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サンデー毎日記事 お尻を洗いすぎる女たち

2012年05月11日 | 化学物質

サンデー毎日2012年4月29日号 お尻を洗いすぎる女たち

トイレに行くたび温水でシュー。今や、髪の毛よりも顔よりもたびたび洗っているのがお尻である。きれいさっぱり、気分もすっきりではあるが、ことはそう単純ではないらしい。温水洗浄便座と女性の関係を探ると、水に流せない指摘も聞こえてきて――。

 膣内異変で早産を引き起こす?

「2000年頃から『おりものの増加が気になる』と訴える女性が増えてきました。大半が『毎日洗って清潔にしているのに、なぜ?』と口をそろえる。温水洗浄便座との関係に着目し調査を進めると、驚くべき結果が出たのです」

 こう話すのは、国立国際医療研究センター病院(東京都新宿区)産婦人科の荻野満春医師だ。おりものとは女性の生殖器から出る粘液や組織片で、排卵期には増える。常に多かったり、においが強い場合は異常が疑われる。

 一方、温水洗浄便座は「便じ秘や痔の改善に有効」とされ、92年に約14%だった一般世帯普及率は10年には71.66%に達した(内閣府調査)。今や、便秘や痔持ちではなくても「洗えないトイレにはもう入れない」(38歳主婦)、「海外旅行時は必ず携帯用洗浄器を持参する」(29歳公務員)と、お尻洗いは日常化。清潔は健康の証しといった感がある。

 しかし、荻野氏は逆を疑った。同センター研究指導者・箕浦茂樹医師らと07~08年、おりものの増加を訴える妊娠していない19~40歳の女性268人に、温水洗浄便座と膣内環境の関連について本格的な調査を行った。トイレに行くたび温水洗浄便座を使用している(女性用ノズルのビデは除く)「使用者」154人と、未使用か時々使うだけの「非使用者」1I4人の膣内分泌物を比較したところ、使用者の「膣内異変」が明らかになったのだ。

 消えた善玉薗

 まず、膣内に不可欠な善玉菌である乳酸菌。著しい減少や消失が認められたのは非使用者では約9%だったが、使用者では43%にのぼった。「乳酸菌は糖を利用して乳酸を産生し、膣内をpH4・5~3・5の酸性に維持。悪玉菌である病原菌の侵入や増殖を防いでいます。いわゆる膣の自浄作用ですが、乳酸菌が減少・消失すればpHが上昇し、膣内環境が悪化します」(荻野氏)

 その証拠に、使用者は非使用者に比べ、大腸菌などの腸内細菌や、皮膚に常在する溶連菌や黄色ブドウ球菌といった悪玉菌が、高い割合で認められた。中でも腸内細菌が検出された症例では、92%を使用者が占めた。「大腸菌などの腸内細菌は、肛門付近にある限り悪さはしない。膣口など他の場所に移ると悪さをするのです。温水洗浄便座の習慣的使用が背景にあると分析します」(同)

 早産招く「細菌性膣症」

 膣内で悪玉菌が増えた状態が「細菌性膣症」だ。おりものの増加がみられる以外、痛みやかゆみなどの自覚症状は希薄。それだけに治療を怠るケースが少なくないという。さらに細菌性膣症は、妊娠22~37週未満で出産する早産との関連性が指摘されてきた。「妊娠中に細菌性膣症を発症したり、細菌性膣症とは知らずに妊娠すると、細菌が子宮頸管から子宮内に進行して、絨毛膜羊膜炎になりかねない。結果、前期破水や子宮収縮などで早産を招きやすくするのです」(同)

 80年に4・12%だった日本の早産率は10年には5・72%になった。喫煙やダイエット、結婚・出産年齢の上昇など要因はさまざま指摘されるが、荻野氏は細菌性膣症の増加も一因ではないかとみる。「妊娠初期に細菌性膣症かどうかをチェックし、もしそうであれば妊娠20週までか、遅くとも、妊娠24週までには抗生物質による治療を終わらせておくのが望ましい」と荻野氏は言う。

 閉経後こそご注意

 ただ、温水洗浄便座の影響は生殖年齢の女性だけに特有なのではない。前出・荻野氏は「むしろ閉経後の女性が症状を悪化させやすい」と指摘する。氏が診察し、治療・経過観察中のある60代女性は、自宅に温水洗浄便座を設置した3年ほど前から下腹部に違和感を覚え、最近腹部の張りで病院に駆け込んだ。子宮内に膿がたまり、骨盤腹膜炎を併発していた。「閉経後の女性はただでさえ膣内の乳酸菌が減少しているのに、こまめに温水洗浄便座を使い、かえって悪玉菌を増殖させているケースが目立ちます。月経がないから血液が悪玉菌を膣外に排出せず、気づいた時には子宮まで被害が及んでいることが少なくありません」(同)

 子どもの膣にも異変が報告されている。西日本の某国立大学病院産婦人科医は、最近5歳の女の子に膣の炎症を認めたという。「膣に親指大の穴が開いていました。異物を入れた様子はないので、温水洗浄便座の水圧が原因ではと推測し、使用を控えるよう指示すると来院しなくなりました」。洗浄が強めの水圧で設定され、直接膣にぶつかっていた可能性があるようだ。また、シャワーでマスターベーションする女性がいるように、温水洗浄便座を使う女性もいる。ある38歳ライターは「水圧が気持ち良く、陶然と数分間温水を当てっぱなしということがある」と告白。インターネット上では温水洗浄便座によるマスターベーションがやめられないという記述が見られるが、目的外使用はもちろん危険である。

 では、男性は? 藤田紘一郎・人間総合科学大教授(感染免疫学)に聞いた。「男性の尿道は肛門から遠く、お尻を洗っても飛沫が命中しないので女性に比べ病気にはなりにくいと言えます。ただ、お尻の洗いすぎで肛門周辺の皮膚常在菌まで洗い流し、皮膚が酸性から中性に変化。大便中の細菌がちょっと皮膚に侵入しただけで炎症を起こし、痛いと訴える男性も少なくありません」

 

気になる「汚れ」.

 温水洗浄便座を使用して気になるのは、本体の汚れ。公共トイレでノズルに便の付着を見たのは一度や二度ではない。ノズルの汚れが膣内異変の原因である可能性はないのか。80年から温水洗浄便座「ウォシュレット」を販売するTOTO(本社・北九州市)に尋ねると、清潔性を保つ機能をこう説明する。

「ノズルの使用前後に水道水でノズルを洗浄するセルフクリーニング機能や、最新商品には『きれい除菌水』でノズルの内外を自動的に洗浄する機能が搭載されています。便座とノズル素材には防汚効果の高い樹脂を採用し、さらにお尻を洗浄した湯がノズルにそのまま落ちてこないよう、角度も工夫しています」(同社広報部)

 温水自体が汚染されていることはないのか。東海大健康科学部の松木秀明教授と片野秀樹研究員(公衆衛生学)らは09年、温水洗浄便座の温水タンク内で細菌が繁殖しやすいことを突き止めた。神奈川県内の民家80カ所、公共施設28カ所で温水洗浄便座の局部洗浄水を採取した結果、水道水の水質基準を超える細菌を検出している。実に民家では基準の平均31倍、公共施設では10倍。民家では4カ所から大腸菌群が見つかり、うち一カ所では緑膿菌も認められた。

「市場の大半を占めるタンク付きタイプの温水洗浄便座は、タンク内の水道水が人肌程度の温かさに維持されているため塩素が蒸発し、細菌が繁殖しやすいと考えちれます。お尻洗浄時に肛門から温水が跳ね返って大腸菌などがノズルの穴から侵入したり、空気中の細菌が穴から入るなどの可能性が推測できる」(片野氏)

 また、この調査で公共施設に比べ民家の検出が多かったのは、温水洗浄便座の使用頻度に関係があると片野氏は分析する。「温水洗浄便座は使用のつどタンク内の水が補充される仕組みです。家庭では使用頻度が少ない分、水が入れ替わらず汚染しやすかったのではないか」

 一般社団法人・温水洗浄便座工業会に上記見解をぶつけると「ノズルからタンクに水が逆流することはない」としながら、旅行などで長期に自宅の温水洗浄便座を使用せずにいた場合、念のため一度タンク内を水抜きしてから再使用することを推奨する。

〃犯人"は飛沫?

 しかし片野氏は、タンク内の水の細菌が膣内環境の悪化を促しているのではなく、問題は飛散にあるとみる。「温水洗浄便座で肛門を洗った水は、膣や尿道、股間まで飛び散ることが分かっています。大腸菌などが膣口や尿道に付着してもおかしくない。洗浄後、濡れたままトイレットペーパーで拭けば、悪玉菌を塗り広げることにもなり得ます」

 お尻洗いをめぐるさまざまな疑問。前出・温水洗浄便座工業会は「これまで温水洗浄便座使用によって病気になったという報告は一件もない」としながら、過度の使用はしないよう注意を喚起する。今後は病気との関連を調べるため、知見を得る予定もあるという。「過度」が何回なのかは明示されなかったが、妊娠中や早産既往のある女性、閉経後の女性は、特に気を配った方がよさそうだ。さらに「洗いすぎ」は入浴でも要注意だ。

「臀部や性器をアルカリ性せっけんで洗いすぎると、酸性に維持された膣内がアルカリ性に傾いてしまいます。人間には自分で自分の体を守るメカニズムが備わっている。過度に清潔にこだわり、手をかけすぎて健康を害しては元も子もありません」(リプロ・ヘルス情報センターの菅睦雄代表)。

 トイレで弁当を食べる女もいれば、お尻を洗いすぎて〃余波"を呼び込む女も。何事もほどほどに、が難しい時代なのかもしれない。本誌・菊地香

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