かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

渡辺松男の一首鑑賞 416

2017年07月04日 | 短歌一首鑑賞

  渡辺松男研究49(2017年5月実施)『寒気氾濫』(1997年)
    【睫はうごく】P166
     参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、A・Y、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:泉 真帆       司会と記録:鹿取未放
  

416 十月のひかるまひるま火というをみつめておれば火は走りだす

      (レポート)
 作者は一冊を通してずっと〈ひかり〉を感じつづけていた。作者の身体のパーツ、あるいは心も、自我の内からあふれだしてしまうが、あふれつくして命だけになると、ひかりと渾沌一体化するようだ。しかし作者は、ひかりの内から同じように輝き照るものではあるが「火」は、「ひかり」と違い、力があるのだといっているのではないか。「火」は自力で走りだす。〈ひかり〉が無であるとすれば、〈火〉は無から反旗を翻す意志であるかのように。(真帆)


     (当日意見)
★真昼間に火を焚いていたら比較的見えにくいと思うのですが、何とか自分では掴めない何かを
  感じ取っているのかなと。(慧子)
★私はすごく現実的にとりました。草に火を点ける場面などを想像するとひかるまひるまだから火
 が見えにくいのですけど懸命に見つめている、そうするとちょろちょろっと燃えてバーと走り出
 す、燃え広がっていく様子ですよね。なるほどと思うしその景が魅力的でそれだけで美しいと思
 います。(鹿取)




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