かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠31(アフリカ)

2017年06月10日 | 短歌の鑑賞

  馬場あき子の外国詠 ④(2008年1月実施)
  【阿弗利加 2 金いろのばつた】『青い夜のことば』(1999年刊)P162~
  参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、T・S、高村典子、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
  レポーター 渡部慧子 司会とまとめ 鹿取未放 
 
31 観光として生き残る水売りの老爺鈴振る真赤(まつか)なる服

      (まとめ)
 レポーターは真赤な服をサンタクロースの格好ととらえているが、民族衣装だろう。おそらくかつて実用として水が売られていた時から着用していたのだろう。観光としてのあざとさがいくらかは気にかかりながら、作者にはそういう風俗を伝えつづけてほしい気持ちもあるのではないか。
 レポーターが引いている水牛の歌は、馬場あき子歌集『南島』に載る。沖縄の先島七島を巡った旅の歌で、由布島での体験がもとになっているようだ。沖縄の小さな島で戦争を越え、老いて更に生き続ける人の労苦がいかばかりだったか、直接問うことはしないで思いやっている、重くしみじみとした歌である。(鹿取)


      (レポート)
 日本には古来風鈴売り、西瓜売りなどそののどかな売り声とともに天秤棒を振り分けて歩く情趣深い生活風俗があった。ここアフリカモロッコは水の少ない地であろう。そういう暮らしにつながる水売りに出会った。どうやら観光客相手に、その形を残しているらしいが、老爺のいでたちはまるでサンタクロースだ。国民の99%がイスラム教であるというモロッコにおいて、キリスト教文化の一端を取り込んで商魂たくましくユーモラスに生きている様がとらえられているのだが、商魂とかかわらなくても、世の虚飾にとらわれずどのようにもなりおおせる老爺、そんなところへも想いのおよぶ一首だ。 (慧子)
 観光の水牛の後(しり)に吾を乗せし老爺の戦後問はず思はむ

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