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Round by Round カネロ対トラウト

2013-09-14 21:27:45 | R by R

4月に行われたカネロ・アルバレス選手の最新試合、対オースティン・トラウト戦

サウスポーの技巧派王者トラウト選手との統一戦はカネロ選手が苦しんだもののユナニマスの支持を得て勝利した一戦でしたが、その採点結果について見方が大いに分かれたものでもありました。
メイとの大一番を前に再び検証してみます。



以下3媒体3名の見方とオフィシャルのスコア、compuboxのスタッツを併記しつつラウンド毎に戯言をのたまってみます。
Alvarez-Trout: Live round-by-round updates(Lem Satterfield/RingTV)
Canelo Alvarez Vs. Austin Trout: Live round-by-round updates(Raymond Markarian/The Sweet Science)
CANELO DEFEATS TROUT VIA UNANIMOUS DECISION TO UNIFY WBC AND WBA JR. MIDDLEWEIGHT TITLES(Ben Thompson/FIGHT HYPE)

オフィシャルのスコアはRey Dansecoが115-112、Stanley Christodoulouが118-109、Oren Shellenbergerが116-111でいずれもカネロ勝利を支持、とのアナウンス&報道だったはずなんですが、この画像を見るとシェリンバーガー116-111は同じですが、クリストドーローさんとダンセンコさんのスコアが逆?
とりあえず以下では画像でのスコアを採用しています。



round 1

トラウトが軽く動きながら伸ばす右ジャブが展開をリード。カネロも上体をよく振ってトラウトのジャブに対応し力強いショットでの反撃を見せるがトラウトがボクシングポイントをキープしたように見えたラウンド。シロート採点トラウト10-9

最初からいきなり見方が割れたラウンドで、以降試合前半戦はこの傾向が続くことになる。スタッツ上でもトラウトのジャブが優位に立っていたとの数値が出ているが、
カネロのパワフルな攻め、トラウトの軽いジャブ、ということでカネロに振る見方も説得力はある。


round2

初回同様にトラウトの右ジャブが良く出ている。軽いがジャストのタイミングで左ストレートを決める場面もあった。ただこのラウンドはカネロの力強い右が勝ったラウンドだっただろうか。左フック右アッパーのコンビを決める場面も見せた。
カネロの強いプレッシャー、それに苦慮するトラウト、という様子が感じられたラウンドだった。シロート採点カネロ10-9(19-19)

メディアの1人がトラウトに振っているが、カネロのラウンドでほぼ間違いない印象。スタッツでもカネロがヒット数でリードしていた(僅かではあるが)。


round3

トラウトの右ジャブ、右フックのリードが相変わらずコンスタントにヒット。カネロもプレッシャーを掛けるが、トラウトをロープに追い詰めたところでスルッと体位を入れ替えられておっとっと、てなシーンが2度ほどあったように、プレスを空転させられていた印象。つまりはトラウトの右リードとステップワークがペースをコントロールしていたということになる。シロート採点10-9トラウト(トラウト29-28カネロ)

見方が真っ二つに分かれたラウンド。ここで取り上げたメディア3氏の間ではトラウトが優勢、オフィシャルはカネロ優勢とみていた。スタッツ上もほとんど互角。違いはトラウトのジャブのミスの数がより多いということだけ。


round 4

カネロが左ジャブの数を増やしたように見えたラウンド。ラウンド終盤に素晴らしい左ジャブのクリーンヒットを決めたが、ジャブの刺し合いではやはりトラウトが一枚上手だろうか。前の3ラウンド目から感じたことだが、トラウトのボディへの右ジャブ、左ストレートが非常に良いアクセントになっている(=カネロにとってとても邪魔になっている)ように映る。シロート採点トラウト10-9(トラウト39-37カネロ)

この回も見方が分かれている。トラウトの左右ストレートを取る、あるいはカネロのプレッシャーを取る、という見方の違いによって割れるというラウンドの連続、とここまでは推移している試合。スタッツもほぼ互角。
その見方の傾向ってのは採点者によってある程度一貫しているはずで、トラウトのジャブを取る見方ならばトラウトが3-1(ここで取り上げたメディア3氏は内訳が一部違うがいずれもこのスコア)、そうではないのならばカネロが逆のスコアでリードということになるだろう。
オフィシャルの見方でカネロ4-0が2名ってのはそういうことだと理解。SHOWTIMEの実況席での見方も39-37でカネロリードが2名、1人が38-38。


round 5

このラウンドもやはりトラウトの右リードと左ストレートに分があると私には見えたラウンド。変わらず効果的なボディへの左ストレートやこの回で何度か決めた右フックなんかも良かった。カネロは左ジャブから繋ぐ右ストレート・フックをトラウトのボディに、という攻めを見せるがパンチの数と的確性で一歩二歩劣っていた印象。シロート採点トラウト10-9(トラウト49-46カネロ)

ここまでのクロスしたラウンドに比べるとスタッツ上で差が現れたラウンドと言えるかも。一応ヒット、手数共にトラウトがほぼ倍の数値を残している。
それでもその差は僅かではある印象で、実際にカネロに振った見方もあった模様。


round 6

ラウンド開始からプレスを強めたように見えたカネロ。トラウトの右ジャブにすかさず左ジャブを返し、前に出てプレスを敢行。素早いスリップから右フックを決めるなどラウンド前半はカネロの鋭く力強い攻撃によるプレッシャーがペースを奪う。
しかし残り1分40秒ほどの場面でトラウトが決めた左アッパーのボディブローからペースは一変。表立って効いたような素振りは見せなかったカネロだったが、このボディブローで効いたのは確実で、手数が極端に落ち前にも出なくなった。半ば自らロープまで後退しトラウトの前進を引きつけて決めた右アッパーなんて良いパンチもあったが、顔面への左ストレートを軽いものの連続で決められたりもしたカネロが失ったラウンドと見る。シロート採点トラウト10-9(トラウト59-55カネロ)

ラウンドの中間地点を境に前半カネロ、後半トラウトとペースが二分したラウンドで、カネロのラウンドという見方もあるにはあるのだろう。終盤に決めた右アッパーも良かったし。ただ私にはボディを食って効いてしまい急激にスローダウンしたカネロには振れないラウンドだと見る。スタッツでもトラウトがリード。


round 7

ラウンド開始早々に軽く力みなく伸ばした右ストレートでノックダウンを奪ったカネロ。トラウトのダメージは意外に深く、スピードが極端に落ちカネロの追撃の右アッパーで再び足元を揺すられるなど一気に苦しい局面に落とされる。
ただダウンから立ち上がってから効いた状態ながらも決死の反撃で踏みとどまったトラウト。強く打つ左ストレートでフィニッシュを狙うカネロの前進を阻み、右ジャブでの攻めも戻して大ピンチをガッツと正確なショットとで生き抜く。シロート採点カネロ10-8(トラウト67-65カネロ)


このラウンドは文句なしにカネロ。トラウトが力強いショットで応戦しカネロのさらなるビッグチャンスを阻んだが、確実に刻まれたダメージは明白。カネロの強いショットを浴びせられると動きがすぐに鈍ってしまう状態はラウンド終了時まで続いていた。
ちなみにSHOWTIMEの解説を務めるポール・マリナッジはダウン以降のトラウトのカムバックを評価してカネロ10-9とスコアしていた模様でここまで68-66カネロ、アル・バーンスタインが67-66カネロ、スティーブ・ファーフッドが66-66。


round 8

カネロの手数が出ない。対するトラウトは変わらずコンスタントに右ジャブ左ストレートを出してペースを引き戻す。ボディワークを駆使したディフェンスでクリーンなショットはほとんど防いでいたカネロだったが、肝心の自らの攻めが出なければポイントは奪えない。シロート採点トラウト10-9(トラウト77-74カネロ)

カネロの手数が最も少なかったのがこのラウンド。スタッツで大きくリードしているトラウトだが、トラウトの攻めが効果的だったというよりもカネロが手を出さないのでポイントはトラウト、という印象がより強い。オフィシャルの2人はカネロに振っているが、これはちょっと理解に苦しむ。


round 9

カネロが決めた左フック、右ストレートでちょっと動きがおかしくなりかける場面を見せたトラウト。接近戦で決めた左アッパーなどの良い攻めも見せるトラウトだが、このラウンドは何度か決まったカネロの右がポイントをおさえただろうか。シロート採点カネロ10-9(トラウト86-84カネロ)

カネロがポイントをキープした、ラウンドを優位に進めていたというのは確かなのだが、カネロの動きからは疲労の色が感じられる。ラウンド終盤に見せたディフェンスのパフォーマンスなんかは疲れて攻めに行けない(行かない)のを誤魔化しているだけのものに私には見える。


round 10

トラウトが積極的に出ていたように見えたラウンド。オフィシャルのスコアが両陣営に伝えられていた(オープンスコアリング?)というのは確かなようだがどの時点で、ってのは私は把握できていない。だがこのラウンドの両者の戦いを見るに少なくともこの時点では知らされていると思えたものだった。すなわちポイントの劣勢を知ったトラウトがより積極的に出て、セーフティリードを知ったカネロは無理をしない。
このラウンドはトラウトが左右アッパーを交えてよく手を出していてクリーンに決めたパンチもより多かったように見えた。カネロの効率のよいというか省エネのボクシングながらも効果的なパンチ、ってのも確かにあったけれど。シロート採点トラウト10-9(トラウト96-93カネロ)


手数もヒットも約2倍のトラウトが押えたラウンドだっただろうか。カネロの数は少ないものの非常に効果を感じさせる力強い攻めを取る見方もあったかもしれないが少数派意見だったはず。
SHOWTIMEの実況席のここまでのスコアは、バーンスタイン95-95、ファーフッド95-94カネロ、マリナッジ96-95カネロ。


round 11
トラウトが右ジャブ左ストレートでペース構築を図るのは変わらない。ある程度のヒット率でカネロをキャッチというのも同じ。
ただこのラウンドはカネロが効率よく、より強いショットを決めていたラウンドだっただろうか。無理をしないというのはこのラウンドでの戦いからも感じれれたカネロだったが。シロート採点カネロ10-9(トラウト105-103カネロ)

メディア・オフィシャル全てがカネロのラウンドとスコア。これはこの試合でこのラウンドだけ。ただ私自身今回試合を見なおしてみてポイントの振り分けに大いに悩んだラウンドでもあった。スタッツ上はカネロが手数で最も肉薄したラウンドだったのだろうか。


round 12
この最終回はカネロが明白に流したラウンドに見える。トラウトもジャブ左ストレートを度々当てるが、文字通り当てるだけのもので決め手にかけるラウンドだった。
とは言うものの、ポイントを考えればトラウトに振らざるを得ないラウンドだったのではないだろうか。シロート採点トラウト10-9(トラウト115-112カネロ)

カネロの手数が8ラウンドに次いで少なかったラウンド。ヒット数はそれほどの差はないのだが、この戦いでポイントをおさえるには少々虫が良すぎる、と私には見えたラウンドだった。





結果はカネロのユナニマス勝利。カネロのプレッシャーか、トラウトの軽いもののヒットしていたジャブと左ストレートを取るか、この判断いかんで結果的にスコアに大きな隔たりが生まれた、
そういう試合でした。

6ラウンド目に腹を効かされて大きく失速したものの、続く7回にノックダウンを奪い、ボディのダメージとそこからも来たであろうスタミナロスを上手く乗り切ったカネロ。年齢に似合わない上手さ、そつのなさってのはこの試合でも大いに示していました。ここから来る常に優位に立っている感を醸しだす戦いぶり、ってのも接戦では結構モノを言うのかも。
メイとの試合でもこの試合のような左ジャブを基軸に据えたプレッシャー、ってのを見せて欲しいですし、それがメイに対抗できる唯一の手段のように私には思えます。ファイターに徹して体格の利を、ってな戦いはメイに通用するとは思えません。



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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2013-09-16 18:08:48
遅ればせながら、私もこのトラウト戦を見てカネロはメイウェザーにはまだまだ勝てないなと感じておりました。(私の採点も2ポイントトラウトの勝ち。)

差があるのは予想していましたが、実際試合が行われて予想以上の差があったことに驚かされました。
体格差のあるカネロがあの様子だとメイウェザーに勝つにはどうすればいいのでしょう。
Unknown (管理人)
2013-09-17 18:19:08
>Unknownさん
トラウト戦は苦戦でしたが、この苦戦を戦った経験、若さによる上積み、伸び
なんかに大いに期待したんですけどねぇ。
相手が悪すぎました。

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