かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

渡辺松男の一首鑑賞 400

2017年04月19日 | 短歌一首鑑賞
  渡辺松男研究48(2017年4月実施)『寒気氾濫』(1997年)
    【睫はうごく】P161
     参加者:T・S、A・Y、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部 慧子
     司会と記録:鹿取 未放


400 やまざくら抱くさっかくにおちいりて大空のごとく瞑りていたり

      (レポート)
 作者の成りきるという特質が大きく美しく表現され、大空のごとく瞑りていたときにはやまざくらを抱いていたと読んだ。しかし「さっかくにおちいりて」と成りきるという読みはどうもしっくりしない。ああ、「やまざくら」とは恋人なのだろう。「さっかくにおちいりて」に、はにかみを込めているのかもしれない。目を閉じて、しみじみそのときを味わったであろう。(慧子)


      (当日発言)
★自分が大空になっているんですね、目をつむって。(T・S)
★やまざくらと大空の取り合わせがいいなあと思いました。でも、「さっかくにおちいりて」がよ
く分からないですね。(A・Y)
★慧子さんの成りきるとさっかくが矛盾するという話、なるほどねと思いました。なりきりだった
 ら、大空としてやまざくらを抱いていたといえばいいんだからね。抱いていたのは女性なんです
 ね。でも、里の染井吉野のような華やかなさくらではなくてやまざくらというところがいいです
 ね。ちょっと野生があって素朴で、つんとすましたような都会の桜とは違う。(鹿取)


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