虎の門針灸院ノート

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呼気流量の低下が喘息発症に先行する

2012-03-31 10:08:20 | 医学一般の話題
人生の早い段階で喘息と呼吸機能は関係し、乳児の呼気流量の低下はその後の喘息発症を予測すると報告されています。

小児喘息のコペンハーゲン前向きコホート研究(The Copenhagen Prospective Studies on Asthma in Childhood , COPSAC)で、411名のリスクのある子供の内、出生時317名(77%)、7歳の時点で403名(98%)をスパイロメトリーで検査。

7歳の時点で喘息を発症している子供(14%)は、新生児の段階ですでに呼気流量の低下(FEF50 reduced by 0.34 Z-score by 1 month, p=0.03)を有しており、この減少傾向はその後も大幅に進行(FEF50 reduced by 0.82 Z-scores by age 7, p<0.0001)しました。

呼気流量の低スコアは出生時に約40%存在し、その60%が、臨床的に喘息発症に伸展しました。

皮膚プリックテスト、IgE、好酸球数および、アトピー性皮膚炎は独立した因子ではありませんでした。

喘息の起源と予防の研究は、出生前後の人生の早い段階で考慮する必要があると著者らは述べています。

Bisgaard H, et al
Interaction between asthma and lung function growth in early life
Am J Resp Crit Care Med 2012; DOI: 10.1164/rccm.201110-1922OC.
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LDLコレステロール値は心血管イベントリスクと関連しない

2012-03-30 10:04:42 | 医療への疑問
スタチン(コレステロール低下薬)治療を受けている患者の調査で、LDLコレステロール値は心血管イベント発症とは相関しなかったと報告されています。

研究デザインは、無作為化比較スタチン試験のメタアナリシス。1994年〜2008年までに公開された8試験の登録患者62,154名の患者データより、スタチン療法に割り当てられた38, 153名を1年間フォロー。

158名が致命的な心筋梗塞、1,678名が非致死性心筋梗塞、615名が他の冠動脈疾患による致命的なイベント、2,806名が不安定狭心症で入院し、1,029名が致死的または非致死的脳卒中を発症。

1-SD増加毎の主要な心血管イベントの補正ハザード比(HR)はLDL-Cは1.13 (95% CI, 1.10-1.17)、非HDL-Cでは1.16 (95% CI, 1.12-1.19)、アポB(apoB)は1.14 (95% CI, 1.11-1.18) でした。

結果は、非HDL-Cで有意に高く、アポBとLDL-C(P = 0.21)では有意差は認められませんでした。

総コレステロール値からHDL-C値を差し引いた値が相関したということですが、疑問が残ります。

さらに言えば、スタチン治療に意味があるのでしょうか。心血管イベントの発症は合計5,257名で13.8%です。脳卒中も含めると6,286名で 16.5%にもなります。何れも、僅か1年間に発症したものです。治療効果があったとは思えませんが。

S. MatthijsBoekholdt, Benoit J. Arsenault, Samia Mora, et al.
Association of LDL Cholesterol, Non?HDL Cholesterol, and Apolipoprotein B Levels With Risk of Cardiovascular Events Among Patients Treated With Statins A Meta-analysisS.
JAMA. 2012;307(12):1302-1309. doi: 10.1001/jama.2012.366
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アスピリンには発癌・転移・死亡の予防効果がある(22日記事の補足)

2012-03-24 09:00:26 | 医学一般の話題
アスピリンの常用による癌への効果は、癌の病態にも炎症が関与するためと紹介しました(3.22)。アスピリンの抗癌作用はこれまでにも多くの研究がありましたが、常用によって、発癌の予防と癌転移・死亡が減少したとする、新しい2つの研究報告がありますので紹介します。

1つ目は、アスピリンの連日投与による血管イベント予防効果を評価した大規模無作為化試験で、癌に罹患した約2万人の患者を対象にしてアスピリンの癌転移予防効果を検証したものです。

17, 285名の参加者の内、987名が6.5年(SD 2.0)のフォローアップ期間中に固形癌(solid cancer)を発症。

対照群と比べ、アスピリン群で全癌の遠隔転移リスクのハザード比が0.64( hazard ratio [HR] 0.64(95% CI 0.48 - 0.84, p=0.001)と4割近く減少。腺癌 adenocarcinomaは HR 0.54 (95% CI 0.38 - 0.77, p=0.0007)とほぼ半減し、その他の固形癌ではHR 0.82 (95% CI 0.53 - 1・28, p=0.39)でした。

特に、大腸癌ではHR 0.26 (95% CI 0.11 - 0.57, p=0.0008)と、73%減少しています。

診断時に転移のなかった腺癌の患者の死亡リスクは、HR 0.50(95% CI 0.34 - 0.74, P = 0.0006)に半減。致命的な腺癌はHR 0.65 (95% CI 0.53 - 0.82, p=0.0002)でしたが、その他の致命的な癌ではHR 1.06(95% CI 0.84 - 1.32, p=0.64; difference, p=0.003)と、差はありませんでした。

アスピリンは、致命的な癌の全てに効果がある訳ではありませんでした。

効果は喫煙者で最も高く、血小板を抑制するために投与された低用量でも高用量と同様の効果がありました。また、念のために言いますと、アスピリン(例えばバファリン)は胃潰瘍には禁忌です。アスピリンの抗炎症作用はプロスタグランジンを抑制することによります。プロスタグランジンは炎症を増強する反面、粘膜の修復・再生を促す働きがあるため、アスピリンによって胃粘膜の修復が阻害され出血を起こします。


Rothwell PM et al.
Effect of daily aspirin on risk of cancer metastasis: a study of incident cancers during randomised controlled trials.
The Lancet, Early Online Publication, 21 March 2012.

2つ目は、癌の発生・死亡へのアスピリンの短期的効果を検証した研究です。アスピリン連日投与による血管イベント予防効果を評価した、51件の無作為化試験を対象にしています。

アスピリン群と対照群を比較した癌死亡のオッズ比は0.85(死亡数562名 vs 664名 ; odds ratio [OR] 0.85, 95% CI 0.76 - 0.96, p = 0.008 ; 34 trials , 69, 224名中)。5年以降では特に顕著で、OR 0.63(92 名vs 145名 ; 95% CI 0.49 - 0.82, p = 0.0005)と、約4割減少。

低用量での1次予防に関する31件の試験では、男女とも3年以降の癌発生がOR 0.76に減少。

アスピリンの服用による主要血管イベントの減少は、当初は大出血のリスク増加によって相殺されますが、その後リスクは減少します。癌による死亡の絶対的減少も3年以降増加します(3.13 [95% CI 1.44 - 4.82]per 1000 patients per year)。

また、主要な頭蓋外出血による死亡は、コントロールと比較してOR0.32 (8/203名 vs 15/132名;, 95% CI 0.12 - 0.83, p = 0.009)と、アスピリン群で約7割減少しています。

Rothwell PM et al.
Short-term effects of daily aspirin on cancer incidence, mortality, and non-vascular death: analysis of the time course of risks and benefits in 51 randomised controlled trials.
The Lancet, Early Online Publication, 21 March 2012.
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血圧値の左右差は高血圧患者の死亡リスクの予測となる

2012-03-23 10:16:09 | 医学一般の話題
左右上腕の収縮期血圧の違いは、高血圧患者の10年間における心血管イベントおよび全死因死亡のリスク増加を予測することができると報告されています。

血圧の左右差は、心血管リスク増加の貴重な指標となる可能性があり、両側の血圧測定は、プライマリケアにおけるルーチンな心血管系評価法となると述べられています。

高血圧の治療を受けている患者230名を対象にしたコホート研究(イギリス、デボン州の農村部)。フォローアップは中央値で9.8年、この期間中の全原因による心血管イベントおよび死亡を測定。

その結果、全患者の24% (55/230)が10 mm Hg以上の収縮期血圧平均値に左右差があり、9% (21/230)が15 mm Hg以上の差がありました。

全原因死亡の補正ハザード比は、3.6( 95% confidence interval 2.0 to 6.5)と、3.1(1.6 to 6.0)で、約3倍高くなりました。

これに対して、心血管系疾患の既往の無い183名の血圧値の左右差では、10 mm Hg および15 mm Hg以上はそれぞれ2.6(1.4 to 4.8)と、 2.7(1.3 to 5.4)でした。

心血管系疾患が無い人でも、危険性は2.6-2.7倍高いと言えます。

教科書的にも、プライマリケアにおける初期血圧測定の際、左右の血圧値を測定することが推奨されています。ついでに言えば、各腕の3回測定後の平均値を評価することが必要です。左右の違いには、多くの意味が含まれていると、改めて納得できます。





Christopher E Clark,et al.
The difference in blood pressure readings between arms and survival: primary care cohort study
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e1327 (Published 20 March 2012)

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アスピリンは癌を防ぐか(慢性炎症の概念)

2012-03-22 14:55:03 | 医学一般の話題
“abcNEWS”で「Aspirin Prevents Cancers?」と、アスピリンで癌が予防できるか?と、報じられていました。この問題は、「炎症」に関する最近の話題と関連しますので、少し紹介します。

アスピリンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症剤)を服用している人では発癌率が低いとする研究が、1980〜90年代にかけて次々と報告されました。

癌の20%に感染が関与し、感染による炎症が癌を成長・促進させます。また、感染を原因としない癌でも炎症類似の病態があり、炎症を抑えることで腫瘍の消失が見られます。

炎症性メディエーターである、COX-2、NF-κB、STAT3、プロスタグランジンなどが活性化することで、癌細胞のアポトーシスの抑制、増殖因子の間質からの放出や、血管新生の誘導などによって癌免疫が抑制されます。

最近では、生活習慣病は慢性炎症性疾患と考えられています。肥満した脂肪組織では炎症が起きますし、2型糖尿病も、炎症によるインスリン抵抗性の惹起や、膵臓のランゲルハンス島に炎症が見られます。慢性腎臓病も尿管間質の炎症が予後を左右し、心臓でも、炎症による血管新生の不足によって心不全を起こすなど、炎症が病態に共通するファクターとして注目されています。

メタボリックシンドロームのように、複数の臓器に病態が進行していくものは、「慢性炎症」という概念で捉えることで病態の共通性が見えてきます。

癌の発症に限らず、慢性炎症は癌の転移、動脈硬化、肥満など、あらゆる疾患の発症・病態に関与していることが分かってきており、生命の根幹に関わるものとさえ言われています。

今後は、「慢性炎症」、「自然炎症」、「自己炎症」のような、これまでの急性炎症とはメカニズムの異なる炎症の解明が、個別の臓器・疾患を超えて共通する新しい病気の概念となる可能性があります。そして、そのバックグランドには免疫細胞が重要な役割を担っています。

簡単に言えば、免疫システムの暴走があらゆる疾患の発症・悪化に関与していると言えます。

・Thum, M. J, et al. : N.Engl. J. Med., 325: 1593-1596, 1991
・Oshima, M. et al. : Cell, 87: 803-809, 1996
・Grivennikov, S. et al., Cancer Cell, 15: 103-113, 2009
・Donath , M. Y. & Shoelson, S. E. : Nat. Rev. Immunol., 11 : 98-107, 2011
・Nangaku, M. : J. Am. Soc. Nephrol., 17 : 17-25, 2006
・小川佳宏他, 実験医学Vol.29 No.10 : 1498-1507, 2011
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起立性低血圧は心不全を予測するリスク因子になると報告

2012-03-22 10:59:20 | 医学一般の話題
入院や死亡証明書の疾病コード(certificate disease codes. Over)から、心不全の患者12,363名を対象に起立性低血圧との関係を調査したところ、多変量調整ハザード比で、46%(hazard ratio: 1.54 [95% CI: 1.30?1.82])のリスク増加と関連しました(フォローアップ期間は17.5年)。

また、55歳以下では、ハザード比(HR)は1.90(hazard ratio: 1.90 [95% CI: 1.41?2.55])と、約2倍になり、55歳以上では、HR 1.37 [95% CI: 1.12?1.69]; interaction P=0.034)でした。

但し、高血圧の患者を除外すると、HR1.34 [95% CI: 1.00?1.80])と、やや減衰しました。

起立性低血圧は、長年にわたる、仰臥位から立位への位置変化で、収縮期血圧20mmHg以上または拡張期血圧10 mm Hg以上の低下と定義されています。

起立性低血圧のメカニズムが不明確なことと、観察的研究としての限界があります。

研究グループは、起立性低血圧は早期の無症候性アテローム性動脈硬化症のマーカーの1つと成りうること、それは高血圧によって促進されると、推測しているようです。

しかしながら、そもそも心不全は病名ではありません。心臓のポンプ機能の障害により、体組織の代謝に見合うだけの十分な血液が供給できなくなった状態を指します。原因も様々であり、明確な診断基準がある訳ではありません。

Jones CD, et al
Orthostatic hypotension as a risk factor for incident heart failure: the Atherosclerosis Risk in Communities Study
Hypertension 2012; DOI: 10.1161/HYPERTENSIONAHA.111.188151
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病院前エピネフリン使用は心肺蘇生後の生存率を下げる

2012-03-21 11:06:14 | 医療への疑問
院外心停止患者に対する、救急隊員による静脈内エピネフリン(アドレナリン薬;商品名ボスミン)投与は、心肺蘇生率は上げるものの、1ヶ月後の生存率は下げると報告されています。

18歳以上の、2005−2008年までに発生した心肺停止患者417,188名(OHCAs(observational propensity analysis of data)のデータを対象にした、前向き非無作為化研究。観測傾向分析は、救急医療サービス(EMS)職員が到着する前にOHCAによる処理。

主要評価項目は心肺蘇生と、心停止後1ヶ月後の生存率および、脳機能カテゴリーの評価(Cerebral Performance Category [CPC] 1 or 2)と、生存全体的なパフォーマンスのカテゴリー(Overall Performance Category [OPC] 1 or 2)を評価。

病院到着前エピネフリン投与群と非使用群とを比較した補正オッズ比は2.36(adjusted odds ratio [OR], 2.36; 95% CI, 2.22-2.50; P < .001)、傾向をマッチさせた患者(In propensity-matched patients)補正オッズ比は 2.51(OR, 2.51; 95% CI, 2.24-2.80; P < .001)と、約2.5倍高くなりました。

しかし、1ヶ月後の生存率では、逆に、OR0.54 [95% CI, 0.43-0.68]と半減し、 CPC 1-2, 0.21 [95% CI, 0.10-0.44]および、OPC 1-2, 0.23 [95% CI, 0.11-0.45]; all P < .001)と脳機能および全体的なパフォーマンスも著しく低下しました。

蘇生後の生存率や脳機能を低下させる理由として、エピネフリンによって身体と脳の代謝を犠牲にすることで心臓を短期的には活性化(冠動脈灌流圧を高める)できても、他の臓器への血流を減少させることによって、その後、心筋機能不全、心室性不整脈および、脳微小循環の障害を惹き起こすようです。

一瞬の利益がつけとなり、その後の不利益を招くと言えます。

この研究報告は九州大学(保健管理と政策学科、九州大学大学院医学研究科、救命救急センター、九州大学病院、他)によるものです。

Hagihara A, et al
Prehospital epinephrine use and survival among patients with out-of-hospital cardiac arrest
JAMA 2012; 307: 1161-1168.
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抗酸化サプリはアルツハイマー病に効果無しと報告

2012-03-20 09:55:21 | 食品・ハーブ・サプリメント
抗酸化物質は、アミロイドやタウ病変に関連した、脳脊髄液(CSF)バイオマーカーに影響を及ぼさなかったと報告されています。

酸化ストレスのバイオマーカーは、E / C / ALA群で19%減少したものの、この治療は、長期的な臨床試験では急速に認知機能を低下させました。

E / C / ALA群は、ビタミンE(α-トコフェロール)800 IU / d、ビタミンC500ミリグラム/ dと、α-リポ酸900 mg /日を16週間投与したグループ。研究デザインは、二重盲検無作為化試験(Double-blind, placebo-controlled clinical trial)。および、コエンザイムQ3倍 /日、プラシーボ。被験者は78名、その内66名が適切なシリアルCSF検体を提供。

主要アウトカム指標は、アルツハイマー病と酸化ストレスのバイオマーカー、認知機能ミニメンタルステート検査(Mini-Mental State Examination)、脳機能として、アルツハイマー病の日常生活スケール(Alzheimer's Disease Cooperative Study Activities of Daily Living Scale)。

繰り返しになりますが、脳内の酸化ストレスは、 E / C / ALA群ではCSF F2-イソレベルの低下が示唆されました。しかし、この治療は長期的には急速な認知機能の低下を惹き起こしました。今後、さらに慎重な評価が必要になります。

Galasko D, et al
Antioxidants for Alzheimer disease: a randomized clinical trial with cerebrospinal fluid biomarker measures
Arch Neurol 2012; DOI:10.1001/archneurol.2012.85.
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危険な薬物相互作用を避けるために

2012-03-19 14:33:10 | 薬の問題点
抗ガン剤治療を受けている人の多くは、他の薬も併用しています。胃酸抑制剤や抗ヒスタミン剤などの一般的な薬と、抗ガン剤との相互作用について、どれ位の医師や患者が認識しているでしょうか。

経口キナーゼ阻害剤(イマチニブ 、エルロチニブなど)を処方されている患者11,600人の患者についての(the nonprofit Medco Research Instituteより)調査結果が報告されています。

これらの患者の多くが、プロトンポンプ阻害薬、ステロイド、カルシウムチャネル遮断薬、抗生物質および、抗真菌剤をなどを同時に服用していました。白血病などの血液ガンの治療薬であるイマチニブを服用していた4,617名の患者の43%が抗ガン剤の有効性を低下させる薬剤を併用し、68%は、逆に抗ガン剤の毒性を上げる薬剤を処方されていました。

この研究では、キナーゼ阻害剤のみ調査していますが、他の抗ガン剤でも同様に相互作用は起きます。例えば、乳ガンの治療薬であるタモキシフェンでは、関節炎薬セレブレックス(セレコキシブ)と併用するべきではなく、抗うつ剤シンバルタ(デュロキセチン)とゾロフト(セルトラリン)を併用するべきではない、などです。

また、抗ガン剤以外でも、複数の薬剤を併用した場合には何らかの相互作用は起きます。

当然ながら、複数の薬剤を同時に服用した場合には必ず何らかの相互作用があるはずであり、全ての薬剤について複数併用の臨床試験が行われるべきです。しかし、ほとんど行われてはいないでしょう。薬だけでお腹いっぱいになるほど、多くの薬を処方している医師達には併用による有害性についての認識があるとも、気を配っているとも思えません。

膨大な薬品が処方され、飲まれています。薬剤相互作用に関する知識も今後膨大なものとなるでしょう。また、薬剤だけではなく、特定の食品との相互作用(このブログでも紹介)でも、時には命に関わる場合もあります。

効果の高い薬剤・治療法ほど危険性も高いことを知るべきです。同時に、患者自身が薬局で購入した、一般薬やサプリなどを併用することにも注意が必要です。

Daily dose
By Deborah Kotz, Globe Staff
Taking a pill to fight cancer? Avoid these dangerous drug interactions
http://www.boston.com/Boston/dailydose/2012/03/taking-pill-fight-cancer-avoid-these-dangerous-drug-interactions/n8FtQK1gEgFFhCV4KLRWCI/index.html
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「ニュートリノ光速超えず」は当然過ぎる結果

2012-03-17 14:29:14 | らくがき
 欧州合同原子核研究所(CERN)は16日、別の国際研究チームがニュートリノの速度を再検証し、光よりも遅いことを示す結果が出たことを発表。

 ニュートリノに質量が有る以上、光速を超えることはあり得ません。常識的には、光より僅かに遅くなるはずであり、当然の結果ではないでしょうか。素人目に見ても、どちらも無駄な実験に思えるのですが(物理学とは畑違いの、私が言うのも何ですが)。

 アインシュタインの特殊相対性理論と、ローレンツ収縮は、「光速がどのような座標系から見ても一定である」という、奇妙な現象を説明するために提案されたものです。

 例えば、時速100kmで走る車から、時速1000kmの弾丸を進行方向に向けて発射し、これを地上で計測すると弾丸の速度は時速1100kmになります。しかし、光では速度は一定です。

 私のような、物理学に縁の無い人間には理解困難ですが、光速が変化しないようにするには、時間を含む座標系の回転変換をローレンツ変換で行うことでつじつまが合うようです。時間に対する演算を、時間が虚数であるとして変換する訳です。分かりにくいのですが、「時間は虚数的に振る舞う」ということです。

 このように、光速には絶対性があるため、E=MC2のように、公式の中に「光の速度の2乗」という数値が入れられます。我々の宇宙とは違う別の宇宙では分かりませんが、少なくとも、この宇宙では光速を超えることがあり得ないことは、素人の私でさえ理解できることです。

 アインシュタインの特殊相対性理論は多くの実験で検証済みなだけではなく、私たちの生活の中でも生かされており、誰でも確認できます。

 例えば、多くの人が利用しているGPSの情報は、地球上の時間の進みと人工衛星の時間の進みの違いを補正して作成されています。時間の進みは物質の速度が光速に近づく程遅くなるため、人工衛星のように高速度になると地上との差が無視できなくなります。したがって、地上との時間差を補正しないと位置情報にも狂いが生じてしまいます。GPSを利用している人は皆、特殊相対性理論の恩恵を受けているわけです。

相対性理論による、速度が増すと物質が重くなることは、粒子加速器で粒子の速度を上げる時にはこの効果に逆らうために加速を続けなければならないことで明らかです。また、速度が増すほど物質は進行方向へ縮むとする考えは、ほぼ光速に近い速度で粒子が衝突する際、その直前の発光が潰れて扁平になった様子が画像で確認されています。これらの事実から、相対性理論は実証されていますので、原理的に光速は超えられないのです。物理定数の違う別の宇宙や、我々が住む4次元時空を超える時空のことは分かりませんが。
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レスベラトロールによって誘導される新生血管傷害は乳癌を抑制する

2012-03-16 11:34:03 | 医学一般の話題
実験的な研究では、レスベラトロールは様々な癌細胞の増殖を抑制することが示されています。

食事は最も重要な癌のリスクの1つです。栄養成分は、発がんに関与する多くの経路に関与しています。さらに、発がんのプロセスは、いくつかのmiRNAの発現の変化に関連付けられています。最近の研究では、miRNAの広範囲のダウンレギュレーションは、一般的にヒト癌細胞の発現に関与していることが報告されています。

レスベラトロールは、腫瘍抑制miRNAの転写活性化を介して、in vitroで新生血管傷害を、in vivoで癌細胞の悪性腫瘍を抑制すると報告されています。

レスベラトロール処理と対照細胞と比較すると、50μM処理した MDA-MB-231-Luc-D3H2LN細胞はCD44 + / CD24-が6倍減少(図1b)

mammosphereの形成は、レスベラトロール治療(補足図1B)の後に抑制されました。また、TUNEL染色、カスパーゼアッセイを用いたアポトーシス評価では、レスベラトロールは、アポトーシス(図1C,D)を誘発しませんでした。

ドセタキセルの低用量とレスベラトロールの組み合わせは、in vitroおよびin vivoで有意に高い癌細胞増殖阻害(図1E)を誘発し、これは、癌幹細胞様細胞(CSC)の減少を介する複数の抗がん作用を示すことが示唆されています。

天然物は貴重な薬用剤の資源です。現在利用可能な薬物の半数以上は天然または関連化合物です。癌の場合には、天然化合物の割合は60%を超えています。



Keitaro Hagiwara, Nobuyoshi Kosaka et al.
Stilbene derivatives promote Ago2-dependent tumour-suppressive microRNA activity
Scientific Reports Volume:2,Article number:314 DOI:doi:10.1038/srep00314 Received01 December 2011 Accepted24 February 2012 Published15 March 2012

エピゲノム、ノンコーディングRNAやマイクロRNAなどが注目されています。miR-22と呼ばれるマイクロRNAは老化に関与しています。人の乳がんや子宮頚がんでは、このmiR-22の発現が抑制されていることが分かっています。がんは、正常な老化メカニズムが破綻した細胞です。がんを移植したマウスにmiR-22を導入すると腫瘍が顕著に縮小することも報告されています。上に示した、レスベラトロールの効果とは、言い換えれば、正常な老化へと導く効果とも言えます。

レスベラトロールの抗酸化作用によるアンチエイジングが言われていますが、そう単純とも思えません。
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PSA検査で前立腺癌死亡率低下と言いますが

2012-03-15 16:57:05 | 医療への疑問
前立腺癌死亡率に対する前立腺特異抗原(PSA)検査の効果は、これまでの研究報告では相反するものでした。

登録時50−74歳の182160名の男性と事前設定群55−69歳の152,388名の男性を対象にした、無作為化スクリーニングの結果、前立腺癌による死亡リスクは21%(rate ratio, 0.79; 95% confidence interval [CI], 0.68 to 0.91; P=0.001)減少しました。

この試験は欧州8カ国で実施され、フォローアップ期間は平均11年間、主要転帰は前立腺癌による死亡率でした。

スクリーニング群の、調整後死亡率の絶対的減少は29%で、死亡0.10人/1000person-years、対象群は死亡1.07人/1000person-yearsでした。

10年および11年間フォローアップの、前立腺癌による死亡率比は0.62(95% CI, 0.45 to 0.85; P=0.003)でした。

但し、全死因死亡率には有意な群間差は認められませんでした。

さらに、スクリーニングで前立腺癌による1人の死亡を予防するためには1055人に検査をし、37の癌について検知する必要があります。この数字をどの様に受け止めるかは、個人の考え方次第です。



Fritz H. Schroder, Jonas Hugosson, Monique J. Roobol, et al.
Prostate-Cancer Mortality at 11 Years of Follow-up
N Engl J Med 2012; 366:981-990March 15, 2012
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風邪の原因は?

2012-03-15 09:59:45 | 医療への疑問
 日本呼吸器学会の「成人気道感染症診療の基本的考え方2003年度」に見られるように、「風邪の原因は9割以上はウイルスであり抗菌薬は無効」は常識となっています。この考えに対し、「成人の風邪にはウイルス以外を原因とするケースが少なくない」と話す、社会保険中央総合病院の徳田均氏などの意見もあります。

 これは、医療ニュース“m3.com”に掲載された「賛否両論 2012年3月13日」の記事から引用したものです。2003年度にもなって、今更「風邪の定義」をすることに驚きますが、現実には、「風邪」、「感冒」とは何かの定義は曖昧であり、ウイルス説も科学的に証明された訳ではありません。

 ウイルス説が常識といいながら、抗菌薬の使用率は現在も圧倒的に高い現実があります。

 2008−2010年にかけて、急性上気道感染症の1753人の患者を対象にした調査(長崎大学第2内科教授の河野茂)があります。734人の医師(勤務医254人、開業医480人)。
 
 対象は「急性咽頭炎」「急性扁桃炎」「急性気管支炎」。急性咽頭炎は、20歳以上で、咽頭痛、咽頭発赤、発熱のいずれかを訴えるケース。急性扁桃炎は、発熱、扁桃肥大、膿栓、白苔のいずれかを訴えるケース。急性気管支炎は、発熱、咳嗽、胸痛などがあるものの咽頭炎や扁桃炎は主体的ではなく、気管支に炎症のあるケース。

 全患者中、抗菌薬使用は1420人(約8割)、抗菌薬未使用は残りの333人にすぎませんでした。抗菌薬の処方頻度が高いのは、急性扁桃炎のケースで、勤務医100%、開業医93.6%。急性気管支炎は、開業医88.4%、勤務医85.2%。急性咽頭炎は、開業医81.5%、勤務医55.1%。全体では、開業医は84.8%、勤務医は73.6%に抗菌薬を処方しており、開業医の方が抗菌薬の使用割合は高かくなっていました。
 
 「抗菌薬は無効」が常識と言いながら、7〜8割が今でも使用しています。何故?

 抗菌薬の使用根拠を調べると、細菌性感染症と診断したというケースが全体の71.1%と突出して多く、他は、広域抗菌薬の選択、予防投与、OTC薬の無効例、喘息の合併症、マイコプラズマ感染などが続いています。反対に抗菌薬を処方しなかったのは、症状が軽度、細菌性感染症と診断せず、ウイルス感染が、ほぼ全体を占めています。

 徳田医師は、中高年ではウイルスの関与は少ないと述べています。その根拠として参考になる研究を2つ挙げています。1つは、1960年代−70年代に米国で行われた研究(Epidemiol Infect. 1993 Feb;110(1):145-60.)で、ウイルスの検出頻度は小児では高く、年齢が高くなるに連れて急速に低下し、特に40歳以上では極めて低かったとの報告。2つ目は、2003年−2005年に行われたタイの研究(PLoS ONE 2011: Mar 29;6(3):e17780)。ある地域の8つの病院の共同研究で、急性気道感染症のライノウイルス検出頻度を調べています。入院、外来ともに20歳以下、特に5歳以下ではウイルス検出率が高く、一方中高年では検出頻度は数分の1であったとの報告。

 興味深い考えに、耳鼻咽喉科領域の「Bacterial Interference」があります。上気道では、常在菌が病因性のある菌の侵入を抑制していることが分かっています。寒冷曝露や疲労などの何らかの要因で、それら常在菌を含む局所の免疫機構が破綻した時に病原菌が侵入して風邪を惹き起こすというものです。

Bacterial interference in upper respiratory tract infections: a systematic review.
Am J Rhinol Allergy. 2011 Mar-Apr;25(2):82-8.

 また、1989年に東北大学の渡辺彰氏が行った研究では、急性気道感染症の2359人を検証したところ、年齢を問わず、高率に細菌の二次感染が見られたとも報告されています(感染症学雑誌 1990;64:1209-1219.)。

 近年の基礎研究でも、ライノウイルス、インフルエンザウイルス などのウイルス感染により、宿主の気道上皮が急速に変化してしまうため、二次性に細菌感染を合併しやすくなると言われています。この考え方は、私が病院勤務していた30年以上昔に、風邪に抗生物質を使う理由として、医師から聞いた根拠と同じです(進歩していない?)。

 21世紀になっても、未だ、風邪の定義・治療法すら確立できていない。…と、言えるのでは。
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肥満症治療手術の利点とは?

2012-03-14 17:42:47 | 医療への疑問
肥満は心血管イベントのリスク増加と関連していると言われています。したがいまして、体重を減少させることは心血管疾患に対して有益であると予想されます。

実際に、スウェーデンにおける、肥満手術の影響を調べるための非ランダム化前向き研究の結果では、手術を受けていない肥満対照群と比較して、手術群は致命的な心血管イベントが有意に減少したと記されています。

しかしながら、心血管イベントの減少は、ベースラインのボディマス指数(BMI)、または治療を受けた患者の重量損失とも関連していませんでした。(詳しい内容は不明)

では、この手術の何が心血管イベントを減少させたのでしょうか。

At the heart of the benefits of bariatric surgery
Nature Medicine, Volume:18,Pages:358?359, Year published:(2012)DOI:doi:10.1038/nm0312-358
Published online06 March 2012 Article toolsPrint
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甘味飲料は男性の心筋梗塞リスクを高くする

2012-03-13 10:09:55 | 食品・ハーブ・サプリメント
男性では、砂糖入り飲料の消費量と冠動脈性心疾患(CHD)のリスクが関連していたと報告されています。

医療従事者フォローアップ調査に参加している男性42,883名を対象にした 、前向きコホート研究で比例ハザードモデルを用いて検討。フォローアップ期間は22年間。この期間中に 3,683名がCHDを発症。

食物頻度アンケートを使用して、4年ごとに砂糖と人工甘味飲料の消費量を報告させました。被試験者の年齢は、1986年のベースライン時に40−75歳で、主に白人男性。

年齢、喫煙、身体活動、アルコール、ビタミン、家族歴、食事の質、エネルギー摂取量、BMI、事前登録の体重変化とダイエットなどの調整後、砂糖入り飲料摂取量の最上位4分位と最下位4分位を比較したリスク比(RR)は1.20(95% CI: 1.09, 1.33, p for trend < 0.01)と、20%高くなりました。

一方、人工甘味料入り飲料の消費では、多変量RRは1.02(95% CI: 0.93, 1.12, p for trend = 0.28)で、関連性は認められませんでした。

また、自己申告による高コレステロール血症、高トリグリセリド、高血圧、2型糖尿病などは、多変量調整後わずかに低下しました。

気になるのは、砂糖および人口甘味料の摂取量を、どの様にして正確に計算したのか分からないことです。また、人口甘味料では関連性がありませんでしたが、これは単純にカロリーの問題(総カロリーが不明)なのか、砂糖分子の性質が関与するのか分かりません。寧ろ、このメカニズムの方に興味があります。

De Koning L, et al
Sweetened beverage consumption, incident coronary heart disease, and biomarkers of risk in men
Circulation 2012; DOI: 10.1161/?CIRCULATIONAHA.111.067017.
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