ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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昨日(2014年11月13日)実施の修能試験(韓国版・大学センター試験)について

2014-11-14 22:29:28 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 昨日(11月13日)、韓国では日本のセンター試験に相当する大学修学能力試験(대학수학능력시험)が実施されました。※韓国では、ふつう「修能(수능.スヌン)」という略語が用いられています。

 修能試験の規模はいろんな面で日本のセンター試験より「盛大」で、2014年1月実施の平成26年度センター試験が志願者数560,672人(受験者数532,350人)だったのに比べ、2013年11月実施の2014年度修能試験は志願者数650,747人(受験者数606,813人)で、人口が日本の4割の韓国の方が数で上回っています。

 試験当日のようすは日本のTVでも報じられていますが、騒音規制等々その大がかりなことは日本のセンター試験をはるかに越えるといつていいでしょう。
  具体的には、→コチラの過去記事に書きましたのでご参照下さい。(本記事よりもソチラの方がオモシロイ(笑)です。)

 このように<修能>が一大国家イベント化しているのはなぜか?という点について、そこでも書きました。
 私ヌルボの個人的な推測ですが、「過去の長い科挙の伝統があるのではないか?」ということです。今も昔の科挙と同様に、修能は「国家須要の人材選抜のイベント」という意識があるのでは、ということです。
 ※実施・運営を管掌する韓国教育課程評価院のサイト(→コチラ)には、次のようなごくありきたりの修能の目的を掲げているだけですが・・・。
・大学教育に必要な修学能力測定により選抜の公正性と客観性確保
・高等学校教育課程の内容と水準に合う出題により高等学校の学校教育正常化寄与
・各教科の特性に基づき、信頼度と妥当性を備えた試験として公平性と客観性の高い大学入試選考資料提供


 日本では、大学受験は私事に属することで、以前(1970年代まで?)は新聞に「大学合格者」の名前が掲載されていたりもしましたが、今ではそのような「個人情報」は載らなくなりました。
 ところが、韓国ではこういったこともTVで放送するのか、と最近も驚いたことがありました。
 11月5日EBS(韓国教育放送)が放送した「修能満点者に訊く総仕上げ戦略」という番組で、公式サイト中の→コチラで動画付き記事を見ることができます。

   
【修能満点者の2人。いかにも秀才らしい顔つきだなー。いずれも現在はソウル大社会科学系列在学。】

 ウィキペディア(→コチラ)によると、韓国教育放送公社は公営教育専門放送局で、元々は韓国放送公社(KBS)の教育番組専門チャンネルだったのが1990年からは教育部(日本の文科省に相当)傘下の研究機関である韓国教育開発院の附設機関となり、修能試験教育用のチャンネルもあるとのことなので、こうした番組があるのも当然といえば当然かも・・・。

 さて、今回の修能について新しいニュースを見てみると、10月24日の「朝鮮日報」(日本語版)で報じられていたのが「韓国の大学入試、今年は携帯の持ち込み即アウト」という記事。(→コチラまたは→コチラ。)
 副題には「携帯電話、スマートウォッチなどの持ち込みが発覚すれば受験無効」とあります。
 しかし、以前から持ち込み禁止だったはず。記事中にも2013年には90人が受験無効となった等とあるし、何がどう変わったのかよくわからず、です。より厳格になったのか、禁止品目が増えたのか?
 ちょうど10年前の2004年の試験で、携帯電話を使った計画的・組織的な集団カンニングが発覚して社会問題となり、翌05年には禁止措置が取られて27人が失格となりました。しかし以後も無効処分の事例が多いという実情をふまえて、声を高めて警告を発したということかな? ※この人数は「持ち込み禁止」規定の違反者で、カンニングのためとはかぎらないということです。

 もうひとつの最近のニュースは、10月31日「聯合ニュース」(日本語版)の「昨年の大学入試問題に誤り 追加合格者出る可能性」という記事。(→コチラ。)
 要するに、「昨年の修能試験の世界地理の8番の問題に誤りがあった」と受験生が韓国教育課程評価院を訴え、高等法院(高裁)がその原告の主張を認める判決を下し、それを受けて教育当局は誤答とされた受験生の救済を決めたというもの。
 日本でも、たまに「不適切な入試問題」が報道されることがありますが、センター試験ではなかったのでは? また、こういう問題が裁判沙汰になるというのは日本では考えられないのではないでしょうか?
 この件については試験直後から新聞にも取り上げられて問題になった(→2013年11月20日「京郷新聞」(韓国語))のに、韓国教育課程評価院等が「問題ナシ」とつっぱねたりして事態がこじれたようです。
 で、その「世界地理の8番の問題」というのを具体的に見てみると、北米自由貿易協定(NAFTA)と欧州連合(EU)の総生産額についての正しい記述を4つの中からすべて選べというものです。公表された正解はEUの総生産額がNAFTAより大きいというもの。たしかに教科書にはそう書かれているそうですが、2008年9月の世界金融危機でEUは大きく落ち込み、10年以降からはNAFTAがEUを追い越しているとか・・・。また、問題に載っている地図の下には2012年と記載されているのも不注意で、誤解を招いて当然。
 私ヌルボが見るところ、こんな紛らわしい問題を出したのがそもそも間違いでしょう。

 さて、今回の出題についてはどうかな?

 本ブログでは、このところ毎年修能の第二外国語中の「日本語」の問題に関する記事を載せてきました。昨年の記事は→コチラです。
 今回の問題についても近々(明日か明後日?)アップするつもりですが、「今すぐ見てみたい!」という方は→コチラのリスト中の<제2외국어/한문>(第2外国語/漢文)をクリックしてPDFファイルをダウンロードし、その18~21ページを見てみて下さい。


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