かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠229(中国)

2017年10月15日 | 短歌一首鑑賞

   馬場あき子の旅の歌30(2010年9月実施)
      【李将軍の杏】『飛天の道』(2000年刊)182頁
       参加者:N・I、曽我亮子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
       レポーター:曽我 亮子
       司会とまとめ:鹿取 未放


229 月牙泉しづかに水は衰へて沙漠は沙漠化を深めてゐたり

      (レポート)
 月牙泉(敦煌の鳴沙山の谷合に湧く三日月型の泉)は古来、決して枯渇することはないと言われてきた。しかし現在、地球環境の変化に伴いその原泉の地下水も涸れつつあり、少しずつ水量が減ってきている。そして沙漠は渇きを速め、どんどん広がってゆく…。作者は悲しい地球の現状を深く愁い、」「砂中の一滴」のような美しい月牙泉の衰えつつあることへの悲しみを詠っておられる。あるいはロプ・ノール湖の悲劇に思いを致されていたのかもしれない。まことに静謐で美しい歌である。
 ■1970年代まで約16000平米あった湖水面積が現在3分の1まで減ってきているとのこ
  とだ。(『シルクロードの光と影』野口信彦)


      (まとめ)
月牙泉は大切な観光資源なので、現在人工的に維持管理されているようだ。ほっておくと泉は水が涸れて砂で埋まり消滅してしまうのだろう。「沙漠は砂漠化を」という畳みかけにじんわりとした怖さと哀しみが滲む。(鹿取)


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