かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

渡辺松男の一首鑑賞 2の2

2017年07月08日 | 短歌一首鑑賞
 
 渡辺松男研究2の1(2017年6月実施)『泡宇宙の蛙』(1999年)
    【無限振動体】P10
     参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、A・Y、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:渡部慧子       司会と記録:鹿取未放
  

2  倒木を埋めつくしたるうごめきのイヌセンボンタケ食毒不明

      (レポート)
 食毒不明ゆえにイヌセンボンタケは茸狩りからまぬかれ、あたりの倒木を埋め尽くすまで広がる。食毒不明なものが増殖してゆく不気味さをこめて「うごめき」という捉え方をする。「うごめき」は蠢きと書く。(慧子)


          (当日発言)
★たぶん倒木を埋めつくして蠢いている無数のイヌセンボンタケのイメージが1番の「森のかぜ茶
 いろのながれ光るなか無限振動体なるきのこ」にも作者にはあるのかなあと思うのですが、読者
 には1番を読んだだけでは分からないですね。ところで、レポートに不気味とありますが、私は
 意見が違います。食毒不明ということで不気味さを言いたいのではないし、増殖していくことに
 対しても気味悪がっているわけではない。むしろありのままを言っていて、それはどちらかとい
 えば小気味よいのかなと思います。画像を見るとイヌセンボンタケは小さくて白っぽい茸で千本
 というくらいだから群生するんですね。食中毒の記録はないけど、まあ食べない方がいいでしょ
 うとか茸図鑑には書いてありましたが。(鹿取)
★結句に食毒不明とあるので得体の知れない感じというのを表現されたのかと思いました。だから
 私は不気味と思いました。(真帆)
★食べる食べないは関係なく、ものすごい数の茸が無限のように蠢いているって想像するだけで楽
 しいですね。森の光りの中で茸が揺れている、その風景だけで素晴らしい。情景として浮かぶい
い歌だと思います。(A・Y)
★景だけで楽しいという今みたいな鑑賞は作者は嬉しいんじゃないかなと思います。それだけで圧
 倒的な風景ですよね。また、言葉に即して読むと慧子さんとか真帆さんとかの鑑賞も当然アリな
んですけれどね。(鹿取)
★歌集の始まりの歌なので無限振動体というのは自分にダブらせたのかなと思いました。何者にも
こころを揺れ動かしている自分です。2首目は食毒不明だけどおどろおどろしくはないキノコを
 出してくる。3首目はスパスパで明るい。小説でもそうだけど、何だろう何だろうと読者を引き
 込んでゆく。そういう面白い組み立てになっていると、そういう巧みさを思いました。(真帆)
★私は茸は茸と思っていますが、いろんな読みがあってもいいと思います。(鹿取)


           (後日意見)
 この一連を通して作者は茸にはシンパシーを持って詠っているようだ。余談だが、松男特集号で「地に立てる吹き出物なりにんげんはヒメベニテングタケのむくむく」について、渡辺松男は「人間のたとえに使ってしまい、ヒメベニテングタケには申しわけないことをしたと思っています」と発言している。(鹿取)
『短歌』 ジャンルのランキング
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 渡辺松男の一首鑑賞 2の1 | トップ | 渡辺松男の一首鑑賞 2の3 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL