かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠183(中国)

2017年08月13日 | 短歌一首鑑賞

    馬場あき子の旅の歌23(2009年11月)【紺】『葡萄唐草』(1985年刊)
      参加者:K・I、N・I、T・K、T・S、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:T・H
      司会とまとめ:鹿取 未放


183 彼方越ここは呉地なる六和塔の十三層上春たけてをり

     (レポート)
 今、先生は 六和塔の十三層上に居られる。はるかかなたを眺めると、かつてあちらの方は越の国だったなあ、そして今、私は呉と言われた国の六和塔の十三層にいる。周りを見渡すと、花咲き鳥が歌う春たけなわである。旅情を充分に感じておられるご様子が、ほほえましい。それにしても馬場先生の中国の歴史・地理・書物に関するご造詣の深さには、脱帽です。(T・H)
   呉、越:春秋戦国時代(BC600年~500年頃)の覇者。


     (当日意見)
★ 呉越同舟(N・I) 


     (まとめ)
 六和塔は、杭州市街の南方、銭塘江沿いの月輪山に建っている。銭塘江の逆流を鎮めるために970年に建立されたが、戦乱によって消失、何度か建て替えられて、最近では清代(1900年)に木造の外層が造られたそうだ。銭塘江を見下ろす高台にあるため、灯台としての役割もあったそうだ。その十三層は60メートル近くあるということだから呉越同舟の語源になった争いの地が両方ながら見渡せるのだろう。その塔に登って何事もなかったかのような春景色を眺めていると、さまざまな感慨がわくのであろう。「春たけてをり」の結句に寂しいような明るいような茫漠とした気分がにじんでいる。ちなみに呉越の戦いは春秋時代の話で、呉が滅亡したのはBC463年のことである。(鹿取)


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