雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

その名もエスペランサ

2014-10-01 21:00:00 | 

徳永圭著"その名もエスペランサ"を読みました。
本郷苑子は新卒で就職した会社が倒産後、英語を活かして
派遣社員として働いてきました。
真面目で全力で仕事に向かう人です。
前の職場では失敗を押し付けられ居心地が悪くなり辞める
に至りました。
今回の鈴並工業はエンジンを作っているメーカーです。
所属は生産管理です。
部品の調達を管理して生産に支障がないようする部門です。
英文事務だと聞いていましたが座って仕事をするだけで
なく工場に出かけて部品を探す仕事もあります。
部品を供給してくれるサプライヤーとの交渉も仕事です。
苑子に仕事を教えてくれるのは作田です。
作田にエンコと呼ばれます。

鈴並ではスペインのバルディのエンジンを作る話が
進んでいます。
エンジンの名はエスペランサ、スペイン語で希望です。
エスペランサ・プロジェクトに苑子も加わります。
エンジンは試作段階です。
競争相手がいて少しでも問題があれば難癖をつけられて
契約が取り消されてしまうかもしれない危機的な
状況です。
エンコのミスで部品の供給が遅れる事態となります。

メーカーで働く女性の派遣社員の仕事小説です。
私もメーカーで働いていましたので雰囲気はわかります。
私も派遣社員でしたがあまりそのことを意識したことは
ありません。
社員、子会社の社員、派遣社員、パートの人など様々な
人で入り乱れていました。
私は立場を考えて働くということが頭から抜けていて
普通に働いていました。
現代の会社の形態は前面に出ている会社名の正社員が
えらいのだとは今では思われていないのではと思います。
いろんな人が集まった混沌とした状態そのものが
会社を形成しているように思います。
とはいえ方向を決め最終的な決断は社名となっている
会社の社員が決定するわけですから他の立場の者は
不満を抑えて働く場面も当然発生します。

エンコのように自分の失敗で数千万、数億の損失に
繋がるかもしれないという仕事はしたことがありません。
エンコは命令されたことを確実にこなすだけという
姿勢から別の方向に進んでいくことでしょう。
おもしろかったです。