虎の門針灸院ノート

鍼灸・医学一般・健康の情報

ウコンの効能に注意!

2007-12-21 11:48:00 | 食品・ハーブ・サプリメント
 ウコンは「いわゆる健康食品」の売り上げの中でも上位を占める代表的な食品で、最近はテレビなどでも宣伝をよく見ます。しかしながら同時に、健康被害が最も多い食品でもあります。これらの食品には、有効成分であるクルクミンの効能がこれでもかと並べられています。ウコン(英名ターメリック)はカレーのあの黄色の色素であり、沢庵漬けの黄色の着色料でもあります。その消費量の多さに比べれば、健康被害は少ないと言えますが、大量に長期間服用した場合には肝機能障害などを起こします。

 クルクミンは抗酸化能を有し、胆汁の分泌を促進させ、脂質代謝及び薬物代謝など肝臓の代謝改善効果を促進させるため、肝機能の改善に寄与すると考えられています。クルクミンの有効性に関しては、肝臓病や肝炎などの予防・改善、糖尿病、高血圧、動脈硬化といった、生活習慣病リスクの低減効果について報告されています。飲料メーカーはこの点を強調してアピールしています。

 しかしながら、同時に肝毒性や消化管障害の発生も多数報告されています。また、これらの有効例についての報告は、いずれもラットなどを使った動物実験や、試験管内での結果が中心です。ヒトに対しての正確な実験はほとんどなく、ブドウ膜炎や癌抑制効果などの報告はありますが、予備的な治験に限られています。
 
 ウコンは熱帯・亜熱帯に分布するショウガ科の多年草植物で、約50種が存在すると言われています。日本では、秋ウコン、春ウコン、紫ウコンが代表的ですが、クルクミンの含有率では、秋ウコンが約3〜5%含まれ、春・紫ウコンにはほとんど含まれていません。健胃作用や血圧低下作用はテルペン系精油成分によると考えられています。
 
 ウコンには、リン、鉄、カルシウム、カリウム、マグネシウム、食物繊維、クルクミン、クルクメン、アズレン、カンファー、シオネールなど様々な成分が含まれています。これらの中で、どの成分がどのような健康被害を起こすのかは不明です。但し、鉄についてはその毒性が知られています。
 
 ウコンには牛レバー(4.0mg/100g)に相当する(1.1〜4.8mg/100g)鉄が含まれています。C型慢性肝炎の肝臓には鉄が過剰に蓄積され、この鉄によって発生するフリーラジカルが肝細胞を障害することが分かっています。C型慢性肝炎に対する瀉血療法の効果が確認され、近く保険適応になります。
 
 ★従いまして、C型肝炎の患者さんが、ウコンは肝臓に良いと思い込んで飲むことは危険です。また、クルクミン大量摂取による肝臓の脂肪変性も報告されています。C型慢性肝炎、急性及び重篤な肝障害、胃潰瘍、胃酸過多、胆道閉塞症には禁忌とされています。
 
 WHO合同食品添加物専門家委員会(JECFA)によれば、クルクミンの1日摂取許容量は3mg/kgBWとされています(2003年6月)。
 
 いわゆる健康食品と呼ばれている食品・ドリンク剤などの効能書きには注意が必要です。薬品とは違い規制の対象となっていないため、ヒトへの臨床試験はほとんど行われていません。簡単な動物実験の結果によって商品化され、ヒトに対しても有効のような宣伝をします。また、昭和60年に厚生省が認めた、財団法人日本健康・栄養食品協会の認定マーク(JHFA)の表示は、健康食品自体の含有量や不純物質の混入、細菌などによる汚染がないことを保証しているにすぎません。決して、効能・効果を保証してはいないことに注意が必要です。
 
 詳しく知りたい方は、独立行政法人国立健康・栄養研究所のホームページの中に「健康食品安全情報ネット」がありますので、参考にして下さい。 
 
 参考文献
1) 水野瑞夫:ウコン.日本薬草全書,心日本法規,pp74-76,2000
2) 佐田通夫他:痩せ薬・健康食品による薬物性肝障害2次全国集計結果,肝臓45:96-108,2004
3) 為田靱彦他:薬剤性肝障害の全国集計,最新肝臓病学,pp50-61,2001
4) Natural Medicine Comprehensive Database ,5th ed,Compiled by the Editors of Pharmacists letter/ Prescribers letter, Stockton, CA: Therapeutic Research Faculty; 2003.
5) 林真一郎他:メディカルハーブ安全性ハンドブック.東京堂出版;pp57-58,2001.
6) Sugiyama T, Nagata JI, Yamagishi A, et al.,Selective protection of curucumin against carbon tetrachiloride-induced inactivation of hepatic cytocchrome P450
isozyms in rats.Life Sci(in press)
7) 石田 聡他:健康食品による薬物性肝障害,肝胆膵48(6):747-755,2004 
ジャンル:
ウェブログ
キーワード
日本健康・栄養食品協会 ドリンク剤 独立行政法人 国立健康・栄養研究所 東京堂出版 食品添加物 カンファー 肝機能障害 生活習慣病 飲料メーカー
コメント (5)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加 mixiチェック
« 心臓病発症抑制の主役は体によい... | トップ | 我が子を捨てた神とリハビリをし... »
最近の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
そうだったんだー (通りすがりですが)
2008-11-20 20:04:42
とても勉強になりました。

知る事ができてよかったです。
ありがとうございました。
Unknown (yukiko)
2009-12-09 10:01:59
大変勉強になりました
私達消費者は効能書でついつい信用?っていうか いいのかしらと思い購入してしまいますが
基礎疾患などある人は 本当に良く確かめて
からでないと 危険ですね
ありがとうございます
プリントアウトしておきます。
おどろきです!! (Unknown)
2011-02-02 22:46:45
父が健康診断で、肝機能が低下していると言われたと聞き、サプリを購入し飲ませていました。
健康食品だから体に良いと安易に飛びついてはいけないのですね。
反省です。
勉強になりました。
有難うございます。
そういうわけでしたか〜 (misa)
2011-06-21 10:18:04
25年前の輸血による、慢性C型肝炎患者です。
インターフェロンは、私の体には色々とリスクが高く、実行できません。
ここ数年肝臓の数値がやや高めで、炎症反応も基準値を少しですがオーバーしているので、ウコンはどうだろうか?と思い検索し、C型肝炎にはよくないことだけは知っていましたが、そのとき見たサイトには、よくない理由は書かれていませんでした。
こちらではその理由が解かり易く説明されていて、大変たすかりました。
ありがとうございます。
驚きました (原野 輝雄)
2011-08-04 15:00:46
 毎日、小さじ半分ぐらいを、飲んでいます
食事後に飲むのが、いいのか、食前かしってい知っている、ひとは教えてl下さい。
harano@po4.synapse.ne.jp
原野行政書士・調査事務所
行政書士  原野 輝雄

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL