妄想特急劇場も、始まってすでに半年近く経過。
よ〜やっと、『そもそもの始まりの場面』にたどり着きました!
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9月中旬の土曜日。いよいよ文化祭当日!
この学校は、高等部も同じ日が文化祭だから、かなり大規模なお祭りになる。
それに、普段は別校舎の男子部生徒も女子部にやってくるから、
(もちろん逆も!)学園中が何となくうきうきしている感じ。
我が美術部毎年恒例、講堂の壁画も無事に完成した。
美術部員一丸となって仕上げた絵は、予想以上の出来栄えだった。
そしてこの壁画は、毎年よく待ち合わせ場所に使われているみたいで、今も何人かが壁画の前で待っている。
私は、その壁画が良く見える、女子部校舎の屋上から下を眺めていた。
美術部の出し物は、これも毎年恒例なんだけど教室を1つ使っての作品展示。
部員は交代でその会場の見張りをするんだけど、私はもう当番が終わって今は自由時間。
ここで由紀と待ち合わせをして、これから一緒に校内を回るつもり。
「やっほ〜♪睦月ぃ。待ったぁ?」
振り向くと由紀だった。実行委員おそろいのスタッフTシャツを着ている。
「ううん。そんなに待ってないよ。」
「しかし、何で待ち合わせ場所がここ?どうせなら、あの壁画の前にすればよかったのに。」
「ええ〜…だって、何か恥ずかしいんだもの。」
「も〜、メインデザイナーが何を言ってんの。そうそう。」
由紀が手に持っていた男子部の文化祭パンフレットをひらひらさせながら言った。
「でぃあボーイ君も壁画前で待ち合わせだってさ。誰と待ち合わせなんだろうね。」
「…!」
由紀もでぃあボーイ君も同じ実行委員。お仕事当番表によると、
さっきまで一緒に中学部のインフォメーションセンターにいたみたいなんだ。
「ああ、噂をすれば、ほら。」
スタッフTシャツ姿のでぃあボーイ君が走っていた。
そして、壁画の前に立っていた小柄で華奢な女の子の前まで来て、何やら話している。
「…あれが、『例の野球部の子』?」
「ううん、違うみたい。あの子よりは背が高かったし…。」
私、屋上のフェンスからちょっと身を乗り出した。うん。あの子は野球部の子とは別人。
って事は、あの子は誰?
「え?それじゃ、誰?あの子。『第3の女』出現?」
「何それ。」
ええ〜、もしかして、本当にホントの彼女?
オロオロしている私を尻目に、由紀ってば!
「本人に確かめてみればいいのよ。」
と、言ったかと思うと、
「ヤッホ〜!でぃあボーイ君!」
…うそ!屋上からそんな大音量で叫ぶ?!
「ちょ!ちょっと由紀!」
でぃあボーイ君がこっちを見上げるのと、私が由紀を羽交い絞めにしてフェンスから引き剥がすのとはほぼ同時。
み、見られてないよね。こっちの事。
「もぉ〜!由紀ってば、信じられない!」
「だって、チャンスじゃない。これで睦月もモヤモヤから開放されるかもよ?」
「…そうかもしれないけど…。」
「ああもう!行くよ!」
「ど、どこへ?」
「決まってるでしょ!でぃあボーイ君のところじゃない!ほら!」
由紀が強引に私の腕をつかんで、階段へと走り出した。…私は…。
私は由紀に引っ張られるまま、階段を駆け下りた。
昇降口を出ると、講堂は目の前で、でぃあボーイ君と小柄な女の子が壁画の前に並んで立っていた。
…そして、もう一人…野球部の子だ!今日は麦藁帽子をかぶっている。
「ああ、やっぱり深堀さん。大声で呼ぶから何事かと思ったよ。」
「ごめんね〜、女の子と親しげに話してるから、睦月が気にしちゃってさぁ。」
由紀ってば、ずっと階段を駆け下りてきたのに息一つ乱してない。
さすが、去年のマラソン大会の上位入賞者…私なんて、もう息絶え絶え。
「由紀!…き、気にしてないからね!別に!」
もぉ〜!つくづく何てこと言い出すのよ!反論したいんだけど、息が切れてうまく言葉が出てこない〜…。
そんな私たちのやり取りを見て、野球部の子が麦藁帽子のつばを上に上げながら言った。
「で?どっちがあんたの彼女なの?」
「…☆☆!!」
その顔を間近で見てびっくり!…女の子…じゃなくて、女の人だ!
小柄だから子供かと思ってた!しかも、もしかしたら…。
「初めまして〜。でぃあボーイの母です。こっちはこいつの妹。」
「凛子です。初めまして。」
私、一気に気抜けしちゃった…。
野球部の子って…お母さんだったんだ。
まさかそんな年代の人が野球のユニホームなんて着るはずないって思い込みがあったから、
本当のことが見えなくなっちゃったんだ。でもそうか、だから、でぃあボーイ君より年下だとは思えなかったんだ。
「か〜ちゃん、どっちもオレの彼女じゃないってば。」
「あら、そうなの?あんたが『関田さん』連呼するから、てっきり…。」
「だって、彼女はこの壁画の元絵を描いた人だからさ。」
お母さんは、壁画を見上げて開口一番。
「ああ、これは『愛』がなくちゃ描けない絵よねぇ。」
え?!愛?
「本当に力作。いい記念だから、写メ撮っとこ。」
そう言うと、ショルダーバッグから携帯を取り出して、写真を撮った。それから、私の方に向き直って、
「あなたが噂の関田さんね。いつも席次表で息子のすぐ下に同じ名前があったから、
息子ってばずっと気にしてたのよ。」
「!」
「それが、今年の5月だったかな。やっと『例の彼女に会えた。』って、そりゃ〜嬉しそうに…。」
「か〜ちゃん!」
「何よ。」
「バザー会場行くんじゃなかったっけ?場所がわからないから案内しろって言ったじゃん。」
この文化祭では、女子部の体育館で父母会主催のバザーも催される。お古の制服や通学鞄も出品されていて、
市価の半値以下で手に入るから、毎年大盛況なの。
「ああ、そうだったわね。早く行かないと、あんたのズボンが売り切れちゃう。」
「そうそう、早く行こうね。…じゃあ、またね。」
でぃあボーイ君、お母さんを引きずるようにして行っちゃった。後には私と由紀が残された。
「…でぃあボーイ君の彼女疑惑が解消したわね。」
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というわけで、屋上から声をかけてきたのは由紀ちゃんでした〜♪
我ながら意外な展開になってしまいました。
…しかし、約半年かかってよ〜やくここまでたどり着いたというのも、
何だか感慨深いものがあります。
この続きも、また書けたら、ちんたらアップしていこうと思いますのでよろしく。
(余談ながら、『ちんたら』って鹿児島の方言だったんですって。テレビでやってた。)