悠々自適

日常の雑感をそれとなく

93 生物授業の思い出

2017-08-28 10:18:07 | 思い出
個人を特定する時にはDNA鑑定が行われますが、このDNAはDeoxy 
Ribonucleic Acid(デオキシ・リボ・核酸)の略語であることを知って
いる人は少ないと思う。

高校1年の時の担任はコンコ(讃岐弁でタクアン)と言う渾名の生物
の先生でしたが、広島高師を出られたこのY先生は生物学を深く研究
された素晴らしい先生でした。細胞の話になった時に、デオキシリボ
核酸の説明を英語を交えてしてくれたので、その格調の高さにビックリ
した事を今もよく覚えています。

そのY先生が、遺伝の話になった時、皆に質問をしました。「君ら、何で
生物界にはオスとメスがおるんや? 有性生殖やったら、異性がおらん
と子供が出来へん。それに異性を獲得するのによーけエネルギーを使
わんならん。草履虫みたいに単性生殖の方が効率的でえーやないか」。

オス、メスの存在理由など誰も考えたことはなく、当然、誰もこの簡単
な質問に答えられませんでした。

先生はこう言われました。「生物界で何が一番大事や。それは種の維持や。
命の火のリレーを絶やさない事や。えーか、草履虫が単性生殖で増えま
くって全世界を覆ったとせんか。この草履虫は10度以下では生きられ
ん生物やったとしたら、地球の温度が9度になったらどうなる。皆同じ
草履虫やから全滅やないか。それでは種は滅んでしまう」。

「オスとメスは、子供に差をつけて種類を増やすためのもんや。
兄ちゃんは頭がええけど足が遅い。弟はその逆。姉ちゃんは美人や
けどすぐ風邪を引く。妹はその逆。環境がどう変わるか判らへんと
したら、どの遺伝子が生き延びられるかは誰にも分からない。
だから、色んな兄弟姉妹をよーけ作った方が環境変化の中では生き
残れる確率が増えるんや。その結果、オスとメスが出来て、その種が
生き残ったんや」。

Y先生はオスメス論の話の後、面白いエピソードをしてくれました。ある
パーティーでバーナードショウにグラマーダンサーのイサドラダンカンが
言った、「ねー、結婚しましょうよ。私達が結婚すれば貴方の素晴らしい
頭脳と私の素晴らしい肉体を持った最高の子供ができるわ!」
バーナードショーが言った。「やめましょう。貴方の貧弱な頭と私の貧弱
な肉体を持った子供が生まれたら悲劇です」。

このエピソードを聞いた時は、成る程と感心させられました。しかし今
考えると、先生の話の趣旨からすれば、二人の結婚は必ずしも否定すべき
ものではないと思います。二人が結婚をして、バーナードショーが悲劇と
思った貧しい頭脳と貧しい体の子供が出来ても、もし、その子は特殊イン
フルエンザへの強力な抵抗力を持ち、周囲の子供達が皆死に絶えてしまっ
ても、その子だけは生き残れたとしたら、二人の結婚は大正解になると
思います。

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