WBAスーパーウェルター級タイトルマッチ
3階級制覇のWBA王者ミゲル・コット選手(Miguel Angel Cotto)と元ウェルター級王者のアントニオ・マルガリート選手(Antonio Margarito)とが激突する約3年半ぶりの再戦は米国ニューヨーク州MSGで行われ、コット選手がスピード差を生かしたボクシングでマルガリート選手のアタックをほぼ封殺する内容の末に10回開始早々のドクターストップによるTKOで勝利してリベンジに成功した一戦でした。(体格比較)
左右に出るステップワークと正確で強いジャブ、左フックのリード、ワンツーやリードとしても用いていた右ストレートや左右フックのコンビネーションで立ち上がりからペースを完全に掌握していくコット選手。スピードとスキルの差を生かし、リラックスした動きから放たれるコット選手の強く正確な攻撃は素晴らしいものでした。
3回に左ジャブでマルガリート選手の右まぶたを切り裂き、以降ジャブや左フックを何度もクリーンに強く当ててマルガリート選手の右目を徐々に塞いでいきます。この3回にマルガリート選手の左アッパーでちょっと動きが止まった場面があったコット選手で、このパンチをキッカケにマルガリート選手が攻勢を強めていったのですが正面からの打ち合いに応じ、そして正確なショットでこの打ち合いを制したコット選手。
4回以降もマルガリート選手がプレスを強めてボディ中心の攻撃でコット選手に迫るのですが、コット選手はフットワークを使う場面と打ち合う場面とを使い分けてペースを譲りません。初戦では見られなかった密着状態からコット選手がマルガリート選手を押し込んでいく、という戦術も非常に有効でした。
そして最後は右目の腫れが悪化した末のドクターの判断による試合終了でした。正式タイムは10回3秒。
9回にもラウンド開始時にドクターがマルガリート選手の腫れをチェックしていて、これで追い込まれたマルガリート選手がプレスをそれまで以上に強めてこの試合で最もプレスが効いていたように見えたラウンド。前戦のようなマルガリート選手の終盤での追い上げが見られだしかけた流れの中でのストップは残念でもありましたが、ドクターの判断ですから止むを得ないのでしょう。
CompuBox Stats: Cotto Landing 51% of His Power Shots
Powerpunches,Jabs,Punchzone
マルガリート選手のハンドラップ疑惑での因縁、自身のキャリアが大きく狂った手痛い敗北、これらを精算するコット選手の素晴らしいパフォーマンスによるスウィートリベンジでした。37勝(30KO)2敗。
マルガリート選手は38勝(27KO)8敗。
Cotto Batters Margarito's Eye, Gets Revenge in Nine(Edward Chaykovsky/BoxingScene)
Cotto earns 10th round TKO over Margarito(Lem Satterfield/Ringtv)
Cotto conquers Margarito in TKO(Dan Rafael/ESPN)
Miguel Cotto Secures His Most Satisfying Career Victory(David P. Greisman/BoxingScene)
写真
Photos: Cotto Pummels Margarito's Eye For Revenge Win(BoxingScene)
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マルガリートの闘志は全く衰えていなかったですが、右目は完全に塞がった以上止めるのは致し方無いと思います。
マルガリートはモズ、パッキャオ、コットとビックマッチ三連敗なのでそろそろ引退を考えた方が良いのかなと。
彼は打たれ過ぎてるので、後遺症も心配ですね。
打ち合いや絶妙なクリンチも駆使して負けてませんでしたね。
前回よりダメージも少なかったし試合が続いても勝てていたと思います。素晴らしいリベンジでした。
ただ、圧力は感じてたでしょうし、ミドルでチャベスJr.と
いうのはかなりきついとも思わせる内容でした。
見てみたいですね。スピードが前回より増した気がします。それともマルガリが遅すぎてコットのハンドスピードがより速く見えたのかな。。
打たせながらも打つ、という彼の戦い方は歴戦の疲れもあって限界にきてるのではないでしょうか。
バンテージの問題以降、負けがこんで疑惑をすっきりと解消しきれない姿も個人的には残念です。
これをタコ殴りにしたモズリーとパッキャオがやっぱ凄かったんだなぁ、という気はするんですが…。
何かアラム先生が眼を$マークにしてコット対チャベスJr戦を謳ってましたが、
マルチネスを空気にする御姿に、いい加減イラっときたのでコットにはやらないで欲しいです笑。
逆にマルガリートは、一線級で戦い続ける事に限界が見えた気がします。
モズリー・パッキャオ・今回と、スピードについていけずメッタ打ちに遭いました。
その闘志とタフネスには敬意を表しますが、そろそろ潮時なんじゃないでしょうか。
もし現役続行なら、真っ向から噛み合うような好戦的な選手との対戦を希望します。
それで勝っても負けても、清々しく有終の美を飾ってほしい。
例えば、ウィリアムスとの再戦などです。
身体が壊れてしまう前に、最高の形で彼が燃え尽きる事を願います。
明らかに止めるべき局面で、あくまでドクターに決断させようとするレフェリーとか、
色々な要素に板挟みにされているドクターが少々気の毒に思えました。
(まあ、それも含めてリングドクターの仕事ですが)
ただ、コットの出来が大変良く、マルガリートの力がかなり落ちているのに、
何だかんだと見せ場が発生するのは逆に相性なのかな……とは思いました。
このコットの出来だと、チャベスJr.では面白い試合になるかどうか(体格差でそれなりの接戦になるでしょうが)。
サウル・アルバレスとのほうが面白そうですが、そっちはマッチメイクが難しそうですね。
マルガリートのピークは、ウィリアムズ戦よりも前だったと思います。ものすごいカウンターを喰っても平然と打ち返してましたし、当時のスーパースターが対戦を嫌がったのもうなずけます。
スーパースターのコットにたどり着くまでに、どれだけ打たれたことやら…
その後、コットには持ち味を生かして勝ったものの、相当なダメージを受け、その後、モズリー、パッキャオに再起不能になってもおかしく無いくらい打たれました。
今回のマルガリートは、往年の片鱗は見せましたが、タフネス、攻撃力ともに全盛期から見れば、一枚、二枚も落ちたと思います。
パッキャオ戦、コット戦で勇気は証明できましたし、ダメージを考えると、惜しまれている今、引退をして欲しいと思います。
記事にも書いたクリンチとかの密着時にコットの方が押していく、というのもそうですが
前戦での反省やマルガリートの負けた試合、具体的に言えばモズリー戦ですが、なんかを参考にこの再戦にむけて準備してきたことを感じさせる内容で、この点でも非常に面白かった試合でした。
マルガリはもともとこんなに腫れる人じゃなかった気がするんですけどねえ。
>noonさん
欲を言えばコットがウェルター級王者時代に、それもマルガリに敗れる前に見たかったですね。
>すとれいと・くーがーさん
対ジュニアは私も苦戦は避けられないと思ってます。
ボクサーとしての総合的な力で言えばまだまだ大きな差でコットがリードしているのは確実なんですけどね。
やるのかどうか知りませんが、当日180もある相手とクラスを上げて戦う、ってな愚は犯さないんじゃないでしょうかね。
>Aさん
コットはなんかイメージ的にもっさりしてる気がするんですが、もともと意外なほどにスピードのある選手なんですよね。
モズリー相手にスピード負けしてなかったのに驚きましたし。
>TITOさん
かつてのゾンビ的タフさは失われてしまった気がするマルガリですが、それでもまだまだ相当タフですよね。根性で耐える、みたいな。
ただパック戦で痛めた眼、今回もこれで負けてしまったわけですし、今後をよく考えるべきときが来ている気もします。
>ノミの肝臓さん
ウィリアムスとの再戦は個人的にはなかなか興味深いですね。
ただ怪我のこともあって、マルガリにはとりあえずはしばらく休んでほしいというのが率直なところです。
>ふみさん
コット対チャベスJrの見方は上に書いたとおりです。
実現するなら私はコット不利と予想します。
アルバレス戦は良い試合になるんじゃないでしょうかね。
しかしコットは今後どこに向かうのか、ちと目標を見つけにくい状況にいるように個人的には思えます。
>まっからむさん
同感ですね。何年か後に再起とかしても全然良いですから、とりあえずしばらくは休んだほうが良い気がします。
いまさらこんな事をいってもしょうがないんですが、ローレンス・コールとロベルト・ガルシアの罪は重い気がします。いや一概に罪とは言い切れないかもしれませんけれど…