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韓国の死刑制度と、連続大量殺人事件 (3) 過去の大量殺人事件

2011-12-05 23:24:52 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 このタイトルで3回目、やっと大量連続殺人についてです。

 やっぱりこのテーマは気が重いです。殺人という内容ももちろんですが、もしかして「嫌韓」のネタにされそうな懸念もあるし・・・。

 私ヌルボ、ずっと以前に「オリジナル・サイコ」(ハヤカワ文庫NF)という本を読んで衝撃を受けたことがありました。
 エド・ゲインという、なんとも猟奇的なアメリカの殺人鬼についてのノンフィクションです。内容は、胸が悪くなるような話なので、ここには書きません。関心のある人はリンク先を参照してください。
 その後、旧ソ連の大量殺人者、1978~90年に52人もの命を奪った異常殺人者チカチーロについて書かれたノンフィクション「子供たちは森に消えた」(ハヤカワ文庫NF)も読みました。
 彼らのようなケタ違いの殺人者となると、たとえば人生に絶望し、自暴自棄状態で殺人を重ねる者とは違うような気がします。
 ウィキペディアの<快楽殺人>項目をみると、いろいろ分析だの事例だのとともに、上記チカチーロ等の名前があげられている中で、たとえばペドロ・アロンソ・ロペスという名のリンク先を見てみると、「<アンデスの怪物>と呼ばれたコロンビアの殺人者で、少女ばかり300人を殺害したとされる」などと記されていて、怖ろしいというより、ただ呆れるばかりです。
 これらの異常な大量殺人については、国や社会のありよう、あるいは民族性等々とはまず関係なさそうに思われます。
 そして日本。この20年くらいで振り返ってみると、オウム事件、<附属池田小事件>、<東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件>、<秋葉原無雑殺傷事件>等が思い出されます。とくに附属池田小事件の宅間守については、「宅間守資料」「宅間守資料2」に紹介されている彼の強烈な成育歴にはただ驚くばかりです。このサイトは(犯罪についての多くのサイト同様)憎悪の感情が(当然でしょうが)交じっています。そこでも書けなかったという法廷での彼の暴言を紹介しているブログ記事もあるのですが・・・。(→コチラ) 
 このような日本の殺人の事例をもって「だから日本人は・・・」と言われるのが不当であるのと同様、以下の韓国の事例をもって「だから韓国人は・・・」と決めつけることのないことを望みます。

【韓国の大量殺人事件】 

○「至尊派」事件・・・1994年に発覚。組織員6人が結成した「至尊派」が事業家夫婦や、裏切った組織員1人を含め5人を残酷に殺害した。

○オン・ボヒョン事件・・・1994年。女性6人を拉致し殺害。

○華城連続殺人事件・・・1986年9月~1991年4月に京畿道・華城一帯で女性10人が殺害され、迷宮入り。映画殺人の追憶はこの事件を扱っている。

      

○チョン・ドゥヨン事件・・・1999年6月から2000年4月にかけ裕福な家庭を狙い9人を殺害。

○水原・竜仁一帯での連続殺人事件・・・2002年4月20代男2人が遊ぶ金ほしさに車をタクシーに偽装、3日間で女性5人を殺害し、死体を車のトランクに積んだまま逮捕された。

○柳永哲(ユ・ヨンチョル)事件・・・2003年9月から2004年7月にかけ高齢者や女性など21人を殺害、そのうち11人は残酷に切断するなど、韓国犯罪史上まれに見る殺人鬼として記録された。映画チェイサーの素材とされた事件。
 ※柳永哲は貧しい生い立ちで、中学1年時に父が他界、高校時代に窃盗事件で少年院に収監されてから窃盗や性暴力で14回の逮捕歴、11年の刑務所生活という経歴。
彼はソウル中央地裁での初公判で、検察官が「捕まらなかったら、手帳に100人が埋まるまで殺人を続ける予定だったと陳述したが」と聞くと、「殺人を止めるつもりはなかった」と答えた。しかし、「被害者が死んで当然だと考えると捜査過程で話しているが、今もそう思うか」と聞くと、「そうではない。機会と方法がなかった。申し訳なく思っている」とし、若干心に変化があったことを伺わせた。その後彼は拘置所で首吊り自殺を図ったが、未遂に終わった。

       

○チョン・ナムギュ事件・・・2004年1月~06年4月にかけソウル西南部地域で25件の強盗傷害・殺人事件を起こした。13人を殺害し、20人に重傷を負わせている。柳永哲同様、社会への不満を噴出させ、無差別な殺害・放火を行った。ソウル高裁での公判で、彼は「金持ちをもっと殺せなかったのが残念だ」と富裕層に対する強い憎しみをあらわにした。07年4月に死刑が確定。
 ※2009年11月死刑が確定し、ソウル拘置所で服役中だったチョン・ナムギュ死刑囚が21日午前に自殺を図り、病院に収容されたが22日午前に死亡した。法務部によると、2004年以降の5年間に拘置所、刑務所で自殺した収容者はチョン死刑囚を含め82人に上り、経済協力開発機構(OECD)加盟国では自殺率がトップとなっている。

○姜浩淳(カン・ホスン)事件・・・2006年12月~08年12月京畿道西南地域で女性7人を拉致・暴行した後ネクタイ等で首を絞めて殺害した。また05年に火災を装い、前妻とその母親を殺害して4億8千万ウォンの保険金を詐取した疑いも持たれている。ユ・ヨンチョルは離婚後、女性に対する敵対心から犯行に及んだが、カン・ホスンも妻を火災で亡くして以来、女性に対する殺人衝動を感じるようになったと供述している。カラオケ店で働く女性を主に犯行対象にした点も似ている。


 こうしてみると、韓国で最後に死刑が執行された1997年以降、上にあげた中で5件もの事件が起きたことがわかります。そして前回の記事でもふれたように、こうした事件が大きく報道されると死刑存置論が高まります。
 しかし、執行再開を唱えていた李明博政権が再開に踏み切らない(踏み切れない?)のはなぜでしようか? (また韓国世論にも増して日本の世論が重罰を求める傾向が強まり、実際死刑判決が多くなっているのはなぜでしょうか?)

 この続きはあと1回です。間に別の記事をいくつか挟みます。


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