雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

中野のお父さん

2016-05-12 21:00:00 | 

北村薫著"中野のお父さん"を読みました。
題名から家族の話かと思っていました。
連作短編集です。
二十台後半の編集者の田川美希が何が問題に出会ったときに
中野の実家に帰って父親にその話をします。
お父さんはたちどころに問題を解決してくれます。
お父さんは定年間近の国語教師です。

仕事上でのちょっとした不思議な出来事や、文学上の
薀蓄話です。
お父さんは知識豊富です。
話を聞くとさっとそれに関連した書物を取り出してきます。
美希は初めて父親の能力に気がついたみたいに書かれています。
仲のいい親子、夫婦です。
こんな家族なら昔から父親の能力がわかっていそうなものだと
いう気がします。

文学のあれこれの細かな話は、きっとこういう話が好きな人
には、のめり込んでそうだそうだと言いたくなる話
なんでしょうね。
あいにく私にはぜんぜんわからなくてふーん、そうなの
みたいな感じで申し訳ない気がします。

最初の"夢の風車"が一番好きかな。
出版社が主催するミステリィの新人賞の受賞候補の一番手に
上がった人に連絡すると今年は応募していない、応募したのは
一昨年だというのです。
大学を舞台にした作品です。
確かに一昨年に同名の作品が応募されており問題にもされて
いません。
お父さんはいとも簡単に解決してみせます。

お父さんの雰囲気がいいです。
文学の薀蓄を語るお父さんは作者の北村さんの姿なんだろうかと
思いをはせました。

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