Air+crymoon

お題小話メインに気紛れかつ不定期に。
色々ごった煮の無節操さが持ち味です。

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雰囲気5詞:還  04.願いのおわりに

2013-10-05 23:42:40 | 選択式
 そんな未来は来ないのだと、一度認めてしまえば後は下り坂を転がり落ちる球体のように、ただ為すがまま、あるがままを受け入れるだけでよかった。むずかしいのは、その、たった一度を認め、受け入れ、許容すること。そして、僕と彼女の一番の違いは、それができるか、あるいはできないかということがすべてだった。
 彼女は何かを始める前にそれを諦めることのできる人で、それ故に傷つくべきことで傷つかず、傷つかずに過ぎ去るはずだったことに胸を痛める。その有り方を、正しいだとか正しくないだとか、そんなことばで表すことはできなかった。これは彼女の根幹を成すもので、言ってみれば彼女を彼女たらしめる、ほとんど絶対に属する何かだった。
 折に触れて彼女はひどく曖昧な笑みを見せた。何かを決めかねるような、ひどく曖昧な笑み。
 思えばそれは、始まる前から彼女の中で何かが終わったことの証左であったのかも知れない。
 祈りの行く末、願いの彼方。
 思いの来し方、望みの此方。
 はじまりのおわり、はじまらなかった願いのおわり。
 いつだって彼女は曖昧に笑う。まるでそれこそが、彼女の望みであったかのように。
 彼女の笑顔を思い出しながら、彼女のことば一つ思い出せないことに気づく。頭の中にリフレインする彼女の姿。笑みをかたどった唇が紡いだことばを、僕が思い出す日は、きっと、来ない。

 
 * * *

 最初と最後がまるでつながっていないことは秘密。



雰囲気的な5つの詞(ことば):還
01.まるできせきのような
02.いつか来る日々に祈る
03.葬列の行く末
04.願いのおわりに
05.そして辿り着く場所
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365.半オクターブの恋

2013-10-05 02:09:29 | 選択式
 付き合ってみる? と、冗談めかして言ってみたら、ひどく真剣に(それでいてとても優しい笑顔で)いいよ、なんて言われてしまって、言ってみただけ、なんてそれこそ冗談でも言えなくなってしまった。きっと、冗談だよ、と、言ったとしてもあの人は笑って許してくれるのだろうけれど、何となくそれはできない気がして私は曖昧に笑った。
 私たちの間には一体何があるのだろう、と考えて、考えれば考えるほどに実は何もないのではないかと薄ら寒い気持ちになった。恋情だとか、愛情だとか、そういうものは私たちの間にはきっとなくて、強いて言えば同族意識、強いて言えば決して交わらない平行線、そんな相反する何かが絶妙に拮抗した結果の今この瞬間の共有。それが私たちの間にあるすべて。そんな気がした。

 夜半少し前、ガラス越しに通り過ぎるネオンとヘッドライトの眩しさに目を細め、運転席に座るあの人の横顔を垣間見る。
 そして考える。
 あの人の傍らにいる私、私の傍らにいるあの人。
 それはあり得べき未来か、それとも、決してあり得ない未来か。
 答えは出ない。
 だって、そんな光景は想像の埒外。
 いいよ、と呟いたあの人の声。
 反射するヘッドライト。
 まるでそれは幻想。
 目を覚ませば消えてしまう夢の泡沫に似て、何も成さず、何も残さず消滅する感情の断片。
 繰り返し言い聞かせる。この感情は恋じゃない。
 それでいて恋情によく似た何か。それでいて恋情とは逆ベクトルの感情の齟齬。
 それでいて、でも、それでも。

「……試しに、付き合ってみる?」
 ガラスに映り込む笑顔のあの人が言い、
「………」
 ほとほとと涙を落とすことに忙しい私は、頷くことも首を振ることもできなかった。


 * * *

 ポエミーな話になってしまった…そして何が言いたいやら。後半は音のリズムだけでことばを選んでいるので、いっそ空気感だけ拾って頂ければこれ幸いです。……そうだ、確か、口は災いの元、みたいな話が書きたかった……のか?(無理がある)
 最近ゲーセン通いをしてmaimaiを頑張っていたりします。レーティングは5.5辺りでふわふわしています。
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448.寄り添う影

2013-04-26 01:34:41 | 選択式
 叶わないからこそ願えること、というのはきっとあって、すなわち、その願いが叶うことは決して望んでいないという、ひどい矛盾の上に成立する願望を誰しも持っているのだと思う。
 叶わないからこそ望めること。つまり、絶対に不可能であるとか、または、叶ってしまうことで何か大事なものがうしなわれるとか。願望のままであるからこそ意味を持つ何か。そういう矛盾を、多かれ少なかれきっと誰もが抱えている。
 その願望が意識の上に上ってくることはきっと多くないけれど、生きていく中で折に触れて、日常の端境に見え隠れするもの。
 叶わないと知っていて、それでいて切に叶わないことを願い、同時に、他の何と引き替えにしても構わないから叶って欲しいと祈り切望する。
 少なくとも、僕は常にそんな矛盾した感情とともにある。
 きっかけなんて覚えていないけれど、いつの頃からかまるで影のように常にそばにある願望。
 それは、



 * * *


なんとここで終わり(ぇー)続きも考えたのですがどうしても収まりが悪いので、ここで終わりです。続きはお任せします(…)
本当は長い長い話を書きたいくらいのテーマで(ちなみに似たような内容のレポートを書いて学校に提出したことがあります/笑)、私の一つの人生訓のようなものです。
叶わないことを願う。そんな未来、奇跡が起こらないことを祈る。それは、何かが起こることを願うよりも難しいような気がする…というような話です。
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雰囲気5詞:還 03.葬列の行く末

2013-04-08 23:43:37 | 選択式
 古い映画の中で、真っ赤な彼岸花が咲く道を、粛々と進む葬列を見た。それはあまりにも現実離れしていて、それでいてあまりにも美しかった。
 死は平等であるというけれど、それはきっと半分正しくて半分間違いだ。
 単純な事象としての死は、いつの日にか等しく万人(万物というべきか)の上に訪れる。けれど、その形は平等ではあり得なくて、結局、万物のあり方は平等とはほど遠いのだと思い知らされる。
 それでいて死はあまりにもあいまいな事象だ。(だって、自分自身の死は決して見ることができない。)
 彼岸花の中をゆく葬列は、粛々とおそろしいまでに美しくて、その行く末は穏やかな眠りなのだろうと思った。
 のこされた人々は、やがて悲しみを昇華し生きてゆく。彼の人がいようといまいと、時は流れ、日々は巡ってゆく。
 ふとした瞬間に想うこと。
 日々の狭間に悼むこと。
 やがてそれさえもなくなるのかも知れないけれど、あの、まるでつくりもののような(事実、映画という虚構の中のつくりものではあるけれど、)葬列の美しさだけは、決して忘れない。
 彼の人と過ごす日々は、葬列の道行きに似ている。
 まるでつくりもののように美しく、それでいてあまりにもあいまいだ。
 渦中にいるはずなのに、まるで他人事のような気さえする。それは、決して見ることの叶わないはず自分自身の死を俯瞰するような非現実さに似ている。
 彼の人の(傍らにいる自分自身も含めて)存在さえも虚構のようで、折に触れて不安になる。本当に私は(彼の人は)ここにいるのだろうか、と。
 真っ赤な彼岸花と葬列。
 それが誰のための葬列で、どこへ向かうのか、私は知らない。

 * * *

1と2の続き? でもないような、掠めているような。
勢いで書いたら変な話になりましたが、構成としてはまずまず私らしい文章になったかなと。
ことばがしっくり来ないところもありますが、ちょっとどうにもならなかったのでそのままup。
情景が何一つないので小話ともいえない…まァモノローグとしてさらりとお読み頂ければ良いかなと思います。
ちなみに私は彼岸花が好きです(聞いてない)


雰囲気的な5つの詞(ことば):還
01.まるできせきのような
02.いつか来る日々に祈る
03.葬列の行く末
04.願いのおわりに
05.そして辿り着く場所
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雰囲気5詞:還 02.いつか来る日々に祈る

2013-03-31 00:28:37 | 選択式
『信じられないのは、信用していないから?』

 そう、彼女に言ってからひどく後悔した。
 少なくともそれがその瞬間の僕の本心であったことは否定しないけれど、それを彼女に伝えたところで何も変わらない。きっとそれは彼女も気づいていて、彼女が何も言わなかったことに僕は(ひどい話だけれど)ひどく安堵した。
 自分自身のことは自分が一番よくわかる、なんて、多分嘘だ。自分自身は一番近しい他人であって、近しいが故に本当のところなんて一番わからない。
 彼女がどう思っているかはわからないけれど、結局、僕自身がどうしたいのかすらわからない以上、感情のあいまいさを指して彼女を責めることなんてできない。
 ことば一つで他人同士が近しくそばにあることはむずかしい。
 けれど、ことば一つで何かを永遠にうしなってしまうことは、きっと少なくない。
 叶うならうしないたくないと、まるで他人事のように願った。
 あいまいなままでいいから、(明確なものなんていらないから、)と。
 いつか来る(かも知れない)、彼女が傍らにある(かも知れない)日々を、と、祈る。
 どうか、

 * * *

 1の続き。というか、裏側。
 個人的にものすごく不完全燃焼なんですが、どうしてもこれ以上も以下もなかったのであげてみました。
 これ5話続くのかな……あ、いやいや頑張りますよ?(…)
 ちなみに自分自身は一番近しい他人、というのは私の持論です。


雰囲気的な5つの詞(ことば):還
01.まるできせきのような
02.いつか来る日々に祈る
03.葬列の行く末
04.願いのおわりに
05.そして辿り着く場所
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