虎の門針灸院ノート

鍼灸・医学一般・健康の情報

前立腺癌スクリーニングテスト(PSA)は推奨しないと勧告

2012-05-23 10:36:40 | 医療への疑問
米国予防サービスタスクフォース(U.S. Preventive Services Task Force)による、前立腺癌検診推奨ステートメントでは、「前立腺特異抗原(PSA)検査による、全ての男性を対象にした検診は推奨しない」と勧告しています。

国立がん研究所は、2012年には約25万人が前立腺癌を発症し、28,000人以上が本症に関連して死亡すると推定しています。

スクリーニングにて発見された1,000人のうち、90%が手術、放射線治療、アンドロゲン除去療法などを受けますが、その中で前立腺癌死を回避するのは最大でも1人。2〜3人は血液凝固、心臓発作、脳卒中で死亡。手術を受けた3,000人に1人は手術の合併症で死亡。30〜40人が励起不全や尿失禁となると述べられています。

過剰な検査と治療による有害性が、ベネフィットを上回っています。無論、リスクが高い特定の患者を対象にした検査は必要ですが。

Screening for Prostate Cancer: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement
Virginia A. Moyer, MD, MPH, on behalf of the U.S. Preventive Services Task Force
http://www.annals.org/content/early/2012/05/21/0003-4819-157-2-201207170-00459.full

Govt. Panel Scuttles Prostate Cancer Testing Recommendations
abcNEWS, May 21, 2012
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COPD包括的治療管理プログラム(CCMP)で入院・死亡増加

2012-05-18 09:27:39 | 医療への疑問
慢性閉塞性肺疾患(COPD)による入院防止のための、包括的なケアマネジメントプログラム(CCMP)の有効性を無作為化比較試験で検討したところ、入院患者・死亡率(3.6倍)ともに増加しました。

COPD入院患者426人を対象に、209名が介入群、217名が通常ケア群に割り当てられていました。フォローアップは250日。主要アウトカムは、COPD入院までの期間。副次的転帰は、非COPDの医療使用、全死因死亡率、健康関連の生活の質、患者満足度、および病気の知識などです。

COPD関連入院の1年累積発生率は、通常治療群で24%、CCPM群で27%で、ハザード比1.13 (hazard ratio, 1.13 [95% CI, 0.70 to 1.80]; P = 0.62)と、僅かですが、むしろ増加しました。

介入群の全原因死亡が28名なのに対して、通常群では10名でした。ハザード比は3.00 (hazard ratio, 3.00 [CI, 1.46 to 6.17]; P = 0.003)で、管理プログラム(CCMP)を受けた患者の死亡率は3倍でした。

さらに驚くべきは、肝心要のCOPDによる死亡は、介入群で10名、通常群では3名で、ハザード比3.60 (hazard ratio, 3.60 [CI, 0.99 to 13.08]; P = 0.053)でした。

目的であるはずの、「COPD入院の削減」では逆に増加し、さらに、死亡率は通常のケアに比べ3.6倍でした。

この結果をもってしても著者の結論は、「重症のCOPD患者におけるCCMPは、COPD関連入院を減少させなかった。」と記しています。減少しないのではなく「増加させ」、さらに、「死亡者を3.6倍に増やした」が、正当な評価でしょう。

この様に、著者にとって少しでも都合良く聞こえるように、恣意的に結果を述べることが医学論文には非常に多いのです(それ故、医学は科学とは言えない)。

また、「CCMPは、予期せぬ過剰死亡、類似した以前の試験と著しく異なる結果に関連していた。データモニタリング委員会は、行動介入を伴う臨床試験のデザインにおいて考慮するべきである。」とも述べています。意に添わぬ結果は研究に問題があったと言っているように解釈できますが、研究デザインの問題ではないと思うのですが。

治す方法が無く、治せないにもかかわらず、「患者を適切に指導管理してやる」というのは医師の奢りの現れではないでしょうか。

Fan VS et al.
A Comprehensive Care Management Program to Prevent Chronic Obstructive Pulmonary Disease Hospitalizations: A Randomized, Controlled Trial.
Ann Intern Med May 15, 2012 156:673-683.
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慢性的な頚部痛への運動療法の効果とは?

2012-05-16 09:22:41 | 医療への疑問
首の痛みに対する、指導下の運動と家庭での運動の効果を比較した研究報告がありました。背景には、慢性的に首の痛みを訴える患者が多く、そのヘルスケアは社会経済的な問題とする認識があります。

研究対象は、慢性的な首の痛みを訴える270名の外来患者。

患者は無作為に以下の介入のいずれかに割り当てられています。
(1)高用量の強化運動指導+脊椎マニピュレーションの併用(ET + SMT)
(2)高用量の監視強化運動(ET)
(3)低用量の家庭運動とアドバイス(HEA)

プライマリアウトカムは、ベースライン時の患者の痛みと、4, 12, 26, and 52週後の痛みを評価。セカンダリーは、障害、健康状態、グローバルな認知効果、薬剤使用、満足度。

12週後の痛みの軽減は、(ET + SMT)と(HEA)は1.3点、(P <0.001)、(ET)と(HEA)は1.1点、(P = 0.001)でした。その差はわずか0.2点ですが、統計学的には有意でした。

52週後の(ET + SMT)対(HEA)の差は僅か0.1点 (ET + SMT vs. HEA, 0.2 points, P > 0.05; ET vs. HEA, 0.3 points, P > 0.05)で、有意差もありませんでした。

著者の結論では、脊椎マニピュレーションの有無にかかわらず、指導による強化訓練は、短期的には自宅の運動よりも良い結果をもたらしたと記されています。

しかしながら、グラフで見ますと、疼痛レベルの軽減は僅か2点〜3点弱でしかありません。

(ET)と、(ET + SMT)は12週後に一端3点軽減しますが、その後戻り、26週以後は3点弱の軽減のままプラトーになります。(HEA)では、12週以後約2点軽減のままプラトーになっています。

この程度の軽減で治療効果があるなどと言えるのでしょうか。個人的意見では、鍼治療の方が遙かに効果的であると思います。しかしながら、「ランドマイズドトライアル」で評価するなどは、クライアントに失礼ですので鍼灸院ごときにはできませんので、論文にはなりませんが。



Evans, Roni , Bronfort, Gert , et al.
Supervised Exercise With and Without Spinal Manipulation Performs Similarly and Better Than Home Exercise for Chronic Neck Pain: A Randomized Controlled Trial
Spine: 15 May 2012 - Volume 37 - Issue 11 - p 903?914, doi: 10.1097/BRS.0b013e31823b3bdf
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減塩は高血圧症の予防にならない

2012-04-21 10:49:32 | 医療への疑問
減塩による血圧低下効果を167の試験で調査したところ、血圧低下は、正常血圧の白人で1%、高血圧患者では3.5%と微々たるもので、ほとんど無意味でした。さらに、悪いことに、血中レニン、アルドステロン、アドレナリンが増加し、血中コレステロール値の2.5%増加とTG7%の増加が認められました。

血圧低下の値が少なすぎるだけではなく、レニンやアルドステロンなどが上昇したのでは逆効果と言えます。

結果をもう少し詳しく見ますと。

白人
収縮期血圧(SBP)-1.27 mm Hg (95% confidence interval (CI): -1.88, -0.66; P = 0.0001)
拡張期血圧(DBP)-0.05 mm Hg (95% CI: -0.51, 0.42; P = 0.85)

黒人
SBP -4.02 mm Hg (95% CI: -7.37, -0.68; P = 0.002)
DBP -2.01 mm Hg (95% CI: -4.37, 0.35; P = 0.09)

アジア人
SBP -10.21 mm Hg (95% CI: -16.98, -3.44; P = 0.003)
DBP -2.60 mm Hg (95% CI: ?4.03, -1.16; P = 0.0004)

血漿レニンの大幅な増加、血漿アルドステロン、血漿アドレナリン、血漿ノルアドレナリン、コレステロールは2.5%増加と、トリグリセリドは7%増加しました。

最も低下したアジアでも約10mmHgの低下です。しかし、全体に血漿レニンが大幅に増加したことは逆効果と言えます。

Niels A. Graudal, Thorbjorn Hubeck-Graudal, Gesche Jurgens
Effects of Low-Sodium Diet vs. High-Sodium Diet on Blood Pressure, Renin, Aldosterone, Catecholamines, Cholesterol, and Triglyceride (Cochrane Review)
American Journal of Hypertension (2012). doi:10.1038/ajh.2011.210

そもそも、本態性高血圧には2種類のタイプがあります。1つは、「食塩感受性タイプ」、もう1つは、「レニン−アンジオテンシン系亢進タイプ」です。

食塩感受性のない人に減塩をさせても無意味です。最近の研究では、逆に、低ナトリウムは心血管イベントなどの増加により死亡率の上昇を引き起こします。

参考までに、以前書いた「食塩摂取量が少なくても心血管イベント増加2011.11.23. 」の記事から紹介します。

ナトリウム排泄量による心血管イベントのグラフは、J型の曲線を描きます。5g付近が最も少なく、これは食塩の摂取量にしますと1日13g程度が最もリスクが少ないことになります。

従来の食塩摂取量の基準や常識は根本的に書き変えなければなりません。

さらに、レニンの増加は、腎血流量の低下によってナトリウム再吸収を増加させて血圧を上昇させます。

念のため付け加えますと、食塩感受性の高い高血圧患者や原発性アルドステロン症では、食塩摂取によって交感神経活動が亢進(メカニズムは、面倒なので省略)しますので、血圧は上昇します。
 
J. O'Donnell, et al.
Urinary Sodium and Potassium Excretion and Risk of Cardiovascular Events
JAMA. 2011;306(20):2229-2238. doi: 10.1001/jama.2011.1729

*心血管疾患の無い3,681名を対象にして、中央値で7.9年フォローした研究では。

★ナトリウム排泄量別の死亡率
・the low (mean, 107 mmol):4.1% (95% confidence interval [CI], 3.5%-4.7%)
・medium (mean, 168 mmol):1.9% (95% CI, 1.5%-2.3%)
・high excretion group (mean, 260 mmol:0.8% (95% CI, 0.5%-1.1%)
 (単位はミリモルです)

ナトリウムが多いほど、死亡率は低下しました。

★高血圧の発症率では(2,096名、6.5年間フォロー)
・the low:187 (27.0%; HR, 1.00; 95% CI, 0.87-1.16)
・the medium:190 (26.6%; HR, 1.02; 95% CI, 0.89-1.16)
・the high:175 (25.4%; HR, 0.98; 95% CI, 0.86-1.12)

( ナトリウムを食塩量で換算しますと:2g=5.1g , 6g=15.2 g, 8g=20 g )

高血圧の発症率でも、高ナトリウムが最も低く、ハザード比も1を僅かですが切っています。

・収縮期血圧とナトリウム排泄量は、合併症の減少・生存率改善に関連しない。
・ナトリウム尿排泄量低下は、心血管合併症高度リスクの予測因子となる。

Katarzyna Stolarz-Skrzypek et. al.
Fatal and Nonfatal Outcomes, Incidence of Hypertension, and Blood Pressure Changes in Relation to Urinary Sodium Excretion
JAMA. 2011;305(17):1777-1785. doi: 10.1001/jama.2011.574
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会話療法は精神病症状悪化を予防できない

2012-04-07 15:55:22 | 医療への疑問
高リスクの若者に対する認知療法は精神病症状の重症度を減少させなかったと報告されています。

この研究は、認知療法が統合失調症などの、深刻なリスクのある若者の精神病症状の悪化予防に有効か否かを判断するために実施されました。

研究デザインは、マルチ単盲検無作為化比較試験。精神病リスクが高い14から35歳の288名(平均20.74歳、SD 4.34)を対象。144名は認知療法と精神状態のモニタリング、残りの144名はモニタリングのみ。12ヶ月〜最長24ヶ月間フォロー。

プライマリアウトカムは、精神病のスコアと精神病症状や苦痛の重症度のスコア、精神状態(comprehensive assessment of at risk mental states , CAARMS)。副次的転帰は、感情的機能障害(emotional dysfunction )と quality of life(QOL)。

精神疾患への推移は予想より低く(23/288; 8%)、比例オッズ比 0.73(95% confidence interval 0.32 to 1.68)で、2群間に有意差は認められませんでした。

精神疾患症状由来のdistressに差は無し (12ヶ月時点推定差分 (estimated difference at 12 months −3.00, 95% confidence interval−6.95 to 0.94)。但し、重症度は、認知療法割り付け群で有意に減少 (12ヶ月時点での推定差分estimated between group effect size at 12 months −3.67, −6.71 to −0.64, P=0.018)。

精神科医、心理カウンセラーや心療内科の医者などは反論するかも知れませんが、認知療法によって、統合失調症などの精神病症状悪化を予防できるとは思えません。

ついでに言いますと。残虐な犯罪が起きると決まって精神鑑定が行われますが、判定する人間によって結果は全て異なります。精神鑑定なるものは、とても科学などと呼べるものでも、学問にもなっていません。

心理学者や精神科医は、それぞれ勝手な分類を作って分析したかのようにご託を並べますが、そもそもその前提には何も根拠は無く、検証もされていません。早い話が、言いたい放題なのです。

Anthony P Morrison, Paul French, et al.
Early detection and intervention evaluation for people at risk of psychosis: Multisite randomized controlled trial
BMJ 2012; DOI: 10.1136/bmj.e2233.
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新しい肥満の基準が必要との報告

2012-04-06 11:28:57 | 医療への疑問
2重エネルギーX線吸収法(dual emission x-ray absorptiometry, DXA)を使用した調査で、BMIの測定は著しく肥満の有病率を過小評価していると報告されています。

DXA評価が定期的に行われた、ニューヨーク市の単一multispecialty private practice groupから、成人 1,393名を対象にした、後ろ向きチャートレビュー研究( retrospective chart review study, 1998年〜2009年)。

BMIは便利で簡単ですが、脂肪と筋の質量を区別することはできないため、男性の4分の1と女性のほぼ半分が誤って分類されていると記されています。

女性の場合、加齢に伴う筋肉量の大きな損失があるため、この問題を悪化させることが示唆されています(50歳代で48%対70歳以上で59%)。

体脂肪率による肥満の予測を最大限にするためのBMIのカットオフ値は。

24 kg/m2 for women, with 79% sensitivity and 87% specificity
28 kg/m2 for men, with 72% sensitivity and 83% specificity

DXAが利用できない場合はレプチンレベルの測定を推奨しています。

肥満した脂肪組織では炎症が起きます。糖尿病では炎症によるインスリン抵抗性や膵臓のラ氏島にも炎症が見られます。脂肪細胞に生じた「慢性炎症」が、多くの生活習慣病の病態の本体と言われています。

ですが、私には「肥満」の定義と、その有害性についての線引きが良く分かりません。

例えば、こんな報告があります。

第8回日本消化管学会総会学術集会(2012年2月10日〜11日)での報告です。

「消化管癌患者における栄養管理」で、「術前Body Mass Index(BMI)と胃全摘術を施行された胃癌患者の予後との関連についての検討」と題して発表された内容の一部です。

胃全摘術を施行された胃癌患者における術前BMIと予後との関連性を検討したところ、肥満者で予後が良好でした。胃全摘術を受けた胃癌患者でも“Obesity Paradox”が認められ、術前BMIは重要な予後関連因子の1つであったと述べられています。

脂肪組織は最大の内分泌器官と言われていますが、その機能の全貌が解明された訳では無く、単純に肥満を定義することはできないのではないでしょうか。

Shah NR, Braverman ER
Measuring adiposity in patients: the utility of body mass index (BMI), percent body fat, and leptin
PLoS ONE 2012; 7: e33308; DOI: 10.1371/journal.pone.0033308.
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LDLコレステロール値は心血管イベントリスクと関連しない

2012-03-30 10:04:42 | 医療への疑問
スタチン(コレステロール低下薬)治療を受けている患者の調査で、LDLコレステロール値は心血管イベント発症とは相関しなかったと報告されています。

研究デザインは、無作為化比較スタチン試験のメタアナリシス。1994年〜2008年までに公開された8試験の登録患者62,154名の患者データより、スタチン療法に割り当てられた38, 153名を1年間フォロー。

158名が致命的な心筋梗塞、1,678名が非致死性心筋梗塞、615名が他の冠動脈疾患による致命的なイベント、2,806名が不安定狭心症で入院し、1,029名が致死的または非致死的脳卒中を発症。

1-SD増加毎の主要な心血管イベントの補正ハザード比(HR)はLDL-Cは1.13 (95% CI, 1.10-1.17)、非HDL-Cでは1.16 (95% CI, 1.12-1.19)、アポB(apoB)は1.14 (95% CI, 1.11-1.18) でした。

結果は、非HDL-Cで有意に高く、アポBとLDL-C(P = 0.21)では有意差は認められませんでした。

総コレステロール値からHDL-C値を差し引いた値が相関したということですが、疑問が残ります。

さらに言えば、スタチン治療に意味があるのでしょうか。心血管イベントの発症は合計5,257名で13.8%です。脳卒中も含めると6,286名で 16.5%にもなります。何れも、僅か1年間に発症したものです。治療効果があったとは思えませんが。

S. MatthijsBoekholdt, Benoit J. Arsenault, Samia Mora, et al.
Association of LDL Cholesterol, Non?HDL Cholesterol, and Apolipoprotein B Levels With Risk of Cardiovascular Events Among Patients Treated With Statins A Meta-analysisS.
JAMA. 2012;307(12):1302-1309. doi: 10.1001/jama.2012.366
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病院前エピネフリン使用は心肺蘇生後の生存率を下げる

2012-03-21 11:06:14 | 医療への疑問
院外心停止患者に対する、救急隊員による静脈内エピネフリン(アドレナリン薬;商品名ボスミン)投与は、心肺蘇生率は上げるものの、1ヶ月後の生存率は下げると報告されています。

18歳以上の、2005−2008年までに発生した心肺停止患者417,188名(OHCAs(observational propensity analysis of data)のデータを対象にした、前向き非無作為化研究。観測傾向分析は、救急医療サービス(EMS)職員が到着する前にOHCAによる処理。

主要評価項目は心肺蘇生と、心停止後1ヶ月後の生存率および、脳機能カテゴリーの評価(Cerebral Performance Category [CPC] 1 or 2)と、生存全体的なパフォーマンスのカテゴリー(Overall Performance Category [OPC] 1 or 2)を評価。

病院到着前エピネフリン投与群と非使用群とを比較した補正オッズ比は2.36(adjusted odds ratio [OR], 2.36; 95% CI, 2.22-2.50; P < .001)、傾向をマッチさせた患者(In propensity-matched patients)補正オッズ比は 2.51(OR, 2.51; 95% CI, 2.24-2.80; P < .001)と、約2.5倍高くなりました。

しかし、1ヶ月後の生存率では、逆に、OR0.54 [95% CI, 0.43-0.68]と半減し、 CPC 1-2, 0.21 [95% CI, 0.10-0.44]および、OPC 1-2, 0.23 [95% CI, 0.11-0.45]; all P < .001)と脳機能および全体的なパフォーマンスも著しく低下しました。

蘇生後の生存率や脳機能を低下させる理由として、エピネフリンによって身体と脳の代謝を犠牲にすることで心臓を短期的には活性化(冠動脈灌流圧を高める)できても、他の臓器への血流を減少させることによって、その後、心筋機能不全、心室性不整脈および、脳微小循環の障害を惹き起こすようです。

一瞬の利益がつけとなり、その後の不利益を招くと言えます。

この研究報告は九州大学(保健管理と政策学科、九州大学大学院医学研究科、救命救急センター、九州大学病院、他)によるものです。

Hagihara A, et al
Prehospital epinephrine use and survival among patients with out-of-hospital cardiac arrest
JAMA 2012; 307: 1161-1168.
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PSA検査で前立腺癌死亡率低下と言いますが

2012-03-15 16:57:05 | 医療への疑問
前立腺癌死亡率に対する前立腺特異抗原(PSA)検査の効果は、これまでの研究報告では相反するものでした。

登録時50−74歳の182160名の男性と事前設定群55−69歳の152,388名の男性を対象にした、無作為化スクリーニングの結果、前立腺癌による死亡リスクは21%(rate ratio, 0.79; 95% confidence interval [CI], 0.68 to 0.91; P=0.001)減少しました。

この試験は欧州8カ国で実施され、フォローアップ期間は平均11年間、主要転帰は前立腺癌による死亡率でした。

スクリーニング群の、調整後死亡率の絶対的減少は29%で、死亡0.10人/1000person-years、対象群は死亡1.07人/1000person-yearsでした。

10年および11年間フォローアップの、前立腺癌による死亡率比は0.62(95% CI, 0.45 to 0.85; P=0.003)でした。

但し、全死因死亡率には有意な群間差は認められませんでした。

さらに、スクリーニングで前立腺癌による1人の死亡を予防するためには1055人に検査をし、37の癌について検知する必要があります。この数字をどの様に受け止めるかは、個人の考え方次第です。



Fritz H. Schroder, Jonas Hugosson, Monique J. Roobol, et al.
Prostate-Cancer Mortality at 11 Years of Follow-up
N Engl J Med 2012; 366:981-990March 15, 2012
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風邪の原因は?

2012-03-15 09:59:45 | 医療への疑問
 日本呼吸器学会の「成人気道感染症診療の基本的考え方2003年度」に見られるように、「風邪の原因は9割以上はウイルスであり抗菌薬は無効」は常識となっています。この考えに対し、「成人の風邪にはウイルス以外を原因とするケースが少なくない」と話す、社会保険中央総合病院の徳田均氏などの意見もあります。

 これは、医療ニュース“m3.com”に掲載された「賛否両論 2012年3月13日」の記事から引用したものです。2003年度にもなって、今更「風邪の定義」をすることに驚きますが、現実には、「風邪」、「感冒」とは何かの定義は曖昧であり、ウイルス説も科学的に証明された訳ではありません。

 ウイルス説が常識といいながら、抗菌薬の使用率は現在も圧倒的に高い現実があります。

 2008−2010年にかけて、急性上気道感染症の1753人の患者を対象にした調査(長崎大学第2内科教授の河野茂)があります。734人の医師(勤務医254人、開業医480人)。
 
 対象は「急性咽頭炎」「急性扁桃炎」「急性気管支炎」。急性咽頭炎は、20歳以上で、咽頭痛、咽頭発赤、発熱のいずれかを訴えるケース。急性扁桃炎は、発熱、扁桃肥大、膿栓、白苔のいずれかを訴えるケース。急性気管支炎は、発熱、咳嗽、胸痛などがあるものの咽頭炎や扁桃炎は主体的ではなく、気管支に炎症のあるケース。

 全患者中、抗菌薬使用は1420人(約8割)、抗菌薬未使用は残りの333人にすぎませんでした。抗菌薬の処方頻度が高いのは、急性扁桃炎のケースで、勤務医100%、開業医93.6%。急性気管支炎は、開業医88.4%、勤務医85.2%。急性咽頭炎は、開業医81.5%、勤務医55.1%。全体では、開業医は84.8%、勤務医は73.6%に抗菌薬を処方しており、開業医の方が抗菌薬の使用割合は高かくなっていました。
 
 「抗菌薬は無効」が常識と言いながら、7〜8割が今でも使用しています。何故?

 抗菌薬の使用根拠を調べると、細菌性感染症と診断したというケースが全体の71.1%と突出して多く、他は、広域抗菌薬の選択、予防投与、OTC薬の無効例、喘息の合併症、マイコプラズマ感染などが続いています。反対に抗菌薬を処方しなかったのは、症状が軽度、細菌性感染症と診断せず、ウイルス感染が、ほぼ全体を占めています。

 徳田医師は、中高年ではウイルスの関与は少ないと述べています。その根拠として参考になる研究を2つ挙げています。1つは、1960年代−70年代に米国で行われた研究(Epidemiol Infect. 1993 Feb;110(1):145-60.)で、ウイルスの検出頻度は小児では高く、年齢が高くなるに連れて急速に低下し、特に40歳以上では極めて低かったとの報告。2つ目は、2003年−2005年に行われたタイの研究(PLoS ONE 2011: Mar 29;6(3):e17780)。ある地域の8つの病院の共同研究で、急性気道感染症のライノウイルス検出頻度を調べています。入院、外来ともに20歳以下、特に5歳以下ではウイルス検出率が高く、一方中高年では検出頻度は数分の1であったとの報告。

 興味深い考えに、耳鼻咽喉科領域の「Bacterial Interference」があります。上気道では、常在菌が病因性のある菌の侵入を抑制していることが分かっています。寒冷曝露や疲労などの何らかの要因で、それら常在菌を含む局所の免疫機構が破綻した時に病原菌が侵入して風邪を惹き起こすというものです。

Bacterial interference in upper respiratory tract infections: a systematic review.
Am J Rhinol Allergy. 2011 Mar-Apr;25(2):82-8.

 また、1989年に東北大学の渡辺彰氏が行った研究では、急性気道感染症の2359人を検証したところ、年齢を問わず、高率に細菌の二次感染が見られたとも報告されています(感染症学雑誌 1990;64:1209-1219.)。

 近年の基礎研究でも、ライノウイルス、インフルエンザウイルス などのウイルス感染により、宿主の気道上皮が急速に変化してしまうため、二次性に細菌感染を合併しやすくなると言われています。この考え方は、私が病院勤務していた30年以上昔に、風邪に抗生物質を使う理由として、医師から聞いた根拠と同じです(進歩していない?)。

 21世紀になっても、未だ、風邪の定義・治療法すら確立できていない。…と、言えるのでは。
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肥満症治療手術の利点とは?

2012-03-14 17:42:47 | 医療への疑問
肥満は心血管イベントのリスク増加と関連していると言われています。したがいまして、体重を減少させることは心血管疾患に対して有益であると予想されます。

実際に、スウェーデンにおける、肥満手術の影響を調べるための非ランダム化前向き研究の結果では、手術を受けていない肥満対照群と比較して、手術群は致命的な心血管イベントが有意に減少したと記されています。

しかしながら、心血管イベントの減少は、ベースラインのボディマス指数(BMI)、または治療を受けた患者の重量損失とも関連していませんでした。(詳しい内容は不明)

では、この手術の何が心血管イベントを減少させたのでしょうか。

At the heart of the benefits of bariatric surgery
Nature Medicine, Volume:18,Pages:358?359, Year published:(2012)DOI:doi:10.1038/nm0312-358
Published online06 March 2012 Article toolsPrint
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FDAはスタチンの血糖上昇リスク表示を勧告

2012-02-29 11:20:25 | 医療への疑問
 FDAは、全てのスタチン系薬剤に対し、血糖上昇リスクと一時的な認知機能への悪影響を表示するよう勧告しました。しかし同時に、この警告にもかかわらず、スタチン系薬剤の心血管へのベネフィットはこれらの小さなリスクを上回るとも述べています。

 認知機能への悪影響については、これまでに多くの報告があります。

 さらに、肝機能テストの要件が削除されました。ABCニュース/ MedPageでも、FDAの決定を賞賛しています。

 しかし、果たしてそうでしょうか。コレステロール値を下げることが無意味であり、むしろ有害であることを、これまでに何度か書いてきました。世間の一般常識、流れは変わりませんが、何れ近い将来、是正される日は来るでしょう。しかしながら、それまでにどれほど多くの人が副作用を被るのでしょうか。

 スタチン程、市場規模が巨大な薬剤は厄介です。都合の良いデータのみが発表され、否定的な意見はかき消されます。

・ラベルが変更された薬品

 アトルバスタチン(リピトール)、フルバスタチン(ローコール)、ロバスタチン(Mevacor, Altoprev)、ピタバスタチン(リバロ)、プラバスタチン(Pravachol)、ロスバスタチン(クレストール)、シンバスタチン

・ロバスタチンと併用が禁忌の薬剤

 イトラコナゾール、ケトコナゾール、ポサコナゾール、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、テリスロマイシン、HIVプロテアーゼ阻害剤、Boceprevir、テラプレビル、ネファゾドン。

 また、ロバスタチンの服用に際し、シクロスポリンとゲムフィブロジルは避けるべきであり、ロバスタチンの投与は、ダナゾール、ジルチアゼム、ベラパミルまたはを服用した患者では20ミリグラムに制限するべき。アミオダロンを服用した患者は、ロバスタチン40 mg/日に制限する必要があるとのことです。

FDA Adds Diabetes Warning to Statin Label
By Peggy Peck, Executive Editor, MedPage Today
Published: February 28, 2012
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メタルオンメタル人工股関節の崩壊

2012-02-13 11:33:43 | 医療への疑問
 人工股関節全置換術において、大腿骨骨頭だけではなくカップ(腸骨側)も金属製にした、「メタルオンメタル」の人工股関節の重大な問題点が発表されました(アメリカアカデミー年次総会)。

 昨年の12月1日に、「金属製カップは機能面で樹脂製と差はない」とする研究報告を読み、「人工股関節、金属製カップの問題点」と題して記事を書きました。その中で、「既に、30年も前に金属と金属では摩耗して金属イオンが溶け出すため、カップはプラスティック製のものが使われていたはずなのに、何故、今使用されているのか理解できない」と、述べました。

 今回の発表は、全く同様の問題です。

 それは当然ながら、金属イオン(クロム、コバルト)が解け出すことによる身体への悪影響です。

 William L. Griffin, MD, (OrthoCarolina Hip and Knee Center in Charlotte, N.C.,)は、人工関節全置換術90例の分析で、イオンレベルが7ppbを上回っていたと報告しています。

 高レベルの金属イオンによる、軟部組織の損傷・偽腫瘍および、骨の損失(X線で確認)、ソケットのゆるみに関係した痛み(52例のレビュー)などが報告されています。

 さらに、「North Tees」大学病院( England)のDavid Langton, MRCSは、最長8年間の調査によって、コバルトイオン濃度2ppbでは5年間の生存率は97%、10ppb以上では25%に低下したと述べています。また、20ppb以上では骨溶解のリスクは50%に達するとも述べています。

 「10ppb以上で、生存率25%に低下」は、恐るべきことです。
 
 メタルオンメタルインプラントの除去後、血清または全血イオン濃度は迅速に減少するものの、数ヶ月または数年後も、多くの患者は10ppb近くのクロムやコバルトイオンレベルが続きました。

 この、“MedPage Today”の記事では記されていませんが、長期的には金属イオンによるアレルギー症状の問題も起きているはずです。

・人工股関節全置換術
 大腿骨側は、大腿骨頚部で骨頭部分を切断して人工骨頭を骨髄内に打ち込み、さらに、関節の凹側である腸骨側は、関節部分を削り成形してカップをはめ込みます。つまり、関節の全体を人工にするものです。昔から、人工骨頭はチタン合金(私の記憶)ですが、カップは樹脂製でした。金属どうしではすれて摩耗しますので、金属の微粒子が解け出すことは当然のことです。何故、金属が使われるようになったのかは知りません。

Confusion Reigns in MoM Hip Implant Debacle
By John Gever, Senior Editor, MedPage Today
Published: February 10, 2012
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“メタアナリシス”、実は出版バイアスが大きい

2012-01-24 10:12:22 | 医療への疑問
 最近の医学研究報告で増えているメタアナリシス(Meta - Analyses )ですが、以前より、弱点とも言える出版バイアスの問題が指摘されていました。レビューの中でも、最も研究の質が高いとされるメタアナリシスですが、今回の“BMJ”の報告でその問題点が明らかになっています。

 メタアナリシスとは、その言葉が示すように多くの研究報告を統合して解析する手法です。個々の研究ではサンプルサイズが小さくて優位差を検出できなくても、複数の研究データを束ねることで検出できることや、新たな関係性などの発見にもつながります。

 当然ながら、統合するためには対象となる研究には質の高いものが求められます。さらに、統合に当たっては様々なバイアスを考慮する必要がありますが、特に、出版バイアスについての検討が重要です。

 「出版バイアス」とは、投稿される研究には、優位な結果が得られた研究が多くなる傾向があることや、有意な結果を報告している研究が出版され易くなるバイアスを言います。
 
 例えば、効果が期待される薬剤の研究で有利な傾向が見られた場合、統計学的に有意差が無くても投稿されます。逆に、若干不利な傾向が認められた場合には(理由の検証もなく)報告されないことが多くなります。これらのバイアスの検証がされなかったため、本来は全く効果が無く、有害であった薬品が長い間使用されていたケースもありました。

 私の印象では、統計学的優位差がほとんど無い場合、ほんの僅かでも数値が高ければ「有効」と結論します。また、逆であった場合には、「本当は優位の筈だが」とゴチャゴチャ言い訳を入れて、「本来は自らが意図する結果になるであろう」と、勝手な推論を述べている研究が相当多いのです。

 前置きが長くなりました。肝心の“BMJ”の報告の一部を簡単に説明します。

 1991-2009年までの、計383件のmeta-analysesから、最近の質の高い研究 31件を選んで調査しています。データは、“Medline”および、“Cochrane Library”から集めています。

 その結果は驚くべきもので、出版バイアスの可能性を検討していたものは32%でした。さらに、個別のデータを入手していたのは52%に過ぎませんでした。この作業は、実際は大変なのですがやらなければなりません。

 また、故意な選択的非システマティックが29%に認められました。本来、有利な報告も不利な報告も全てを集めて解析することが、メタアナリシスおよびシステマティック・レビューには求めれます。これをしなければ、勝手な主観を述べるだけの“Narrative Review”でしかありません。

 医学研究の、「信頼性が揺らいでいる」と言えます。
 
 出版されてもいない研究をどうやって検証するのかと、疑問に思われるかも知れませんが、実はできるのです。複数の手法がありますが、“Funnel Plot:ファンネル・プロット”が良く使われます。

 ファンネル・プロットは通常、横軸にエフェクトサイズ(有効率の差、オッズ比など)を示し、縦軸には、治療効果の精度(標本の大きさの関数)を示し、この2次元上に臨床試験の結果がプロットされます。プロットの形は逆さまの漏斗(ファンネル)状に分布します。

 出版バイアスが含まれていますと、プロットの下方の片側に空白ができます。本来そこには、利益を示唆しない少数例の試験結果が存在していることが推測されます。(Eggerらによって、ファンネル・プロットの非対称性に関する回帰分析法が開発されました。)

 繰り返しになりますが、“Negative Study”は公表されにくいため、出版された研究のみを統合して「メタアナリシス」を行いますと、誤って「有効」と判断されてしまう可能性があります。

 この研究の、ファンネル・プロットは、私のもう1つのブログ(はぐれ針灸学)には入れてありますので、興味の有る方は見てください。

Ikhlaaq Ahmed, Alexander J Sutton, Richard D Riley,
Assessment of publication bias, selection bias, and unavailable data in meta-analyses using individual participant data: a database survey
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.d7762 (Published 3 January 2012)
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世界初テーラーメイド疼痛治療と言いますが

2012-01-22 21:57:02 | 医療への疑問
 下顎形成外科手術において、術後疼痛管理に必要な鎮痛薬量と患者さんの遺伝子多型との関連を調べた結果、いくつかの遺伝子多型が鎮痛薬の感受性に関連することを突き止めたとのことです(東京都医学総合研究所の池田和隆参事研究員、東京歯科大学の福田謙一准教授らのグループ)。

 これらの鎮痛薬感受性関連遺伝子多型を、患者さんごとに前もって調べることにより、患者個人に合った鎮痛薬投与量を予測することに、世界で初めて成功したとのことです。

 この予測に基づいて、テーラーメイド疼痛治療を東京歯科大学水道橋病院で下顎形成外科手術を受ける患者さんを対象に開始するとのことです。将来的には、がん患者さんの疼痛治療等に対しても、同様のテーラーメイド疼痛治療を目指すとのことですが、……。

 私には、この治療法の価値と意義が全く理解できません。

 例えば、抗癌剤であれば、患者さん個人の遺伝形質と癌の種類に最も適合する薬剤を選ぶことは有意義です。しかしながら、鎮痛剤は選択しようにも種類がなく、投与量を変えると言いましても、何倍もの量を使えるわけでもありません。錠剤であれば、2錠使うべきところを1錠や3錠にする程度のことですし、患者個人の感覚でも調節できます。但し、多すぎても効果はありませんが。今回の方法は、麻薬性鎮痛剤の静脈投与ですが、何れにせよ、大げさに遺伝子検査までして決めることでしょうか(アホクサ)。

 DNAを調べたら、何か小難しくて偉そうなことしているぞ、みたいな、へそ曲がり的視点でしょうか。因みに、特許は出願済みとのことです。

 参考までに、テーラーメイド疼痛治療の方法とやらを書きますと

 水道橋病院の担当者(歯科医師)が、患者さんの口腔粘膜を綿棒で擦過してサンプルを採取します。また、手指氷水浸漬法(手指を氷水につけて痛みを感じたら引き出してもらい、氷水に手指をつけている時間(秒)を測定することで疼痛感受性を評価する。)で疼痛感知潜時を測定します。
 サンプルと手指氷水浸漬法の測定結果は、東京歯科大学水道橋病院個人情報管理者による連結可能匿名化を経て、東京都医学総合研究所(都医学研)に送られます。
 その後、都医学研において遺伝子型の解析をして、IV-PCA法(intravenous-patient-controlled analgesia:患者さん自身が痛みを感じたときに専用のPCAポンプのボタンを押すことによって予めプログラムされた一定量の麻薬性鎮痛薬を静脈内自己投与できる鎮痛法)によって1回投与量を算出(下顎形成外科手術228症例のデータ分析の結果導き出された予測式を用いて計算)するとのことです。

 う〜ん、鎮痛薬の投与量を決定することはこんなにも難しいものですか。「馬鹿馬鹿しい」、などと言いますと怒られそうですが。
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