黒い瞳のジプシー生活

少なく見ても苦節6年、ようやく仕事につけた私。心の放浪にも、終止符を打つことができるのか!?

新しい仕事、新しい人間関係

2016-10-16 23:37:09 | 思索系
大河ドラマ「真田丸」。このたびの話題は、大坂へ参陣する
ために浅野家の目を欺いて脱出をはかり、これを見事成功
させて大坂に入城するといった話。時代は大坂に入城した
時点で1614年10月、幸村48歳、信之49歳である。幸村が
いかにして九度山を脱出したのかについては、『決定版
真田幸村と真田一族のすべて』でも紹介されている。これに
よると、幸村たちは百姓衆に「年来お世話になったから」
と言って大盤振る舞いをし、上戸にも下戸にもあびるほど
酒を飲ませ、やがてほとんどの連中が酔いつぶれて眠った
のを見計らって百姓衆たちの馬を借りて出立した――
といったもので、おおまかに言えばドラマの内容とあまり
変わらないものといえる(『武辺咄聞書』『翁物語』など)。
また同書によると、『幸村君伝記』では浅野家の追っ手に
対し村の者が(本当は三時前なのだが)「幸村は三日以前に
立ち退かれた」とウソを言い、そうすることで危急の際に
幸村を救ったとも伝えているという。幸村が百姓に情けを
かけていたのが脱出の際に功を奏したという点でいえば、
こちらもドラマとおおむね変わらないといえる。

さて、このたびの幸村入城について、豊臣譜代衆や、他の
浪人衆のあいだでは実際の歴史ではどのように受け止め
られたのだろうか。思うにこの点については、現代人の
推測による部分が多いのではないかという気がしている。
ただ、少なくとも『決定版 真田幸村と真田一族のすべて』
と『別冊歴史読本 真田幸村と大坂の陣』とで共通して
述べられている点として、入城当初の幸村が、豊臣譜代衆
首脳たちにあまり信用されていなかったのではないかとする
点である。何といってもやはり兄の信之や叔父の信尹が
徳川方になっているのだから、この点一つとっても、幸村が
なかなか信じてもらえなくても無理からぬ話と思われる。
ましてや当時の豊臣譜代衆などは小田原攻め以来ほとんど
実戦を経験せずしかも世代交代も進んでいて、いわば戦力
としてはもはや豊臣家への忠義だけが取り柄というべき
人たちである(後者の『別冊歴史読本 真田幸村と大坂の
陣』による)。ドラマでは豊臣譜代衆首脳の大野治長が
幸村入城を心待ちにしていて、幸村が到着するなり歓迎
して秀頼に会わせていたが、私はやはり幸村はすぐには
信用されなかったと推測するのが妥当と思われる。

一方、他の浪人衆の反応については、本によって推測が
分かれているようである。少なくとも、前者では後藤
又兵衛が当初より幸村を高く評価しており、そのことを
豊臣譜代衆にも語ったので譜代衆も幸村を信用して真田丸
構築を許可したことになっているが、後者ではそのような
話は伝えていない。後者によると、後藤又兵衛は戦術には
明るくても戦略を練るのは不得手な侍大将のような武将
だった。よって、自分が不得手な戦略に関する幸村の案に
ついては積極的に支持するものの、得意分野の戦術の話と
なるとあまり聞く耳を持たなかった。また、実戦でノウ
ハウを磨いてきた又兵衛にとって経験が乏しく態度も控え
めな幸村は、むしろ侮りの対象であったという。
ドラマでは後藤又兵衛らが入城してきた幸村のことを胡散
臭そうに見ていたが、もしかするとドラマの又兵衛も
同様に幸村のことを見ているのかもしれない。

後者の本でしか指摘していないが、少なくともドラマの
内容に関連して言えば、他の武将に知られた武勲が幸村に
ほとんどなかったという点は重要なポイントであるように
思われる。ドラマでは幸村が大坂につくなり「二度の上田
合戦は実は自分の采配によるものだったのだ」と宣伝して
いたが、このようにウソをつくことも、幸村の武勲が世に
知られておらず実力が未知数とされていたと仮定すれば
「さもありなん」と思えるようになってくるからである。

以上のように整理してみると、要するにドラマの幸村は
百戦錬磨の又兵衛からは胡散臭そうに見られ、また徳川
家康からは父・昌幸ほど恐れられることもなかった。
そして幸村自身も、自分に軍事的声望がないことをよく
知っていたのでウソまでついた。にもかかわらず、大野
治長や秀頼は幸村入城を「心強い」と喜んだことになる。
いくら幸村が同じ豊臣官僚だったとはいえ、なぜドラマの
大野や秀頼は軍事的声望がないことを自他ともに認めて
いるようなものを頼もしく思うのか、不思議でならない。

ちなみに不思議といえば、又兵衛のような浪人衆の中には
大谷吉継の忘れ形見で幸村の義兄弟というべき大谷義治
という武将がいるはずだが、どういうわけか登場しない。
大坂の陣における忠義の英雄は二人も要らないという
意味なのだろうか。


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