鞦韆院落

北京で過ごすインディペンデント映画な日常

復活

2016-09-11 01:46:40 | 其他
栗憲庭電影基金の映画祭がここ数年開けずにいることは、これまでにも折にふれて書いてきました。
今年ももちろん開催できるはずもなく、当初から開こうとは考えていませんでした。
ただ、従来のような映画祭ではなくても、形を変えて継続していくことは諦めていませんでした。

今年も春から作品の募集を行い、フィクション部門約100本、ドキュメンタリー部門約80本、実験映像部門約50本の応募がありました。
8月に締め切りとなり、選考メンバーを集めて上映作品の選考が行われました。
ただ選考メンバーや入選作品リストについては、公表されていないので、ここでも言及は避けます。

9月1日、798芸術区で「BIFF実験映像展」が開幕されました。
BIFFとはべつに釜山映画祭のことではありません。
分かる人にだけ分かるように、現代アートとしてパッケージし、いちばん当り障りがないであろおう実験映像だけ上映することにしたのです。
会場の中にたくさんのモニターを置く、芸術展のような方法でやりました。
30本ほどの作品が選ばれ、作家たちもみな呼び集めて、開幕式もやりました。
ただ、その日のうちに当局がやって来て、イベントは中止になってしまいました。
残念ではありますが、予想はしていたことです。

ただ、なぜか映像展は数日後に復活したのです。
こんなこともあるものかと、ビックリしました。
G20も終わって、警戒レベルが下がったのかもしれません。


基金では半年前まで、ときどき週末になると上映イベントを開いていました。
このところは電影学校もあって、週末の上映はやっていなかったのですが、ここにきて再開することになりました。
今後、よほどのことがない限り、毎週末上映をするといいます。
作品はいずれも、映画祭に応募されたものから選ばれています。
そして、第一弾として李紅旗の『神経二』が10日に上映されました。

実は8月下旬に一元電影院で独立電影を上映しようとして、中止させられたことがありました。
例年その時期に基金が映画祭をやっていたので、宋荘で上映活動すること自体がとても警戒されていたのだと思います。
そんなこともあって、今回も中止になるのではという不安がありました。
でも、蓋を開けてみても特に問題はなく、50人ほどの観客を集めて、普通に上映が始まったのでした。



もしかすると、いま王宏偉や栗憲庭が北京にいないので、さほど問題視されていないのかもしれません。

『冬休みの情景』で日本でも李紅旗を知っている人がいると思いますが、彼は詩人でもあり、中国ではわりと知名度のある人です。
その李紅旗の新作が上映されるとあって、注目度は高かったようです。

『神経二』はドキュメンタリーで、ほとんどのシーンは道端に座っている老人たちの会話を固定カメラで撮ったものです。
彼のナンセンスな持ち味はドキュメンタリーでも同じで、とてもシュールな会話が繰り広げられています。
時々客席から笑い声がこぼれていました。
良い映画と呼ぶようなタイプの作品ではないので、味があるというか、ちょっと面白いとしか言いようが無いですが、刺激的な映画です。
本人も、何かを考えるきっかけになるような作品を作りたいのだと言ってました。

上映後にはQ&Aがあって、活発に質問も出たのですが、理解に苦しむのは、上映最後の20分くらいで入って来てろくに映画も見てない人が、堂々と手を挙げていくつも質問するのです。
それも、映画と何も関係のない、「あなたにとって幸福とは何ですか?」といった質問を。
こういう人は何が楽しいんでしょうか。

それから、上映中に微信をやってる人がとても多くて、そういう人はたいていスクリーンを撮影しています。
画像を載せて、「いま映画を観てる」とか微信に書いているんでしょうね。
ちょっとイラッとします。

ともかく、無事上映ができたことは何よりです。
今後もつつがなく上映が行われることを願うばかりです。

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