かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠226(中国)

2017年10月12日 | 短歌一首鑑賞

馬場あき子の旅の歌30(2010年9月実施)
    【李将軍の杏】『飛天の道』(2000年刊)180頁
    参加者:N・I、曽我亮子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
    レポーター:曽我 亮子
    司会とまとめ:鹿取 未放


226 鳴沙山の駱駝はわれを乗せまじとかなしげに嘶(な)く嘶けど乗るなり

      (レポート)
 鳴沙山のふもとに客待ちしている駱駝は、もう観光客をかなり乗せて疲れていたのではないだろうか。「もう働くのは嫌だよー」と嘶いて、私を乗せまいとする。しかし作者は駱駝も可愛そうだが、これを生活の糧として生きる人の為にも、また作者自身も鳴沙山から望む沙漠に沈む夕陽の絶景を見るために来たのだから…等々逡巡しつつ乗ることにされたのであろう。生きとし生きるものへの作者の優しいこころが偲ばれる。(曽我)

  
      (まとめ)
 「かなしげに嘶(な)く嘶けど乗るなり」の5句と6句の間にどのくらいの逡巡があるのだろうか。それでも乗るのは非情ではなく強さだろうと思わせられる。『青椿抄』には「人間はいかなる怪異あざあざと蛸切りて食ふを蛸はみてゐる」があり、蛸が自分を切って食べる人間を見ているというのだが、それでも作者は食べるのである。また1991年の『南島』にも「水牛は強きゆゑ車曳くなれと哀しめど乗りて海瀬(うなせ)を渡る」という歌が収録されている。(鹿取)


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