少し目を離している間に、
とんでもない問題が発覚したようです。
既に複数のメディアも取り上げてご存じのことと思いますが、
自分の後学のために事実関係を整理しておきましょう。
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窮余の資金調達で問題が発覚 アーバンコーポ破綻劇の裏側
8月18日 ダイヤモンド・オンライン
新興不動産会社アーバンコーポレイションが13日に東京地裁に民事再生法
の適用を申請した。負債総額は2558億円と今年最大の倒産となった。
上場企業では6月にスルガコーポレーション、7月にゼファーといった
新興不動産会社が相次いで破綻しており、あらためて不動産市況の悪化を
認識させることになった。
ただ、アーバンについては投資家をミスリードするような情報の非開示が
倒産と同時に明らかになっており、後味の悪さを残している。
アーバンは民事再生法の適用を申請した13日現在で資産超過状態であり、
結局、資金繰りのメドが立たなくなったのが倒産の引き金となった。
今年の4~6月には、棚卸資産である不動産を数百億円売却して資金調達を
図ったが、
「昨年末以降、金融機関からの新規借り入れや借り換えが困難になった」
(房園博行社長)状況で、資産売却が追いつかずについにギブアップした。
同社のビジネスは、主力事業である不動産流動化事業は不動産を仕入れて、
改装、建て直しなどにより価値を向上させて転売するというもの。
典型的な回転売買型で、不動産市況が下落局面を迎えたことでビジネスモデルが
簡単に破綻してしまった。
ところが、アーバン倒産の図式はそんな単純な話だけでない。
一般投資家に多大な損害を与える重大な開示義務違反ともいえる問題が
明らかになったことに注目すべきだろう。
アーバンは7月に財務基盤を強化するためにフランスのBNPパリバに対して
300億円の転換社債型新株予約権付き社債を発行し、資金調達に成功したとして
いた。
だが実際には、アーバンにとって不利なスワップ契約を抱き合わせで締結して
おり、相殺すると300億円のうち約90億円しか資金調達できていなかった。
さらにスワップ契約によって最終的に58億円の営業外損失まで発生しているの
だから、あきれた話だ。
社債発行時には、大きな損失を発生させる可能性のあるスワップ契約
のことにはまったく触れておらず、一般投資家にまるまる300億円を資金調達
できたと思わせていたのだから、これは一般投資家に対する裏切り行為だ。
(引用終わり)
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■CBとスワップ契約の概要■ ~日経ヴェリタス8/17号 14面より~
①CB
7月11日 2010年満期300億円CB発行。転換価格344円(同日終値)
300億円がアーバンの口座に振り込まれる。(開示はここまで)
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
(以下、破綻時まで非開示)
②スワップ契約
・7月11日 アーバンは振り込まれた300億円を即座にパリバに支払う
・パリバは手元にあるCBを株式に転換したうえで、市場の売買高の12~18%
に相当する株数を市場で売却。
売却した株数とその日の市場のVWAP(売買高加重平均株価)の90%に相当する
価格を掛け合わせた金額を日々アーバンコーポへ支払う。
パリバから見れば、転換したCBを市場で売却した金額のうち10%は確実に
儲かる。
↓
株価と売買高に応じて段階的にパリバからアーバンへ資金が払い込まれる
仕組み。
しかも、契約ではパリパが資金の支払いを停止する株価水準として
「下限価格」が盛り込まれており、33日間中、わずか6日しか上回らず
CBとスワップ契約の2つを組み合わせると、今回の取引は「MSワラント」
(行使価格修正条項付新株予約権)とほぼ同じものになると。
■法令上の問題■
①6月26日にCB発行決議と同時にスワップ契約を公表しなかったこと。
②スワップ契約という当事者しか入手できない未公表情報を知りながら、
パリバがアーバンコーポの株式を市場で売却していること。
(以上が事実関係)
-----------------------------------------------------------------------
(以下は、意味のないコメント)
・URBANという言葉には「上品で自信に満ちており, 洗練されている」という
意味があるだけに、物凄く皮肉に聞こえる資金調達方法です。
いわずもがなですが、新興不動産会社に対して、市場が関心を寄せているのは
資金繰り。それが300億円も調達できれば喩えダイリューションが起きても
(直ちには紙クズにはならないので)利害関係者はホッと一息つけるでしょう。
それが300億円ではなくて実は92億円、しかも追加で58億円も損失が出るとは 随分とバカにされたものです。これは酷すぎる。
規制当局も早いところ厳正に対処してほしい。
証券会社もメシの種が欲しいのは分かるが、これは筋が悪すぎ。
そこまでして儲けないといけないのか?
・米国の状況など見ておりますと、日本においても信用不安はまだまだ広がる
気配がありますので、資金繰りに困った企業がこのような
「詐欺的なスキーム商品」に手を伸ばす場面は増える可能性がありそう。
そんな時、投資家としては極めて当たり前なのですが、
「ウマイ話には必ずウラがある。」「(そもそも)疑わしきには近づかない。」
この姿勢で臨むのがよろしいのではないでしょうか。
そりゃぁそうでしょう?
当時から信用不安のある先に、パリバが素直に300億円をポン!
と渡すと思います?
この時点でおかしい!と思うべきだったんですよね。
(すいません、結果論で。
私,この銘柄ノーマークでしたので。)
とんでもない問題が発覚したようです。
既に複数のメディアも取り上げてご存じのことと思いますが、
自分の後学のために事実関係を整理しておきましょう。
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窮余の資金調達で問題が発覚 アーバンコーポ破綻劇の裏側
8月18日 ダイヤモンド・オンライン
新興不動産会社アーバンコーポレイションが13日に東京地裁に民事再生法
の適用を申請した。負債総額は2558億円と今年最大の倒産となった。
上場企業では6月にスルガコーポレーション、7月にゼファーといった
新興不動産会社が相次いで破綻しており、あらためて不動産市況の悪化を
認識させることになった。
ただ、アーバンについては投資家をミスリードするような情報の非開示が
倒産と同時に明らかになっており、後味の悪さを残している。
アーバンは民事再生法の適用を申請した13日現在で資産超過状態であり、
結局、資金繰りのメドが立たなくなったのが倒産の引き金となった。
今年の4~6月には、棚卸資産である不動産を数百億円売却して資金調達を
図ったが、
「昨年末以降、金融機関からの新規借り入れや借り換えが困難になった」
(房園博行社長)状況で、資産売却が追いつかずについにギブアップした。
同社のビジネスは、主力事業である不動産流動化事業は不動産を仕入れて、
改装、建て直しなどにより価値を向上させて転売するというもの。
典型的な回転売買型で、不動産市況が下落局面を迎えたことでビジネスモデルが
簡単に破綻してしまった。
ところが、アーバン倒産の図式はそんな単純な話だけでない。
一般投資家に多大な損害を与える重大な開示義務違反ともいえる問題が
明らかになったことに注目すべきだろう。
アーバンは7月に財務基盤を強化するためにフランスのBNPパリバに対して
300億円の転換社債型新株予約権付き社債を発行し、資金調達に成功したとして
いた。
だが実際には、アーバンにとって不利なスワップ契約を抱き合わせで締結して
おり、相殺すると300億円のうち約90億円しか資金調達できていなかった。
さらにスワップ契約によって最終的に58億円の営業外損失まで発生しているの
だから、あきれた話だ。
社債発行時には、大きな損失を発生させる可能性のあるスワップ契約
のことにはまったく触れておらず、一般投資家にまるまる300億円を資金調達
できたと思わせていたのだから、これは一般投資家に対する裏切り行為だ。
(引用終わり)
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■CBとスワップ契約の概要■ ~日経ヴェリタス8/17号 14面より~
①CB
7月11日 2010年満期300億円CB発行。転換価格344円(同日終値)
300億円がアーバンの口座に振り込まれる。(開示はここまで)
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
(以下、破綻時まで非開示)
②スワップ契約
・7月11日 アーバンは振り込まれた300億円を即座にパリバに支払う
・パリバは手元にあるCBを株式に転換したうえで、市場の売買高の12~18%
に相当する株数を市場で売却。
売却した株数とその日の市場のVWAP(売買高加重平均株価)の90%に相当する
価格を掛け合わせた金額を日々アーバンコーポへ支払う。
パリバから見れば、転換したCBを市場で売却した金額のうち10%は確実に
儲かる。
↓
株価と売買高に応じて段階的にパリバからアーバンへ資金が払い込まれる
仕組み。
しかも、契約ではパリパが資金の支払いを停止する株価水準として
「下限価格」が盛り込まれており、33日間中、わずか6日しか上回らず
CBとスワップ契約の2つを組み合わせると、今回の取引は「MSワラント」
(行使価格修正条項付新株予約権)とほぼ同じものになると。
■法令上の問題■
①6月26日にCB発行決議と同時にスワップ契約を公表しなかったこと。
②スワップ契約という当事者しか入手できない未公表情報を知りながら、
パリバがアーバンコーポの株式を市場で売却していること。
(以上が事実関係)
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(以下は、意味のないコメント)
・URBANという言葉には「上品で自信に満ちており, 洗練されている」という
意味があるだけに、物凄く皮肉に聞こえる資金調達方法です。
いわずもがなですが、新興不動産会社に対して、市場が関心を寄せているのは
資金繰り。それが300億円も調達できれば喩えダイリューションが起きても
(直ちには紙クズにはならないので)利害関係者はホッと一息つけるでしょう。
それが300億円ではなくて実は92億円、しかも追加で58億円も損失が出るとは 随分とバカにされたものです。これは酷すぎる。
規制当局も早いところ厳正に対処してほしい。
証券会社もメシの種が欲しいのは分かるが、これは筋が悪すぎ。
そこまでして儲けないといけないのか?
・米国の状況など見ておりますと、日本においても信用不安はまだまだ広がる
気配がありますので、資金繰りに困った企業がこのような
「詐欺的なスキーム商品」に手を伸ばす場面は増える可能性がありそう。
そんな時、投資家としては極めて当たり前なのですが、
「ウマイ話には必ずウラがある。」「(そもそも)疑わしきには近づかない。」
この姿勢で臨むのがよろしいのではないでしょうか。
そりゃぁそうでしょう?
当時から信用不安のある先に、パリバが素直に300億円をポン!
と渡すと思います?
この時点でおかしい!と思うべきだったんですよね。
(すいません、結果論で。
私,この銘柄ノーマークでしたので。)
ていうかJCRは無責任過ぎジャマイカ