夜行列車2連泊! 年末の信越ぐるり一周の旅 後編

2012年12月31日 23時59分59秒 | 旅行記
龍岡城の撮影地から歩くこと20分。田園風景から市街地に入り、やがて駅前通りが見えてきました。


中込駅です。
小海線はこの駅を境に列車本数が大きく変化するという運行体系。故に、しばらく列車のない龍岡城駅から当駅始発の小諸行き列車を求めて歩いてきたのでした。

中込12:13発→小諸12:42着

既に改札も始まっており、列車も入線していたのでガラガラの車内で早速昼食。
待ちに待った「峠の釜めし」を開けます。


期待通りの具だくさんです。
容器が深いのでごはんの量も多く、1000円でこの内容はお得でしょう。本来ならば軽井沢で買った時(出来たてなのでまだ温かかった)に食べたかったのですが、冷めても美味しいのが駅弁の魅力。
動き出した列車のなかで箸も進み、佐久平に着く頃には食べ終えてしまいました。

終点の小諸ではいったん改札を出てしなの鉄道の乗車券を買い直し、一路長野を目指します。


小諸駅ホームには快速列車用の189系が停まっていました。
かつて特急「あさま」などで碓氷峠を越えていた生き証人。往時の塗装もそのままに、3月で引退する169系の後継としてしばらくは安泰でしょうか。

小諸12:55発→長野14:00着

上田を過ぎた辺りから眠気に襲われ、目が覚めると終点の長野でした。
向かいのホームではこちらの到着と入れ替わりに大阪行き「しなの」が発車。大学の帰りに時折見かける同列車ですが、こんなところから長駆京都・大阪まで走っているとは改めて驚きます。


意外にも初めて降り立つ長野駅。
朝の横川・軽井沢といい、陽があるので寒さはそれほどでもありませんでした。


先ほどの昼食からは少し時間も経っているので、手軽に駅構内で山菜うどんを。
そばに関しては小学生の頃にアレルギーを発症しているので、ご当地の信州そばを賞味出来ないのが何とも残念なところです。しかしダシはそば・うどんと共用しているものでしょうから、現在は恐らく収まっていると考えられるものの、念のためということで、そばそのものはもう10年ほど食べていません。
気になるダシですが、やはり関東寄り、濃い目のダシでした。

それから改札を出て、市街を適当にうろついた後(本当は長野電鉄に乗りたかったものの、時間の都合でパス)、再び駅に戻って飯山線の列車に乗りました。

長野15:04発→上境16:19着


飯山線は長野の先、豊野から分岐するローカル線。
豊野までの信越本線を全力で走ったキハ110形は、今度は信濃川沿いにゆっくりと進んでいきます。
窓の向こうには2012年最後の日の入り。旅先で目にする夕陽はいつも素晴らしいものです。

途中、戸狩野沢温泉駅では一定の乗降があり、後ろの1両が切り離されました。
駅名からも窺える通り、この辺りは長野県でも有数の温泉地。年の最後に温泉に浸かってから新年を迎えようということで、今回飯山線の乗車と相成ったのでした。


引き続き列車に乗って、降りたのは隣の上境駅。
近年になって改築されたであろう三角屋根の駅舎が出迎えてくれました。


乗ってきた列車を見送ります。
辺りに聞こえるのは踏切の音だけ。ゆっくりと走り出した列車は、やがて雪山に吸い込まれていくように消えていきました。


上境の駅前風景です。
除雪はされているものの、膝のあたりまで雪が積もっていて、雪国の厳しい暮らしが伝わってきます。
ここから徒歩3分ほどのところにある「いいやま湯滝温泉」に入りました。列車の本数が少ないこともあり、利用の中心はやはり車。帰省客の流動とも重なったのか、温泉は意外にも混雑していました。
露天風呂は冬季閉鎖とのことでしたが、ガラス張りの内湯からは信濃川対岸の山々が見渡せ、心身ともにリラックス。肩まで浸かったり膝まで浸かったりを繰り返しながらゆっくりと長湯を楽しみました。

すっかり温まった後は、駅に戻って列車を待ちます。
構内放送もない無人駅、それも積雪の状況では本当に列車がやって来るのかどうか不安になることもしばしば…。


そんな心配を吹き飛ばすように、越後川口行きの列車がやって来ました。

上境17:44発→越後川口19:31着

大晦日ということで、県境を越える列車はさすがに閑散としていました。
新潟県に入ると寒さがぐっと強まり、十日町からは吹雪に見舞われる始末。車内からも列車が雪を跳ねながら進んでいくのが分かりましたが、そんな厳しい気候条件でも遅れなく進んでいく単行の気動車はなかなか頼もしく感じられました。


終点の越後川口。雪国特有のスプリンクラーが勢いよく噴射していました。
ここで上越線に乗り換えます。

越後川口19:42発→長岡20:10着(5分延着)

寒いホームで待つことしばし、カーブの向こうから2灯のヘッドライトが見えてきました。


吹雪のなか、上越国境を越えてやって来た115系。ありふれた車両ですが、こうしたロケーション下ではカッコよく見えます。
長岡の手前、宮内で特急「北越」遅れの影響を受けてこちらも数分ほど遅れたものの、長岡で接続の新潟行きは待っていてくれたので一安心。

長岡20:14発(6分延発)→新潟21:30着(6分延着)


新潟駅では一度外に出て、コンビニで食料を調達。これから夜行列車に乗るので、チューハイとおつまみも忘れずに。
そして再び駅に入った途端、ホームに入ってきたのは…


カラフルな485系のジョイフルトレインでした。
普段は「きらきらうえつ」として新潟~酒田の海沿いを結んでいる列車ですが、大晦日のこの日だけは弥彦行きの臨時列車「きらきら行く年」として活躍しています。
「うえつ」の方は過去に2回ほど乗車したものの、じっくりと撮影する機会はこれが初めて。乗車券のみで乗れることからたまたま居合わせた利用者の乗車も多く、先頭車付近ではカメラや携帯電話を構える親子連れの姿も見られました。


撮影していると、隣には遅れていた「北越」が入線。
更に「いなほ」も加わって、新潟の485系が一堂に会するというなかなか珍しい光景が展開されました。


そして…

新潟22:37発→京都6:16着


「きらきら行く年」が出発した後、今回の年越し列車である急行「きたぐに」が入線。
臨時化以降、編成は短くなったものの、その威容は堂々たるもの。しかしここ数年来、臨時化された夜行列車は悉く自然消滅という末路を辿っていることから、その終焉が近いこともまた事実。
583系の寝台で年を越す機会もこれで最後と思い、今回の年越し列車に決めたのでした。

入線シーンを撮った後は、向かいのホームで扉を開くのを待ちます。






その最中、延々と幕回しを見ることが出来ました。
バブルの遺産とも言うべきか、名前も知らない楽しそうな列車の数々…。




今回乗車したのはB寝台の下段。
583系にはかれこれ10回近く乗っていますが、そのうち寝台に乗ったのは僅かに4回目。
下段は中・上段より1000円高いことから幅も広くとられており、大きな窓も独占出来ることからその居住性はなかなかのもの。座ったままだと頭がつかえてしまいますが、窓際の上方に僅かな空間があるのでどうにか座ったまま食事が摂れます。
座席・寝台兼用電車として鉄道史にも名高い583系ですが、実際に横になり「居住」してみると、普段のボックス席が寝台になり、収納されている中段寝台が頭上に展開され、それに付随した網棚が頭上にあるという先人の編み出したメカニズムを目の当たりにすることが出来ました。

列車は新潟を定刻通りに発車。
すぐに「ほろよい」を開け、白く染まった越後路の車窓を横目に、ことし一年の出来事を振り返っていたのでした。
夜行列車で物思いに耽るひとときは、ただ贅沢で何にも代えがたいもの。様々な思いを乗せて、列車は西へ、そして新年へと進みます。


来迎寺をひっそりと発車した後、これまたひっそりと新年を迎えました。
ここから京都までは6時間少々。備え付けの浴衣に袖を通し、一旦寝ることにしました。


目が覚めたのは3時過ぎ。恐る恐るカーテンを開けると外は一面の雪景色。新潟とそう変わりません。
携帯の充電がてら洗面所に行き、現在地を確認すると福井の手前。雪の影響も少なからずあってか、10分ほど遅れて運転していたようです。

それから結局敦賀の辺りまで起きていましたが、新疋田のループ線を確認した辺りで寝てしまいました。
依然として遅れは引きずったままでしたが、湖西線内は余裕のあるダイヤが引かれているせいか、おはよう放送のあった大津京手前では定時に回復していました。

・1/1


6時16分、定刻通り京都に着きました。外はまだ夜です。
寝台ということもあって前日の「ながら」よりも目覚めはよく、疲れもそれほどありませんでした。


京都では私以外にも多くの下車客があり、「きたぐに」は恒例の着雪点検をおこなった後、3分ほど遅れて発車していきました。

この後、自宅には戻らずにそのまま初詣と祖母宅への挨拶へ行く予定だったのですが、さすがに早いのでしばらく駅に留まります。


明け行く空を見るために、0番ホームへ。
いつもと変わらない風景ですが、今日だけは特別なことのように思えます。


実は開店を待っていました。構内の「麺串」でかき揚げうどんです。
やはり京都で食べる薄味がいちばん口に合います。前述の理由もあり、個人的には年越しそばよりも年明けうどんを推したいところです。

そうしてすっかり温まり、バスターミナルへ向かおうとしたとき…


ちょうど初日の出に向かって、N700系が発車して行きました。
今年は後継のN700Aがデビューする年でもあります。鉄道も変わらず進化し続ける一年になるのでしょう。

さて、今回の旅行記はここまでです。
一言で表すと、年越しを挟んだ「国鉄型車両による夜行列車2連泊」でありますが、自身の体力以前に、機会そのものが限られてきた現在、やはり貴重な2日間(3日間)であったことを実感しつつあります。
そして(ほぼ)初めて訪れた信越地方ですが、範囲が広いこともあって、機会を改めて再訪したい意欲にも駆られました。同時にまだまだ未踏の地域や路線もあるので、京都を中心とした日本文化を追求する一学生として、今年は更に見聞を広げていきたいと思う次第です。

本年も無事に旅が出来ますように。

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2 コメント

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Unknown (かたたか)
2013-01-24 15:31:32
上諏訪で宿探しに苦労し、甲府で野宿した俺にとっては、大変素晴らしい旅行記やと思った。俺も早く就職して、寝台乗りたいな~
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Re: ()
2013-01-25 01:24:33
上諏訪!
中央東線は「ムーンライト信州」で通り抜けただけだから、いずれじっくりと乗ってみたいところ…。

残念ながら「きたぐに」「日本海」共に春は走らないみたいで。(JR西日本のプレスより)
それでも関西はサンライズが残ってるから、機会があったら試してみてね!
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