かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠47(アフリカ)

2017年07月14日 | 短歌一首鑑賞

 馬場あき子の外国詠 ⑥(2008年3月実施)
  【阿弗利加 2 金いろのばつた】『青い夜のことば』(1999年刊)P168
   参加者:KZ・I、KU・I、N・I、崎尾廣子、T・S、Y・S、
       田村広志、T・H、渡部慧子、鹿取未放
   レポーター:T・H 司会とまとめ:鹿取 未放

           
47 職人のスークに一生きもの縫ふ青年の指の静かな時間

     (まとめ)
 ここに詠われた青年はきものを縫って一生を生きるおのれの運命を受け入れているのであろう。懸命にものを縫う青年の指に注目して、静かに時間を流すことで作者はここに生きるほかない人々に思いを寄り添わせている。(鹿取)


     (レポート)
 前回と同じスークの場面である。スークはご存知のように、イスラム世界独特の職人達の集まりの市場であるが、バザールとは違う。業種ごとにまとまって軒を連ねているようで、その中の職人のスークに作者は足を運ばれたようだ。作者はその中できものを縫う青年に足を止められた。青年は一針一針真剣に作品に取り組んでいた。そのきものは地元の民族衣装なのか、輸出用のものなのか分からないが、ミシンを掛けているのではなく、青年は針を持って、真剣にどこかをまつったりしている。作者はその青年の指に目を止められた。きっと長く細い指だったのだろう。ああ、彼はこうして一生針を持って過ごすのかな、と作者は「静かな時間」という言葉の中に、青年の未来とモロッコの国の未来を見つめておられる。一生、静かな時間という言葉に、既に決められた人生を歩む青年の悲しさが表されている。作者の青年に対する愛情、優しさが込められている。(T・H)


       (当日意見)
★人生が決められていてそこから逃げられない悲しさ。愛情をもって見守っている作者の気持ち。
    (崎尾)

『短歌』 ジャンルのランキング
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 渡辺松男の一首鑑賞 2の1の8 | トップ | 馬場あき子の外国詠48(ア... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

短歌一首鑑賞」カテゴリの最新記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL