の工業を影で支える人々に対する、真のホスピタリティを思わずにはいられなかったのである。