毎日ネタ出し

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夏の宿題

2016-10-16 10:00:00 | 1日1ネタ
夏に毎日1あらすじを書いていたときのお題の消化

お題:隣のじじいがエージェント

「お早いですね」

声のする方へ振り返ると、スーツを着込んだ隣のじいさんがいた。
キャリーバッグを引いているところを見るとこんな時間からお出かけか。この歳にしちゃあ、若い物を使ってる。

「目が覚めて、やること思いつかなくて」
「それで散歩ですか。三文の得と言いますからね、きっといいことがありますよ」
「じいちゃんは、旅行?」
「そうですね」

始発でか。大変だな。いや、年寄りは朝に強いから問題ねえのか?

「それじゃ、お達者で」
「気をつけて」
「ありがとう」

朝早くから小学校からヘリが飛んで、朝のニュースに使うにしちゃあ迷惑なと思いながらその辺をぶらついて。
帰ってきたら、家の前に車が止まっていた。
正確にはじいさんに用事があったようで、じいさんちの玄関の前にいた柔和な顔の兄さんがこっちに気づいて振り返った。
その瞬間、胃が掴まれたような気持ちになった。長くは続かなかったけれど、背中が分かるくらい汗で濡れた。

「おはようございます」

見知らぬ兄さんは礼儀正しく挨拶した。慌てて自分も頭を下げた。

「こちらのお宅は、留守ですか?」
「今朝、旅行に出ましたよ」

答えなきゃヤバいと何故か思った。

「そうですか」

それだけ言うと、助手席に乗り込んで行ってしまった。
もうじいさんには二度とあわねえんだな。
胃のあたりを握りしめて、そう確信した。

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