かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠344(スイス)

2016年11月20日 | 短歌一首鑑賞

  馬場あき子の外国詠48(2012年2月実施)
      【アルプスの兎】『太鼓の空間』(2008年刊)173頁 
       参加者:N・I、井上久美子、崎尾廣子、曽我亮子、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
       レポーター:渡部 慧子
       司会とまとめ:鹿取 未放

344 ヴェッターホルンの断面は窓の外(と)にありて雪しづれゆく膚かがやかす

            (レポート)
 氷河に削られ「断面」と呼びたきまでの山壁が「窓の外」にある。それに続いて4句「雪しづれゆく」と5句「膚かがやかす」と並列句と読むか、「雪しづれゆく肌」9音と「かがやかす」5音の句またがりと読むか、いずれであろう。主語「ヴェッターホルンの断面」に対して「しづれゆく」は自動詞、「かがやかす」は他動詞であり、並列句と読むより後者の読みに1首として強さを感じる。後手に回ってしまったが、「しづれゆく」とは積もった雪が滑り落ちるの意。断面と呼ぶほど凸凹が浅く影が少ないのであろう。そこへ陽光がそそいで「雪しづれゆく肌」を「かがやかす」のである。(慧子)


          (当日意見)
★「ヴェッターホルン」は(写真持参しましたが)グリンデルワルトの景観を形作っていて、とて もシャープな山容をしていますね。3,710メートルで、富士山よりちょっと高くてとても秀 麗な山です。ドイツ語で「お天気山」という意味だそうです。ホテルでしょうか、窓からヴェッ ターホルンの垂直のように切り立った断面が見えていて雪がそこを滑り落ちてゆく。昼の太陽の 熱で雪が溶けて落ちるのでしょうね。山肌を輝かしているのは、太陽の光が断面に当たっている のでしょうけれど、山が自ずから輝いているような印象を受けます。躍動感のある土地褒めの一 首ですよね。(鹿取)


          (後日意見)
 レポーターの書いている通り、下の句は「雪しづれゆく肌」を「かがやかす」の意味でしょう ね。ただ「9音、5音の句跨り」という書き方は少し変で、「雪しづれゆく」7音、「肌かがや かす」7音で、「雪しづれゆく肌」が4句と5句に跨っているわけです。「雪しづれゆく肌」9 音と言っちゃうと句が跨らなくなりますから。(鹿取)
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